第91話今がその時
どうやら俺が彼女の身体を断り無く触っていたことを有耶無耶にできそうなので一安心する。
あとは逃げに限る。
セクハラや痴漢の冤罪は覆すのに難しく、逃げる事が一番無難な対処法だと聞いた事がある。
今がその時なのだろう。
三十六計逃げるに如かずである。
「あの、私達の師匠になって下さい!……あれ?」
◇◆◆◇
あの娘には申し訳ない事をしたと心の中で謝罪しなんとか振り切った後、マップ機能に頼りきりではあるがやっとのことで図書館に行き着き、利用許可を取るべく入口のカウンターへ来ていた。
この図書館の外見は図書館というよりも貴族の屋敷といった外見なのだが
、間取りは思っていたのと少し違い壁が無い代わりに柱があり一室の広い空間に本棚が規則正しく並べられていた。
「閲覧希望ですか?」
カウンターには長い髪を上で束ね、少しキツイ目に丸いメガネをかけた女性が座っており、こちらに問いかける。
「あ、はい」
「では学園の関係者である事を証明出来る身分証と利用料金、金貨一枚になります。金貨はご利用者が書籍などを破損しない限りお帰りの際カウンターにてお返し致します」
「えっと、学園関係者じゃないと利用できないんですか?」
「基本的には利用できません」
なんだと……学園関係者じゃないと利用できないとか聞いてないんだが…さて、どうするか。
「や、やっと追いつきましたよ…お師匠様。ちょっと待っててください」
どうやって入るか悩んでいると先ほどのケンタウルス娘が現れ、正式手続きをすると俺の手を掴み図書館の中へ連れてってくれる。
ミーアもそうだったのだが彼女も聴覚や嗅覚が人間よりも優れていたのだろうか?。
追いつけた理由はなんとなくわかるのだがわざわざ図書館に学園部外者である俺を入れる理由が分からない。
この場合もしバレたら俺だけではなく彼女も何らかの懲罰を受ける事になるのは間違いないだろう。
いや、逆に俺をこの図書館に誘い込んだのだと思えば納得がいく。
「どういう事だ?」
もし誘い込まれたのだとすれば、これはいわゆるピンチというのではないだろうか?女の執念は恐ろしいと心に刻み直ぐにでも土下座出来る体制を作る。
セクハラしてごめんなさい。ほんの出来心だったんです。いやほんと。
「えっと、図書館に入れない雰囲気だったので、外部講師も利用かのうですので、その、私の外部講師という事にして、その…あの、勝手なことしてすみません……」
「いや、むしろ助かった。ありがとう」
「それで、先ほどの件の続きなのですが…」
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