第160話メイド型戦闘アンドロイドM66ネーム楓



 その魔力の発生源であるルルの『眼』と呼ぶには余りにも異質過ぎ、また美形然としたルルの顔に良く似合うそれが久しぶりに見る世界の色を楽しむかのように辺りを見渡し始めると、眼前にいるクロを見付け、顔面は喜色に溢れ形の良い唇から涎を垂れ流し、それを手で拭う仕草が色っぽく感じさせる。


「この眼帯を外したのは私をこんな身体にした神成者二人を喰った時以来だわ……あの二人はまさに美味で、未だに思い出しても涎が出そうになるのだけど、貴方はどうかしらねっ!」

「お前……その眼は…まさか、魂喰いのオストロスの…………こんな……こんな事があって良いのか?」


 そしてその禍々しいまでの魔力、特徴ある金色に輝く瞳、吸い込まれそうな眼孔をクロは忘れるはずもない。


 唯一ソロクリア出来なかったダンジョン最下層ボスの武器であり秘宝でもあるその眼、それが今クロを睨めつけている。


 ヤバいッ!どうして人間であるルルがあの眼を持ってやがるッ!?


 あの眼のヤバさはクロ本人が嫌という程理解している分、ここで彼女を倒さなければその後起きるであろう悲劇が脳裏に映る。


 だと言うのにクロの身体はルルの様々な魔術の効果により指一本すら動かせないでいる。


「では、貴方の魂…いただきます」

「あ、が……や、やめろ……グ、うぅぅぁぁぁあああっ!!」


 そして静かにルルは言葉を発し、それと同じくルルの眼から溢れ出る魔力がクロの中へと入っていきクロの魂を食べようとし始める。


「あぁ、予想以上よっ!予想以上に美味だわっ!神成者なんかよりも全然、魂に触れただけで美味しいと分かってしまう……これ程とはっ!」


 そしてルルが本格的にクロの魂を食べようとした瞬間、クロの身体は突如現れたメイド服の女性により光の魔術【封印】を施されルルのオートスキル【魂喰い】の対象から外されると、そのままクロは気絶し倒れる所を優しくメイド服の女性に抱きすくめられる。


「立ち回り……コード……72、対象……ルル、達成目標……殺さず鎮圧し…眼のスキル封印……………インストールしました、マイマスター」


 クロが倒れる瞬間、メイド型戦闘アンドロイドM66ネーム楓が自動召喚された事に気付きアイコンから戦闘モードに移行させると命令を下した上で力尽きていたクロ。


どうやらアーシェ戦でまだ自動召喚されていないキャラクターが何人かいるみたいである。



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