第289話左手薬指には銀色に輝く指輪
最初は若干引いていた様に見えたクロなのだが今やその表情は新しいイタズラを思いついた様な表情をし、ニヤニヤと笑みを浮かべている。
「ほら、早く見せて?」
「わ、分かったから急かさないでください……もう………こ、これでいいですよね……?」
耳元で、甘い声で囁くようにクロに優しく命令されたらもう頭がどうにかなりそうだ。
断る事もクロは了承してくれたのだろうが、それよりもクロの命令通りに動きたいと思ってしまい、サラはゆっくりと立ち上がると顔を真っ赤にしながら胸や下腹部を隠した腕を外す。
「やはり綺麗だね。 痛そうなほど張っている胸の先端も、思ってた以上に薄い下腹部の毛もサラだと思うと愛しく思えてしまう」
「っ……ふー……ふー……んっ!」
恥ずかしい。 ただただ恥ずかしい。
ただ見られているだけなのだが全身を隅々まで優しく触れられていくような感覚がむず痒くも、この感覚を身体と心が欲しているのが分かる。
ただそれだけの事で私は期待と興奮により下腹部を濡らしていくのであった。
そして初体験は私の想像通り痛かった。
しかし同時にクロに大切に扱われ、それはそれで痛いのも役得だと思ってしまうあたり本当女誑しだとも思ってしまう。
この毒牙に噛まれるとクロ無しじゃ生きて行けないと断言出来る。
翌日学園都市のギルドに戻ったサラとクロはクエスト達成証明にドレイクをドヤ顏で出すと、ギルド職員から討伐対象の亜竜では無いと言われクエスト未達成で終わってしまう。
討伐対象の亜竜を狩り忘れるという初心者のようなミスをしてしまった二人なのだが、クエスト難易度はAの為違約金などのペナルティーは発生しなかった。
そしてクエスト未達成だった事に今更ながら気付いた二人は目を合わすと笑い合いあうのだが、サラの左手薬指には銀色に輝く指輪が光っていた。
◇◆◆◇
ここドルタニア聖王国の東の端にあるフイルド渓谷に作られた砦は今、定期的に起こる害魔獣の氾濫により緊張感が高まり非常に緊迫した空気が漂っている。
それもそのはずで今回の氾濫は今までの氾濫とは規模が違い約数倍にも膨れ上がった規模で害魔獣が溢れかえっていると砦より更に東にいる偵察部隊から報告が上げられたのである。
その報告が来てから役一ヶ月後の今日、観測結果から導き出された予報ではまさに本日魔獣がこのフイルド渓谷に雪崩れ込んで来るであろうとされる日なのである。
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