第331話何かが明らかにおかしい
それにしても先日のサラといい今日のアルといい私はまだまだ未熟なのだと思い知らされる。
アルが何の苦もなく一人で倒したヒュドラを、もし私一人で倒すとなると間違いなく一日以上かかる上に最悪死んでいただろう。
いや、視力を失いつつあったあの状況では間違いなく私は死んでいたに違いない。
それでもタダで死ぬつもりはないので足か腕の一本や二本斬り落としてやるつもりだったのだが、決死の思いで討伐にいた私とどう見てもピクニック感覚のアルを見れば私とアルの差は明確であろう。
その事が先日クロに負けた事も、私より強くなり婚約者も得たサラの事も相まって堪らなく悔しく感じてしまい、思わず涙が溢れ出し下唇を噛んで涙が溢れるのを堪える。
「しかし、いくら今回の氾濫が平均よりも大きいものだとしてもグリフォンの親やヒュドラの様な高討伐ランクの魔獣やドラゴンが現われるものなのか? そんな危険な場所にある砦に集まる冒険者や衛兵などを中心としたそこそこ大きな街が出来るとも思えないんだが?」
「た……確かに今回の氾濫は異常だ。 そもそもグリフォンの親やヒュドラが現われるような事など一度もなく高くても討伐ランクB程度でそれも一回出現するかしないかという確率だから氾濫を食い止めながら素材を剥ぎ取り持ち帰るーそれを目当てに商人がやって買い取りに来るー冒険や衛兵達は臨時収入も入り懐が温まるー今度はその冒険や衛兵達がお金を落とす商売を始める者がやって来る………といった具合に発展した街であり砦だ。 こんな化け物が毎回出るんじゃ商人はまず寄り付かず街はできなかっただろう」
クロの最もな疑問に溢れかけた涙をさり気無く腕で払い答える。
確かにクロがいう通り今回の氾濫は何かが明らかにおかしいのである。
しかしそれが何なのか私にはさっぱりとわからないのだけどクロの役にたてないのがどうしてももどかしく感じてしまう。
「それはそうと、今回は助かった。 そしてそれだけの力があるとは知らず怒鳴ってしまい申し訳無かった……」
「結果助かったんだし、一つのミスが生死を分ける戦場でフレイムの対応が正しく思う。 むしろ何も告げず此処まで来た俺らは怒鳴られても仕方ないだろうからその件は何とも思って無いから大丈夫だ」
そのもどかしい気持ちを誤魔化すかのようにクロとアルに怒鳴ってしまった事を謝罪する。
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