第27話 五人とひとりと古都の雅 6章

 どうも、ヤギです。毎度お馴染み八木真です。

 現在、俺と比企、桜木さんの三人は、置き屋さん・千翠の寮の二階に居座っていた、その昔は神様だったらしいお化けを縛り上げて、広隆寺へ向けて移動中です。

 もうすぐ目的地に着くぞってところまで来てるんだけど、比企の顔色がいつもより白っぽくなってて、冷や汗をかいてるのが、街灯の灯りでもわかる。それでも比企は足取りを乱すことなく、足元をのたくり、時折それでも逃げ出そうともがき、俺や桜木さんを威嚇しようとする黒い影を縛り上げた、細い縄の端をしっかり握っている。俺は影がやらかそうとすると蹴飛ばしているが、桜木さんは比企の体調を気遣いまるっきり無視。構ってるだけ俺の方がまだましなのかも。どうにか広隆寺のでっかい門を潜り、水月さんの引率で先に来て待っていた仲間達と合流した。

 みんなもう、すでにコートやジャンパーの上から白い狩衣をつけていて、俺と桜木さんも自分の分を受け取り、同じように身につける。こんな簡単な衣装でいいのかとも思うけど、比企が言うには、所詮は即席のにわか仕立てで行う祭事なので構わないのだそうだ。

「ただし、祈禱文はきちんとやらねばいけないだろう。そちらは私が引き受けよう」

 俺がゴソゴソとコートの上から狩衣を着ていると、比企は縄の端を握ったまま、器用に持ち換えていつもの白い軍用コートを脱ぎ、水月さんに預けた。そのまま指をパチリと鳴らすと一瞬で、俺達みたいなにわか仕立てでない、きちんと着込んだ白い狩衣姿に変わる。源が美羽子と二人で、スタンバイしていた広隆寺のお坊さんから松明をいただいて、もうお面をかぶって待っていた忠広から、俺も自分のお面を受け取って被る。目のところに結構大きな穴を開けてあるので、視界はばっちり問題ない。みんなの支度が整ったのを確かめると、比企はさっき折り紙で遊んでいた、あの牛を出して、ふうっ、と息を吹きかけた。

「ぶもう〜」

 立派な白牛があらわれた。A五ランク間違いなしの見事な体格だが、目を細めて比企に頭を擦り付け、めちゃくちゃ懐いている。比企は足元にいた影をひょいと拾い上げて握り、牛の轡を桜木さんに委ねた。

 時刻はもうすぐ八時半。頃合いやよし、と比企はうなずいて、鞍もない白牛の背にまたがる。牛は従順に、膝を折って座り、比企が背に乗りやすいよう体をかがめた。お利口さんだな。牛が立ち上がる。背の上から、比企は俺達の身支度を見守り手伝ってくれた、明らかに重鎮クラスであろうお坊さん達にペコリと頭を下げた。

「作戦中にて全礼を欠くことをお詫びします。今回の祭事の決行、許諾をいただきましたこと、ありがとうございます」

 高齢のお坊さんが愉快そうにケタケタ笑った。

「堅苦しいで梅ちゃん。いつも言うとるやろ、梅ちゃんは儂の孫娘じゃ、ほんとの祖父さんとおんなしに甘えてええねんで。それにな、こんなはちゃめちゃなこと、絶対おもろいことにしかならへんやろ。なあ」

 後ろに控えたお坊さんが、貫主、とめちゃめちゃ困った顔してるんだけど、ええから黙っとき、とあしらうと、

「まさかこの目で、先代もその前も見ることがなかった秘祭を見ることになるとは、梅ちゃん、最高やがな。これやから、あんたの手伝いはおもろうてやめられへんねん」

 後ろに控えてる中堅クラスであろうお坊さんに、貫主さんはお前もよう見とき、と声をかけた。

「このお嬢とのご縁、儂が御仏のもとに呼ばれた後でも切ったらあかんで。あんじょう仲ような。──ああ、梅ちゃん、つつがのう執り行われること、儂も御本尊にようけお願いしといたさかい、無事終わったら、お友達も一緒にな、あったかいお茶でも上がっていきや」

