第108話何より胸がある

「ここが理事長室です!」

「ありがとう。助かった」


 校舎の中は木造になっておりテレビとかでよく見る古き日本の木造の校舎そのものである。


 授業のシステムが日本と違い講師を自分で選ぶシステムだからなのか、休憩中なのか談笑している教室もあれば授業中の教室もあった。


 ちなみにレニア曰く勉学と戦闘技術その両方が一定レベルに達してないと卒業できないらしい。


 割としっかりしてるんだなと思いながら理事長室とレニアに教えられた部屋の扉を三回ノックする。


 ちなみに扉の上の方には日本の学校のように室名札が付けられているのだが、やはりこの世界の文字は読めないみたいだ。


「どうぞ」

「失礼します」


中から女性の声で返事が有ったので室内に入ると想像通りの内装をしていた。


 入って左側には本棚が置いてあり、その上には歴代の校長か理事長であろう顔写真、右側には何も無く角に観葉植物が、真ん中にはテーブルと四人は座れそうな革のソファーが手前奥に二脚置いてあり、その奥に真ん中のテーブルより一回り背丈の高い机に一人用の同じく革で出来た椅子があり、その椅子にスーツを着た女性が座っていた。


 年齢は四十前後だろうか?黒く長い髪を上で束ね、高そうな眼鏡をかけているのだが彼女が出す柔らかい雰囲気のおかげでそれが嫌らしく感じずよく似合っている。


 そして体型もスレンダーで、何より胸がある。


 あと二十年出会うのが早ければと思ってしまうほど顔も整っており、若ければ美人であった事が容易に想像が出来るほどである。


「いらっしゃいレニア。そして貴方は…」

「初めまして。クロ・フリートと言うものです。本日はレニアさんの外部講師になる許可を貰いにきました。」

「初めまして。私はこの学園の理事長をしています、アンナ・ヴィステンよ。キンバリーから私の娘、サラの彼氏がこの学園に外部講師の許可を貰いに来ると連絡があったのだけど……娘の彼氏だからと言って審査を甘くするつもりは無いのでそのつもりでいてね。」


そういうと理事長のアンナ・ヴィステンはクロの事を頭の先からつま先まで品定めをするように眺め始める。 


 クロを眺めるその顔は真剣そのものといった感じで、その表情は確かにサラに似てなくもない。


「いや、彼氏じゃないですから。それよりも審査と言いますとテストか何かをするんですか?」

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