第109話探知系の魔術
クロを眺めるその顔は真剣そのものといった感じで、その表情は確かにサラに似てなくもない。
「いや、彼氏じゃないですから。それよりも審査と言いますとテストか何かをするんですか?」
「はいはい、そういうことにしといて上げるわ。どうせ娘から口止めされてるんでしょ?テストは学力と戦闘技術の両方を審査するテストを行います。学力テストは数学だけなのと、戦闘技術はギルドランクB+の方と模擬戦をやって貰います。でもギルドのきょかが降りた貴方ならどちらもさほど難しくないレベルだ思うから緊張せず普段通りの実力を示せれば良いだけよ」
成る程……なら何とかいけそうであるが問題はギルドランクB+の人と行う模擬戦だろう。
いくら相手を倒せてもプロの目から見たら俺の戦い方が素人だとバレる可能性があるからな。
いくら強くても講師としては不向きと思われかねない。
魔法がメインではあるが今のクロの体調ではいささか威力にかけるため歯がゆく思う。
「所でクロさんはあの魔王、アーシェ・ヘルミオネが敗れたことを知っていますか?」
「い、いや…」
「あらそうなの?今冒険者の間ではこの話で持ちきりなのだけれど、まさか知らない人がいたとはね。なんでもあなたと同じ名前のクロ・フリートという方が倒したそうよ」
「そ、そうなんですか…同じ名前なんですね。いやぁ知らなかったです」
これから行うテストについて聞こうと思っているとアンナの眼が鋭くなり、次には微笑みに戻るのだが話題にしたくない話を振ってくる。
それはまるで「あなたがそのクロ・フリートですよね」と聞かれてるみたいで嫌な汗が流れ始める。
「そうなんですっ!お師匠様はあの大魔王様だったのです!」
「あらあらそうなの?レニアは物知りね」
「え?ち、違いますよ?嫌だなー…はは」
何とかこの話題から離れようと思っていたのだがレニアが物凄く誇らしげにばくだんを放り込む。
その顔はまるで自分の事のように誇らしげだ。
しかし、まだしらばっくれればば……
「所でクロさん、髪に何か強力な魔力でくっつけられてますよ?あら、これは探知系の魔術が込められた透明の糸屑のようですね。取って上げましょう」
そう言うとアンナはクロの髪に付いてるであろう見えない糸屑を取ると、『ボッ』と燃やす。
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