 ほなまた後でな、と本堂へ戻っていく貫主さんと水月さん。後ろについていたお坊さんも、一礼して続く。比企と俺達も深く頭を下げ、それから、グッと顔をあげた。

「では始めよう。戦友諸君、よろしく頼む」

 

 比企が手にした払子ほっすをさっと振り、俺達、即席神官御一行は、静かに本堂脇から裏へと回る。

 本当はぬさという、あの、よく神主さんが持ってるギザギザの紙の房がついてる棒を使うんだけど、比企は長い毛の束がついた棒を持っている。それでいいのかと訊くと、私はこれでも道家の端くれだからな、としれっと答えたものだ。

 さすがに元は折り紙だからか、牛はうんこを落とすことなく、お行儀よく、前を歩く俺達について、静々と歩く。小学生の頃、家族で牧場に行ったことがあったが、実際の牛は生きてる以上うんこもするし、牧場の芝生には転々と転がってたもんなのだが。

 比企は右手に毛がフサフサの払子、左手にグネグネと激しく身を捩る影を手に、牛の背に揺られている。桜木さんは、いよいよ白さを増す比企の顔色を気遣いながら轡をとって歩く。影はこれから何が行われて、自分がどうなるのか、不安をどんどん膨らませているのだろう。いよいよ激しくのたうち、どうにか逃れようと必死だ。比企は、左手首の傷口を押さえるハンカチが、夜目にも黒く濡れてゆくのもお構いなしに、ぎゅうぎゅうと影を握り押さえつけていた。

 行列はやがて、作法通り西側から祖師堂へ回り込む。気の早い初詣客が、俺達の行列を見て、年越しの行事と勘違いしたのか、写真を撮ろうとしているが、お巡りさんとお寺の若いお坊さん達が近づかないよう、ロープと三角コーンで区画整理してくれていた。たぶん、貫主さんや幹部のお坊さんの指示だろう。参詣客を相手に、秘祭ですので撮影はご遠慮ください、とアナウンスしているのが聞こえた。ほんと、ありがとうございます。

 そんな喧騒には目もくれず、比企は祖師堂の前へ迷わず歩を進めると、これまたためらいなく壇上に上がっていく。グネグネとのた打ち続ける影は、最後の抵抗とばかり、ここでぐわっと大きく膨張した。比企を頭から呑み込もうとする。おい危ないって! 

「いい加減にしろ」

 比企は軽い怒りを孕んだ声で叱りつけた。

「仮にもかつては神と崇められた身なら、それなりに少しは潔いところを見せてはどうだ」

 左手を更に、拳が白くなるほどギリギリと握ると、傷口を縛ったハンカチから黒いしずくが滴り落ちた。血が止まっていないのだ。

「さあ、それでは始めよう。貴様をあるべき場所に収めてやろう。道家仕込みの外道祭文げどうさいもん、掌教五千年の玄妙を、とくと味わえ! 」

 比企はぐい、と左手を天に掲げると、声高らかに唱え始めた。

「夫れ以れば、性を乾坤の気にうけ、徳を陰陽の間に保ち、信を専にして仏に仕え、慎を致して神を敬ひ、天尊地卑の礼を知り、是非得失の品を弁ふる、これ偏へに神明の広恩なり」

 聞いている俺にはさっぱり意味はわからないが、それにしたってどうなってるの。比企はカンペもメモも何も見ず、つらつらと祈禱文を詠みあげる。普段会話するときのようなイントネーションとはまるで違う、耳慣れない調子のご祈禱だ。

