第143話隷属しても良いんだよ?
◇◆◆◇
「全く、私に言ってくれれば夜の相手くらいの一つや二つ二つ返事でやってあげるのに…」
そう言うアーシェの隣には顔面蒼白になったクロとそのクロの背後に隠れるように、だがその目には「主は渡さない」と強い意志を宿したアルがクロが借りた部屋にあるベッドに腰をかけながら対峙していた。
「ねえ聞こえてるんでしょ?まさか、私との約束をこんな小娘の、男か女か分からない貧相な身体の目先の誘惑ごときで忘れて手を出したなんて言わないわよね?もちろん、私にも手を出す覚悟が出来た上で、小娘は前菜として手を出し、メインディッシュの私ともこれから手を出すって事よね?」
アーシェ自身昨日の行為自体はクロに付けたアイテムによりリアルタイムで把握していたのだがあえて泳がせてアーシェが圧倒的有利な立場を作った上で今現在クロのもとに早朝から乗り込んだのだがそのことは黙っておく。
だがその甲斐あって今現在のクロは狼狽しており作戦は見事成功といっても良いだろう。
唯一の計算外はクロにより女にされたこの小娘なのだが、所詮は小娘。その凹凸のない身体から見てもアーシェの敵ではないだろうとタカをくくる。
「なっ、お、俺…私でもご主人様から可愛いと言われて可愛がられたんだかな…可愛がられたんですから!!」
「あぁ?お世辞も分からないクソガキが」
「じ、事実だしな…ですし…?」
以前なら自分の身体の特徴を指摘されたら怒り狂うのだが今は冷静に対処し、逆に相手を煽れるよになるなで心に余裕が出来たアルは自分の身体的特徴をディスってきたアーシェに同じく言葉の刃で対応するのだが癖になっている男言葉が咄嗟に出てしまい、それを訂正して喋るのだが、かえってその必死に女性らしさをアピールする姿がクロからみて可愛く思え、アーシェからはあざとく感じてしまうらしく、アーシェの額には無数の血管が浮き上がっている。
「ま、まあ良いでしょう。しかし貴方は所詮クロの奴隷。良くて性奴隷よ……………」
そんなアルに性奴隷と罵るアーシェなのだが、その目は性奴隷というポジションを羨ましげにアルの額にある隷属である印を見つめている。
そして誰にも聞こえない声で「羨ましい」と妬み呟く。
「あら、誰かこちらに来るみたいだから私はここで帰るけど、お兄ちゃん…待ってるからね。れ、隷属しても良いんだよ?」
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