第332話ゴリラとかゴリラとかゴリラとか
そしてクロは私の頭をやや乱暴に撫でくる。
本来なら異性に頭を撫でられたとしても苛立ちしか感じなかったであろう。
しかし、好きになった異性から頭を撫でられるというのは実に良いものだな………。
ほぼ初めてと言って良い異性、それも好意を寄せている異性とのスキンシップに思わずニヤケそうになるのを必死に抑えるのだが、真っ赤になった顔までは隠せない為クロに見られないように俯いきクロに撫でられるのを堪能する。
「……あ」
しかしそれも三秒程で終わり私の頭を撫でいたクロの手が私の頭から離れていき、もっと撫でられたいという衝動が私を襲うもそれを口にする勇気もない上にフレイム・フィアンマというプライドが邪魔をする。
「とりあえずヒュドラは倒したんだし、御主人様の部屋でゆっくりしようよ」
「それもそうだな……砂埃も付いたし風呂でも入るか」
私の頭を撫で終えたクロは次に奴隷であるアルの頭を「お疲れ様」と労い、撫で始めるとアルは実に幸せそうな顔をしながら「私が良いと言うまで撫でるんだぞ」と私が言えなかった事を平然と言ってのけ、更にはクロの部屋で休憩しようと宣い始める。
「わ、わわわわっ、私もクロの部屋で一緒にお風……」
「……一緒に何ですか? フレイム」
しかし私もクロの事が好きなのだと気付いてしまっている手前この流れを逆に利用してやろうと思い勇気を振り絞りクロと一緒にお風呂を入りたいといざ口にしようとした瞬間、後ろからとんでもない殺気が私の言葉を遮ってしまう。
「さ、サラ……いや、ほら……昔の約束を今果たしてもらっても良いんだぞ?」
しかし、昔サラと私片方しか異性の伴侶が見つからなかった場合その伴侶を紹介しようと約束した仲である。その約束をサラは忘れている訳がないので今ここで使わして貰う事にする。
なんだかんだで持つべき者は友だという事だったのだろう。
良い友達に巡り会えたものだ。
「いえいえ、昔の約束を優先し、無理をして好みでない男性で我慢する必要はないんですよ? フレイム」
「いやぁ、ほら……彼は私よりも強いだろう? それだけで十分だと思うんだがな? サラ」
「いえいえ、きっと探せばいますよ。 ゴリラとかゴリラとかゴリラとか。 ゴリラの方も多少毛色の違う雌ゴリラと思うかもしれませんし、いまからゴリラ語を覚えるのも良いのでは無いですか? うほうほうほほ」
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