 祈禱文が続くにつれ、影の様子が変わってきた。

 グネグネとのたくり、逃げようともがく動きが徐々に小さくなっていく。だんだんと大人しくなり、やがて影はくったりと動かなくなった。

「如是等の振舞を以て、摩吒羅神を敬祭し奉る事、偏に天下安穏、寺家安泰のためなり。因て永く遠く拂ひ退くべきものなり。先は三面の僧坊の中に忍び入りて、物取る銭盗人め、奇怪すわいふはいやふ童ども、木木のなり物ならんとて明り障子打破る。骨なき法師頭も危くぞ覚ゆる」

 影の様子がまた変わった。だんだんと暗さが薄れて、徐々に輪郭が小さくなって、少しずつふわりと明るくなっていく。それにつれて比企の祈禱文の暗唱も、更に高らかに詠われてゆく。

「冬に向かへる大あかがり、竝にひひいかひ病、鼻たり、おこり、心地具つちさはり、傳死病」

 比企の左手首からはもう、ダラダラと血が滴っている。それでも比企は祭文を詠みあげる口上を止めない。

「しかのみならず、鐘鏤法華堂のかはづるみ、讒言仲人、いさかひ合の仲間口、貧苦界の入たけり、無能女の隣ありき、又は堂塔の檜皮喰ひぬく大鳥小鳥め、聖教破る大鼠、小鼠め、田の嚋穿つ土豹、此の如き奴原に於ては、永く遠く根の国底の国まで払ひ退くべきものなり。敬白謹上再拜」

 祈禱文をおしまいまで詠みあげた、そのとき、比企の左手に握っているのは、影なんかではなかった。

 手首から血を滴らせたまま握った拳は、内側から強く眩しい光が漏れ出している。

 比企はそっと手を開いた。

「さあ、行くといい。後ろ戸の神とは、摩多羅神が持ついくつもの層の一つ。溶け合ったものとして祀られることはあれど、これで忘れ去られることも、打ち捨てられることもない」

 小さな、豆粒くらいにまで縮んだ、でもとても眩しい光は、つう、と比企の手から宙に浮き上がった。

「憎まずとも、祟らずとも、悲しまずともいられる場所だ。そこはあなたのいるべき座だ」

 光は、俺たちの頭の上をついーっと一巡りすると、比企の周りをくるりと舞って、そのまま、夜空のどこかに消えていった。

「終わった、の? 」

 しばらく夜空を見ていた俺達だが、おずおずと美羽子が訊ねて、はっと我に返った。

 これで解決ですか。まあ、流れから行けばそうだよなあ。

 比企は壇上から降りて、下で待っていた俺達のところに戻ると、額を濡らす冷や汗を拭った。パチンと指を鳴らすと、さっきまでのジーンズにセーター姿に戻っている。

「これで無事終了だ。では戦友諸君、帰ろうか」

 にっと笑って言うと、比企はそのまま後ろにぶっ倒れ、桜木さんが慌てて受け止めた。

 

 一夜明けて、元旦の朝。

 京都のお正月は、家で過ごすのと違って、賑やかだけどどこか凛とした、清らかな空気を感じる。

 比企と桜木さんを除いた俺達六人は、朝一番で八坂さんへ行き、初詣を済ませた。あの二人ですか? まあ、こうしてごちゃごちゃ説明するのも無粋だけど、でもやっぱり、ここまで話しててそれっきり、ってのは、気になるよね。

 まず、ゆうべぶっ倒れた比企ですが、原因は短時間での極度な消耗と失血だった。瞬間、目眩を起こし倒れたものの、すぐに目を覚まして、救急車を呼ぼうとする桜木さんを遮ると、比企は知人に連絡するよう頼んだ。

「医者だ。知らせを入れれば何も聞かずに察してくれる」

 取るものもとりあえず、貫主さんに頼んで奥の部屋をお借りして比企を寝かせる。桜木さんが比企の端末で、言われた相手に電話をかけると、待つというほど経たないうちに、その人はやってきた。

 歳は五十を過ぎてはいないだろう。長身で痩せていて、疲れたような顔色だけど、比企を見て楽しそうに笑うと、相変わらず平気で無茶をするな、とその男は言った。大きな診察鞄を広げて、アルコールで湿らせたガーゼと消毒綿で血を拭い、傷口を見て愉快そうにまた笑う。

