第142話初めてだから優しく

 そう言うとアルはクロを突き飛ばしベットへ押し倒すとクロにスキル【金縛り】をかけてクロをスキルで束縛し、身動きを封じる。


「お、お前が悪いんだからな……お前が…」

 そしてベットに横たえ身動きが取れなくなったクロへと近付くそのアルの顔は真っ赤に染まっている。


「お、お前……隷属された者がその主人に手を出したらどうなるか解っているのか?」

「うるさい黙れ」


 そしてクロはアルに隷属された者がその主人に手を出せばどうなるか聞くのだが、アルは一向に聞く耳を持つつもりは無いらしく、怒気を孕んだ声でクロを黙らす。


そしてアルはその怒りの勢いそのままに服を脱ぎすて産まれた時の姿、素っ裸となる。


誰が好き好んで男性の裸を見たいと思うのか。


俺はノーマルであり、男性には興味が無いし、他人の一物などには当然興味は無い。


大きさ以外は。


「おいっ!!こっちはかなりの決心して来てんだっ!!目を閉じて見ないというのはいささか失礼過ぎるだろっ!!!十数える間に目を開けなければその目はいらないという同義とみなしてご主人の両の目を潰すっ!!一、二───」

「分かったっ!!見るっ!みるからっ!!……………………」

「な、なんか言ったらどうだ?」

「そなたは美しい」


これは最早好きな拷問を選べというものではないのか?


ただ、失明するくらいならば男性の裸を見た方マシである事くらいは今の俺でも判断できる。


まぁ、他人の股間をみて失明してしまうのでは思える程のダメージは覚悟しなければならないのだが背に腹は代えられないと、意を決して目を開き、アルの身体を見つめる。


そこには顔どころか鎖骨まで真っ赤になったあるの姿と、ある筈のご神体が無い金色の草原があった。


これを美しいと言わずして何と言う。


そして何よりも赤く染まり恥じらうアルは普段の姿とのギャップも相まって───


「そしてアルは可愛いな」

「か、可愛い美しいとか、連呼すんじゃねーよ……」


そう言うとそっぽ向くアルも可愛いではないか。


これで立たずは男ではない。


この世界に来てから今日まで我慢していた性欲が一気に爆発するのは致し方ない事である。


そう、アルにかけられた魔術を解術してしまう位には。


「なっ!?お前っ!?どうして動けるんだっ!?や、やめっ!まだ心の準備がっ!!分かったっ!分かったからせめて初めてだから優しくっ!!!」


そしてその翌日、満足した表情で眠る男性の腕に絡みつきながら大人の階段を登って幸せそうに眠る女性の姿がそこにあった。

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