第284話自然と心も踊り嬉しさが滲み出てくる

 この夢のせいだけでは無いのだが、好きな異性は自分よりも強い異性という拘りが出来てしまい、今の今まで売れ残ってしまっていた。


 勿論それだけが理由では無く色々な面から見た結果、男性陣はサラに対してから高嶺の花ではなく『天上の花』と影で言われていた事にサラも気付いていた。


 天上の花、それだけ聞けば高嶺の花よりももっと高い場所の花と思うのだが、実際はサラに告白とはすなわちサラとの決闘を意味する為、全員見事に医者送りさせた事から高嶺に咲いている花は彼岸花だと言われ出したため結果彼岸花の持つ意味の中の天上の花という部分が使われ出した。


 そしてその結果が剣帝という二つ名である。


「………ポイズンボアを全て一撃で…」


 そしてやっと出来た夢にまで見た彼氏は幸か不幸か私よりも遥かに強い。


 これじゃ高難易度ですらぬるすぎてしまう。


 ゼニア・トリステンとボストン・トリステンみたいな男女の関係に憧れたのだけれども………クロが相手じゃね…。


 思い出すはまだ幼い頃に見た、全盛期だった二人の姿。


 お互いに信頼し想い合う二人は、まだ四歳だったサラの脳裏に強く焼き付いてしまう程素敵な関係に見えた。


「やっぱりこの武器じゃオーバーキルみたいだな……一度全ての装備を落としてみるから頼んだぞ?」

「………ま、任せなさい!!」


 そんな私の気持ちを知ってか知らずかクロが元々落としていた装備のランクを更に落とすと言ってくる。


 それはすなわちクロは私に命を預けるという事の表れでもある。


 そう思うと自然と心も踊り嬉しさが滲み出てくる。





 あれから亜竜の巣に向かい進んで行くのだが、クロの戦闘技術の高さを改めて再認識する。

 ぱっと見では少しこなれた新人冒険者に見えてしまうのだが、そこから繰り出される無駄のない斬撃の数々に舌を巻きっぱなしである。


そこでふとサラは疑問に思う。


 クロのそれは天才肌の冒険者が誰の教えも請わず己の才能だけで上り詰めた様にしか見えないという事である。

 だと言うのにクロは今まで討伐して行った魔獣の討伐方法や攻撃パターンを熟知しておりその魔獣が苦手な戦法、弱点などを私が教えるでも無く徹底して突いて行くのである。

 更には知らないスキルや魔術は無いと言われても不思議では無いほど熟知しているほどである。

 まるで誰かに教わっていたかの様に。


「クロは……どうやって魔獣達の討伐方法を知ったのですか?」



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