第90話ケンタウルス娘
「す、すみませんっっ!」
「はい、なんでしょうっ?」
なんてことを思っていると件の人物がいつの間にか自分に近づいていたみたいで、声をかけられ思わずビックリしてしまう。
しかも声が裏返ってしまい、無駄に恥ずかしい…。
「あの、その…えっと…ですね」
しかし目の前の声をかけてきた彼女は、声をかけたはいいが言いよどんでいるみたいである。
これが校舎裏などならば嬉し恥ずかしな展開なんだろうが、彼女の顔は愛の告白というよりも人生をかけた最後のチャンスを目の前にしているような表情をしているので嬉し恥ずかし展開ではない別の何かなのは間違いないだろう。
というよりも、この子の姿に目を奪われ高まる鼓動を抑えられそうにない。
彼女は、ウエーブのかかった肩までの長さの明るい赤毛に、大きな目に小さな鼻にメガネをかけおっとりお姉さんといた雰囲気を醸し出し、胸はいい感じ(目視F)なのだが、何よりも彼女の下半身である。
彼女の下半身は髪の色と同じ赤毛の綺麗な毛並みをした馬の姿をしていたのである。
そう、この娘はケンタウルス娘そのものなのである。
もともとケモナー気質がある地球人代表としてはケンタウルス娘の登場に興奮を抑えれそうにないかもしいれない。
しかしここで興奮してしまってはこのケンタウルス娘に「何この気持ち悪い人」と言われ去ってしまうかもしれない。
ここは努めて冷静に変態かつ紳士な対応をしなければならないだろう。
それにしても実にいい毛並みだ。毎日欠かさずブラッシングなどでケアしいるのだろう。
実にいい肌触りではないか。
「あ、あの……」
「……あまりにもいい毛並みだったのでつい。すまない」
「いえ…」
どうやらやってしまったみたいである。
上半身はこの学園都市のどこかにあるであろう学園のブレザーなのだろう衣服を、前足と後ろ足には麻でできたズボンみたいなのを履いているのだが、腹はそのまま馬の身体を露出していたので気がついたら撫でていた。
もしこれが年頃の、普通の娘だったとしたら、制服の隙間からちらりと見えたへそを触ってしまったみたいなものなのだろうか?
ものなのだろう。
顔を真っ赤にした目の前のケンタウルス娘を見ればやはりセクハラに該当しそうである。
とにかく、話を逸らして誤魔化すしかない。セクハラで捕まるとか避けるべき未来である。
「そ、それよりも俺に何か用だったんじゃないのか?」
「あ、う…そうでした」
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