第165話剣帝サラ・ヴィスティンの彼氏だ
そしてクロがルルの身体へ魔力を注ぎ込み、充電させているのが功をそうしたのかルルはゆっくりと目を開けクロを見ると、父親と勘違いしたのか小さくクロを「お父さん」と呟くと、今度は静かに瞼が落ち、健康的なリズムで呼吸をしだす。
どうやらルルの中の魔力、そして身体も安定したのかルルは眠ってしまったみたいである。
◇◆◆◇
「お前知ってるか?」
「何をだよ?」
「あの学園都市の大会で去年最下位だったチームの講師に着いた奴が何と……あの大魔王クロ・フリートだっていう話だ」
ここは街外れの居酒屋、今日も討伐帰りや依頼達成した帰り、軍の練習を終えた兵隊達が騒ぎ飲み歌い喧嘩する中で筋肉隆々とした体格の良い男が周りを見渡すと声のトーンを落として本題を話す。
「……単に同性同名ってだけじゃないのか?それが本当なら、今回の本命かつ大穴だぞっ」
「バカ!声がでけえよっ」
「す、すまん。で、信憑性はどうなんだ?」
「有りまくりだ。まず剣帝サラ・ヴィスティンの彼氏だ」
「な、何だってぇぇぇぇぇえええ!?」
先ほど注意されたばかりなのだがそれを忘れるぐらいの衝撃を魔法使いの様なローブにロッドを持つ男が叫ぶ。
何故なら剣帝サラ・ヴィスティンとは冒険者内でも有名な名前で、一つはその強さたるや疾風迅雷のごとし。
一つはその美しさたるや光彩奪目のごとし。
そして告白を断られた男は数知れず、断る文句は「自分より強い男」であり、裏で彼岸花を意味する天上の花と呼ばれる程である。
そんな高嶺過ぎる花である美姫に男が出来たと知れば驚くなと言う方が無理である。
そして驚く男性を見て何故か満足げな表情を浮かべるネタを提供した男性。
「おっと、驚くのはまだ早いぜ?」
「ま、まだ何かあるのかよ?そうそうさっきのネタレベルはもう無いよな?」
「それがあるんだよ。なんと………」
ゴクリ……。
無意識のうちに魔術師であろう男性は身体を前のめりにし、喉を鳴らし、その顔には早く言えと如実に書いてある。
「あの超越者、アル・ヴァレンタインがそのクロ・フリートとかいう男の奴隷として隣を歩いているらしいんだ」
「な、何だと……」
超越者アル・ヴァレンタインとは男装の炎姫であり、人間では到底出せない様な摩訶不思議な炎を操る亜人、それも神の使いとされる種族『九尾』の血を引き、誰にも媚を売らず仲間を作らず、特に色恋の話になると怒り狂う事で有名な麗人である。
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