第162話無駄な魔力を消費しただけに終わる

「カウンタースペルにより打ち消されていないのに魔術が発動しない……いったい何をしたのよ、この化け物っ!【水の加護】【硫酸の津波】ッ!………ど、どういう事?【硫酸の津波】を詠唱した筈なのに…魔力さえ消費されず不発するなんて……あなた、いったい私の身体に何をしたのよっ!?」


 そして先ほどいったい何が起きたのか確かめるべく今一度同じ魔術を詠唱してみるルルなのだが、【硫酸の津波】は打ち消されるどころか詠唱すら出来なくなっており、さらなる疑問とえも知れぬ恐怖がルルの身体に宿だけで根本のな原因どころか解決策すら見出せないまま無駄な魔力を消費しただけに終わる。


「マイマスターの言葉を借りるとすれば……この世界、無知は死ぬぜ?……です【禁止令】対象【目くらまし】」

「そんな得体の知れない魔術、詠唱させません!!【目くらまし】ッ!!」

「【遮断】」


 そしてさらに楓は【禁止令】を今度は【目くらまし】を対象にして詠唱しようとし、それを阻止する為にルルが【目くらまし】を詠唱するのだが、楓の魔術【遮断】により今詠唱している【禁止令】をスキルや魔術の対象にできなくし、【目くらまし】の対象から外し【禁止令】を発動させ、対象を外された【目くらまし】の泡は少し空中を漂った後、弾けて消える。


「【目くらまし】自体は消されていないのに目くらましの効果が発動せずそのまま消滅した……ですって……っ!?」

「さらに……【禁止令】、対象を【魂喰いの魔眼】」

「めっ、【目くらまし】……な、なぜ詠唱出来なくなって………え?……私の眼から魔力が無くなって……嫌、来ないで化け物ッ!だ、誰か……誰か助けて……」


 楓が詠唱した魔術【禁止令】は、エンチャントフィールド型魔術で使用出来る回数は四回で、対象の魔術かスキルを一つ使用出来なくするロック型の魔術なのだが、その事に気付かず楓によりルルの魔術戦の軸である【目くらまし】を、そして例え本来の能力よりも弱体化したとはいえこの世界では強力過ぎる能力を持つ眼、【魂喰いの魔眼】の能力を消され抵抗出来る力を奪われたルルは、歩きながら近ずいてくる楓に久しぶりに感じる死の恐怖に我を忘れて助けを乞うのだが、辺りには気絶したクロと一度食べようとしたアルしかおらず、また恐怖から身体が萎縮し上手く動かせず足を絡ませ転けてしまう。



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