第146話ご主人はこの娘の事がす、好きって事か?


 そしてクロと恋人と言われたサラは当初ハナコの爆弾発言を理解していくにつれ目を白黒させ、おどおどし始め、その顔は妙に赤らんで行きクロを見つめるその視線は何処か期待がこもっているように思える。


 そして爆弾を投げた張本人は「お礼は要らないから」という様ないい笑顔をクロに見せるとウインク一つバチっと決め親指を立てる。


 なんだこの空間……。


「どういう事だご主人様っ!?こ、ここ恋人がいるなんて聞いてないぞっ!?」

「……………」


 そしてアルはクロに問い詰め出し、サラは未だに期待がこもった視線をクロに向けて来る。


 そんな状況を作ったハナコはサラに耳元で何か囁くとサラの背中をバシッと叩き「女は度胸よっ!」と行って立ち去っていくのだが、マップを開いてみると盗み聴きできる範囲に移動しただけみたいである。


 いや、絶対この状況を楽しむ為だけに作っただろあの女将!!


 と思うものの思ったところで現況は変わるわけもなく、アルとサラが納得いく回答をしなければならないという高難易度のミッションに胃の辺りがキリキリしだす。


「どういう事って……俺とサラは……あれだよ…その、だな……」

「あ、ああ」

「………」


 そしてそのミッションの回答が分からず言葉に詰まりながらも頭はフルスロットルしながら最善の回答を模索するのだが、その間アルは嘘であって欲しそうな表情を、サラは本当であって欲しそうな表情をしながらクロに詰め寄って来る。


 しかしサラの表情から察するにサラはクロと恋人である事を期待しているかの様に見えるのだが………いや、惚けるのはもうやめよう。


 今までどことなくサラの気持ちに察していたのだが気付かない振りをしてきた結果がこれなのである。


 昨夜アルと関係を持った事により覚悟と踏ん切りはついたはずである。

それに今更気づかない振りで惚けるのは限界が来ているのだろう。


「まぁ……俺とサラはだな……恋人ではない。恋人ではないのだが俺個人としては多少なりとも好意は持っている」

「つまり……ご主人はこの娘の事がす、好きって事か?」


 しかし今現在クロがサラの事を異性として好意を持っていると言えばそれは嘘になり気になる異性程度なので嘘はつかず本心を言う事にする。

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