第314話一挙手一投足を観察してしまう

ここまで運んでくれたコッコちゃんにイルミナがお礼を言うと子供達も「ありがとうー!」と元気よくコッコちゃんにお礼を言い、その体に抱きついていく。


その光景を見て私も先程村に着いた時は言えなかったお礼を言うとその身体を恐る恐るではあるものの撫でてあげる。


するとその羽毛の肌触りの良さに気が付いたら子供同様にヒシっとしがみ付き顔を羽毛に埋めてしまう。


「コッコちゃんの羽毛は肌触りいいでしょ?装備を外してそのお腹に卵の様に包んで貰うと至福の時間が訪れます」

「………それは……心地好さそうですね」


そんなラーベルの姿にイルミナはお腹の羽毛こそ至高であると語りだすのだが、今の自分の姿勢を思い出し急に恥ずかしく感じて来る。


「ではコッコちゃん、数日後にまた竜籠よろしくね」


そしてイルミナは日帰りで帰れないという事からコッコちゃんと竜籠を出現させたカードへ、コッコちゃんの首辺りをわしゃわしゃした後戻していく。


「さあ、入りましょうか。皆んなここからはお行儀良くしておかないと赤竜さんに食べられちゃうから気を付けてねー」


イルミナの発言に子供達は初めて赤竜に恐怖を見せ始め、その怖さを紛らわせる為かお互いに少しだけ密着しだすも「はーい!」と元気よく返事をし、それを聞いたイルミナは「みんな良い子ね。良い子は私大好きですよ!」と顔を綻ばす。


そのイルミナの笑顔に先程まで怖がっていた子供達の恐怖心は消え去ったようだ。


こういうイルミナの立ち振る舞いを近くで見ると多くの男性が孤児院のシスターを好きになるのが分かる気がする。


特に普段凛として他の異性を寄せ付けない雰囲気があるイルミナが子供達に向ける微笑みを見れば心を奪われない異性はいないのではないのか?と同性の自分がみても魅力的に感じてしまうほどの魅力を感じてしまう。


その姿を見て男っ気が無い自分は何かヒントを得れるのではないかとついついイルミナの一挙手一投足を観察してしまう。


「男性は女性のギャップに弱いと聞きますよ?」


そんな自分にイルミナが近寄り耳元でそっと助言してくれるのであった。


着地した施設の中に入ると施設内部の荘厳な作りが目に入って来る。


金を基調とした色使いに所々アクセントに赤色が散りばめられており、その周りには様々な貴金属や調度品が目に入る。

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