第245話床に転げ落ちのたうち回る
そしてその魔術により威力が上がったインフレイムが俺の大鎌に纏わり付く。
その一連の流れを見たクロ・フリートは一瞬目を見開き驚いた様な反応する。
しかしそこに忌避感と言った感情は見受けられず、逆に新しい玩具をサプライズで手にした子供のようである。
しかしそんな事は御構い無しに俺は赤い軌跡を闇夜に引きながらスキルではない渾身の一閃をクロ・フリートに放つ。
「……ガハっ!?」
しかしその瞬間強烈な痛みと衝撃が襲い自分の身に何が起きたのか理解できなかったのだが軋む身体を無理やり動こし立ち上がると自分がクロ・フリートの何らかのスキルか魔術により吹き飛ばされた事に気付く。
「土魔術段位五【束縛】」
そして放たれるクロ・フリートの魔術を最早避けるだけの体力も気力も俺には残っておらず抵抗すらせず受け、地面から伸びる無数の腕に掴まれ束縛される。
「実に楽しませて貰ったが、楽しい時間はいつもあっという間に終わりを迎えるものだな……」
そう言いながら俺に近付いて来るクロ・フリートの顔は勝者と言うには余りにも似つかわしくない哀しげな表情をしていた。
しかしクロ・フリートが言わんとしている事が少しだけ分かる気がした。
楽しい時間はいつだって過去にしか無い。
「……そうだな」
思い出すのはルルと過ごしたほんの僅かな幼少時代の思い出。
「さあ、最後の仕上げと行こうか」
「負けた俺が選べる立場では無いのは理解しているんだが痛いのは嫌いなんだ……どうか一思いに殺してくれ」
「ああ…もとよりそのつもりだ。俺もグロ耐性も無いしそういう猟奇的な趣味も無いしな」
そう言うとクロ・フリートは漆黒の見たことも無い魔杖を片刃剣をストレージに仕舞うと代わりに取り出して来る。
その魔杖もまた先程の刀と同様に国宝級レベルである事は見ただけでひしひしと感じてしまう。
それ程までの業物。
「終わりだ」
そしてその言葉と共に二発の雷鳴にも似た爆音が響き空気が震える。
しかし依然として俺の身体には変化は無く無傷であるのだが、しかしその疑問も直ぐに氷解する。
◇◆◇◆
「ぎゃああああああっ!?」
余りの痛みに私は床に転げ落ちのたうち回る。
こちらは十キロ先、西と東に分かれて監視していたのだ。
バレる要素なんか無かったし現にロイ・ドモールも気付いていなかった。
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