「また派手にやったな梅坊。晴信に見せてやろうか。あいつなら今ちょうど瓜生山にいるぞ、呼んでやろうか? 」

「冗談でもあの因業爺の名前を出すのはやめてくれ先生。あんなクソ野郎、顔を見たら傷の治りが悪くなる」

「そう邪険にすることもないだろ。長い反抗期だな」

「先生、あいつを呼んだらあんたの尻穴溶接して、額に新しいのをこさえるぞ」

「おっかないなあ、おじさん泣いちゃうぞ」

 憎まれ口を叩きながらも、比企は治療を任せているので、きっとすごいお医者なんだろう。夏休みに骨折したときには、病院へ行くのを嫌がって、自分で流木とガムテープで固定してたもんな。

 謎のお医者は比企の左手首の血管を、綿状の繊維シートをカットしたのでつないで何かのペーストを染み込ませてから、傷口にシルバーのファスナーみたいな金具を這わせて噛み合わせた。ファスナーは傷の長さに合わせて切って、最後に細いキラキラした糸を抜くと、しっかり噛み合って外れなくなる。

「梅坊、この程度の応急処置なら自分でできるだろうに、どういう風の吹き回しだい」

 ファスナーの上から包帯を巻いて、お医者が訊ねた。比企は起き上がって、桜木さんを指すと、そういうのは監督官が嫌がって説教されるんだ、と肩を揉む。

 お医者はブホッと吹き出して、それから俺達を見て、このかわいい青少年達は、と重ねて訊ねた。

「戦友だ。学友でもある」

「なるほどね。ああ、そうか、こんなかわいいお連れさん達には、淡々とひとりブラック・ジャックごっこしてるところは見せられないわなあ。それで私を呼んだのか」

「少なくとも京都で、安心して体をいじらせられるのは先生だけだ」

 そいつは光栄だ、とお医者は言って、道具を片付け立ち上がった。

「言うだけ無駄なのはわかり切ってるが、その腕で暴れるなよ。手首から先がもげ落ちるぞ。それと、一応晴信には、梅坊が怪我をしたから手当てしたとだけは報告しておく。あとはお前達親子の問題だな」

 比企はひらひら右手を振って、診療代はちゃんと請求してくれ、とだけ答えた。

「馬鹿いえ、この程度、わざわざ金取るほどじゃないさ」

 無茶はするなよと苺色の髪をくしゃくしゃ撫で回して、謎のお医者は座敷を出た。

 見送りに出た俺達に、お医者は梅坊をよろしく、と言って、全員に名刺をくれた。

「家族や友達が難しい病気や怪我をしたら、いつでも連絡しておいで。大概のことはどうにかできると思うから」

 名刺の表には、医師とかじゃなく、ただ「人形師 永瀬」とだけ書かれていた。桜木さんが目を剥く。え。そんなすごい人なの。てゆうか人形作ってる人が、なんで医者なんかやってるの。

 桜木さんが低い声で、並んで座っていた俺とまさやんの間に顔を寄せ耳打ちした。

「人形師っていうのは、この前の事件で君達も見たヨロイの、特にハイエンドの機体のコントロールシステムを創ってる人達のことだよ。その中でも永瀬博士は三本の指に入る、世界最高峰の科学者だ」

 まじか。どこでどんなコネと人脈持ってるんだこいつは。てゆうか、そんなすごい人を出前感覚で呼び出すなってば。

 見送りに立った俺達と桜木さんを、永瀬博士はちょっと嬉しそうに見て、そうかと小さくうなずいた。

「ああいう子だからな、昔から見てると心配でなあ」

 できる限りでいい、仲よくしてやってくれ、と源の肩をポンと叩き、かわいいお嬢さんもよろしく頼むよ、と美羽子にも声をかけて、それから桜木さんに意味ありげな笑みを向ける。

