第145話恋人よっ!!

「いやだって……じゃないでしょう!?私は貴方を監視する事を名目で色々働いたんですからね!私に一度断りを入れてから活動してください!!」

「ああ、すまん」


 クロからすれば今まで何もサラに報告せず、確かにサラがクロのそばにいたことが多かったのだが自由に行動してきたので彼女でもましてや妻でもない女性に何故ここまで怒られなければならないのか理解に苦しむのだが反論した処で結果は明白であるため素直に謝っておく。


 今まで何も指摘されなかったとはいえサラの言っている事も何故今更と思わない訳ではないのだが理解はできるしな、謝って損はないだろう。てか口ごたえしたら損しかない気しかしない。


「処でお前、誰のご主人様に対してそんな口をきいてるんだ?」

「だ、誰のって……え、ぇぇぇぇぇぇぇえええええええっ!!?アル・ヴァレンタインさんの額に隷属の印がああああぁぁぁぁぁぁああぁあああっ!!?」


 そしてそんなサラの態度が気に入らないのかアルが不機嫌さを隠す事もせずその苛立ちをサラに投げかけ、それによりアルに顔を向けるサラはアルの額に刻まれた隷属の印に気付くと出会ってから今までで一番の絶叫をただでさえ狭い部屋に響かせる。


「五月蝿いぞ。見ての通り俺ことアル・ヴァレンタインは昨日クロ・フリートに隷属されたんだよ。まあ、最初こそ腹が立ちはしたが今は寧ろなって良かったとと思ってる。で、お前はご主人様の何なんだ?」


 そしてサラに額に刻まれた隷属の印を見られ普通なら恥ずべき印なのだが寧ろアルは誇らしげにその印をサラに見せつけると、次の瞬間高濃度の殺気をサラに飛ばしクロとサラの関係を問いかける。


「………まさかアルさん程の方を隷属できてしまうほどクロさんの強さが現実離れしてるとは思いませんでした。そして先ほどの質問の答えですが私はクロの…」

「恋人よっ!!」


 アルに殺気を当てられ我に返ったサラは先ほどの絶叫を思いだし顔を赤らめながら咳払いをし、クロとサラの関係を説明しようとした瞬間、今まで盗み聞きしていたのだろうこの宿の女将ハナコがサラの言葉を遮り、代わりに答える。


「恋人……だと?」

「監視や…く……………ふえぇぇえええっ!?」


ハナコの放った爆弾によりアルは信じられない者を見る様な顔でサラを見ると、クロに視線を変え「聞いてない」と殺気と共にその目線に込めて見つめてくる。

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