第346話流石主人と言ったところかの

「ぐぬう……流石主人と言ったところかの。 ただでは勝たせてくれぬか。 スフィアよ! 我が背中に乗るが良い!」

「分かった!」


 そしてバハムートはただでさえ攻撃を躱されている状況からサラに素早さが上がったクロを相手にするやいなや最早自分の攻撃が当たらない事を悟るとスフィア・エドワーズを自分の背に乗せ一気に跳躍すると広範囲に効果をもたらすブレスをクロにめがけて撃ち放つ。


「点や線で当たらなければ面で攻めるのみだな」

「こ、広範囲に高威力のブレス……確かにこれでは避けようはありませんね」


 バハムートが放ったブレスによりあたりは土煙で曇り、クロの姿も隠れてしまうのだがあの状況ではいくら速く移動できるとしても避ける事は出来ないであろう。


 しかしバハムートのブレスにより舞い上がった土埃が晴れた場所に傷一つ付いていないクロの姿が現れ、バハムートとスフィア・エドワーズは信じられないものを見るような表情を浮かべる。


 クロが立っている位置がブレスを撃つ前から変わっていない事からクロがバハムートのブレスを直撃した事は間違いないであろう。


 実際バハムート自身も直撃した手ごたえを感じていた為、目の前の光景を俄かに信じられないでいる。


「避けるのが難しいのならば避ける必要が無い装備にすれば良い」


 そんなバハムートとスフィア・エドワーズにクロは装備一式が変わった自らの装備を見せ種を明かす。


 クロがとった行動は先程同様に装備一式を変更し竜種及び龍種から受けるダメージをカットするアビリ ティーないしオートスキルが付与される物に変更し、バハムートから受けるダメージを軽減しゼロにしたのである。


 そしてクロの姿が視界から消えると次の瞬間には上空でホバリングするバハムートよりも更に高い高度に現れ、落下速度そのままバハムートへ強烈な一撃を加え地面に叩きつける。


 そしてクロはまたもや装備一式を変える事により背中に生えた魔族のそれのような翼を羽ばたかせ、一気に降下しその勢いで追撃と同時に土煙が上がり視界が悪くなった状況を逆手に取りマップを開くとバハ ムートとスフィア・エドワーズ位置を把握し一気に魔術による捕縛する事に成功する。


「勝負あり……かな?」


 そしてクロはバハムートとスフィア・エドワーズに歩み寄ると刀の切っ先をバハムートの首筋に当て勝利宣言する。

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