「梅坊にいうこと聞かせられるってだけで大した若造だ。あの子の手を離さないでやってくれよ」

「…え、」

「過去が過去だからな、梅坊は信じた相手に放り出されれば、自分を見限って無茶をやるんだ。昔な、あったんだよ。そういうことが」

 よくわからないけど、わからないなりにうなずく俺達に手を振って博士は引き揚げた。それを潮に水月さんも、梅ちゃんをよろしくね、と引き揚げて行った。

 奥で寝かされていた比企が出てきたところで、除夜の鐘が鳴り始める。俺達は揃って初詣の行列に並んだ。

 やがて行列は動き出し、小一時間も経った頃、俺達に順番が来た。みんなで並んでお賽銭投げて、なむなむと拝む中、桜木さんはやっぱりずっと眉間に縦皺寄せてぶつぶつ呟いていた。がんばれよ桜木さん!

 んで。境内であったかい甘酒をいただいて帰り、ひと晩ゆっくり休んで、それでも京都で元旦という状況にワクワクしっぱなしの俺達は、家で過ごすよりずっと早くに起き出して、八坂さんへまっしぐら。

 比企ですか。まあ、今お話しした通りの体調なので、一緒に起き出してはいたものの、桜木さんから外出禁止を言い渡されて、元旦早々お粥とか食わされてました。俺達にはお雑煮作ってくれたんだけどね。あと、おせちは千翠の女将さんやお姉さん達が差し入れてくれました。やっぱり美女は心もきれいなんだよ。

 たぶん今頃は、枕元で桜木さんが、膝詰めでお説教しつつあれこれ質問をぶつけていることだろう。永瀬博士のこととか、水月さんのこととか。しかし、まさか桜木さんがあそこまでジェラスな感じだったとは。

 あ、いけね。そういえば桜木さんに、水月さんは結婚してて美人の奥さんとラブラブで子供もいるって、まだ教えてなかった。しまった。でもまあ、急ぐこともないだろう。その方が面白いし。

 

 今度のお化け騒動は、こうしてひとまず無事に片がついた。

 一人が熱心に信じることで生まれた小さな神様は、神様になり切る前に自分を信じる者がいなくなり、そうして自分の姿を見失い、化け物になってしまった。

 人間も神様も、やっぱりひとりでいたのではダメなんだ。自分がここにいて、そして、確かにここにいるのだと知ってくれる誰かがいて、それで初めて生きられるんだ。

 冬の晴れた朝は寒くて、口の中を火傷しそうなくらい熱い明石焼きの出汁を啜り、そんなことをふと漏らした俺に、美羽子はくふんと鼻を鳴らした。

「触れる私と触れられるあなた、ってことね。どっちも欠けちゃダメなのよ」

 なるほど。うまいことまとめたな。

 世界は広いのだと教えてくれる誰か。世界は確かにここにあるのだと感じる自分。どっちもなければ何も生まれない。そのどちらを奪われても、人間に限らず、心を持つものは生きてはいけないのだ。

 ゆうべ、永瀬博士が気になることを言っていた。

 ──あの子の手を離さないでやってくれよ。

 博士の言うのがそういう意味を踏まえているのだとしたら、一体、比企はどんな過去を生きてきたのだろう。

 気にはなる。正直なところは。でも、それは絶対に訊いちゃいけないことのような気もするのだ。比企のことだ、訊けばなんでもないことのようにあっさり答えるだろうけど、でもそれは、そんな風にスナック感覚で訊いちゃいけないのだ。たぶん。

 なので、俺達は今、比企の友人、仲間としてできることをまずやることにした。すなわち。

 たこ焼きとチーズドッグとポテトフライ。お好み焼きにりんご飴、焼きそば、カルメ焼。境内の出店を回ってどっさり買い込むと、みんなでポリのレジ袋をさげ、花見小路へ引き揚げた。

 これだけ買い込めば、底なしの比企の胃袋だって多少は満足できるだろう。

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