第104話 コレでも、このお話、年齢制限なしだワン!

「ヒイロ! 私たちまだ未成年だよ!」

「そうだワン! コレでも、このお話、年齢制限なしだワン!」

「そんなことしたら、このお話、強制削除だにゃ~!」

「ウルルも、そんなことしないですぅ……するなら、袋ごと潰してのむですぅ……」

「まぁ、うちは、そっちでもよかったんでアリンスが……ライムはんが……」

「ライムがなんだ?」

「フフフフ! よくぞ聞いてくれました! ジャーン!」

 ライムの手には、銀色に輝く何かが握られていた。


「なんだそれ?」

「えっ? ヒイロ知らないの? もう、お子ちゃまだなぁ……」

「いや……見たことはあるが……」

「これはね、『立形水飲水栓たてがたみずのみすいせん』と言って、公園の水飲み場とかでよくあるじゃん! ココをひねれば水が噴き出してゴクゴクと飲める蛇口だよ!」

 それは、ライムの物質精製能力で作られしハンドルがついた立水栓りっすいせん

 その銀色の棒状の先端にはカリのようなまん丸頭。

 頭の頂点にはまるで提灯庫チョ●ちんこのように水がでてくる穴がポツリと空いていた。


「いや……名前ではなくてな……それをどう使うのかという事が問題で……」

「えっ? そんな事」

 ライムは、あぐらをかくヒイロのズポンのウエストをいきなり引っ張って下げた。

「イヤン! エッチィ!」

 身をよじるヒイロ。

 だが、ライムは気にせずエイっとな!

 立水栓をヒイロの下腹部に突き立てた。

 ブスリ! という音共にそそり立つ立形水飲水栓!

 ヒイロの息子より立派カモ……

「ハイ出来上がり!」

 そういうライムがクルクルと蛇口を回すと、白い液が飛び出した。

「あぁ! もったいないでアリンス!」


 あぁぁ……力が失われていく……

 一瞬気が遠くなるヒイロの視界。

「あぁ、ダメダメ! また、ヒイロが気を失っちゃうじゃない!」

 急いで、ライムは蛇口を閉めた。

 ヒイロが、はっと我に返る。

「お前たちか! やっぱりお前たちだったのか!」

「いいじゃない! 減るもんじゃないし!」

「減るんだよ! 男だって体力使うんだよ!」

「でも、切って血が出るよりいいでしょ!」

「まぁ……そうだが……で、この引っ付いた立水栓……この後どうするんだ?」

「当然、外すんだよ」

 エイ!

 ブチ!

 いてぇぇぇっぇぇぇぇぇぇ!

「あれ……痛かった?」

「痛いに決まっとるだろうが!」

「いつもは気を失っていたから気が付かなかった! ごめんね」

「血が出とるがな!」

「あぁぁ、もったいないでアリンス!」

「舐めるな!」

「こういうプレイはお嫌いでアリンスか?」

「そんなこと言っとる場合じゃない! これ見ろ、血が噴き出しとるだろうが!」

「ハイハイ! バカ言ってないで、そこどいて!」

 ライムが、指をつけると赤き光が傷口を覆った。

 たちまち、ヒイロの傷口がふさがる。

 だが、ライムの指先がどろりと溶けおちた。

 すかさず、超回復薬を飲むライム。

「ぷはぁぁぁぁ! マズイ! もう一杯!」


 宙に浮かぶローブの男は、そんなライムを見た

 ――ダメージ転嫁だと! あの力は前任者であるラブの力! もしかして……

 だが、男もまた忙しい。

 なにせ、黒い霧でテコイを魔獣に進化させても、次から次にボッコボコ!

 なんだかんだですでに10回ほど黒い霧を吹きつけていたのである。

 男は11回目の霧を噴き出しながら、ライムに向かって叫んだ。

「そこの幼女! お前、もしかしてラブでもあるのか?」

 でもあるのか……

 そう、男は、てっきり、この幼女の事を物質生成能力があるイブだと思っていた。

 だが、ラブの能力であるダメージ転嫁も有しているという事は、ラブでもあるのだ。

 一つの体にイブとラブがいるという事なのか?

 意味が分からない。

 だが、あの二つの能力は紛れもなく前任者の力。


 ライムは、鋭い目を空の男に向けた。

「何言っているのよ! 私はライムよ! ラブなんて知らないわよ!」


 ――知らないだと……

 男は驚く。

 あの幼女は、わざとそのように言っているだけなのか?

 それとも、もしかして記憶を失っているとか?

 いやそれより、ラブとイブが一つの体に存在しているということなのか?

 なら!

 ――ヒイロを殺してあの幼女を封印の地まで連れ戻すのみよ!

 男はさらに黒い霧をテコイに吹き付けた。


 さらにテコイの姿が肥大化する。

 というのも、グラマディとアリエーヌによってボコボコにされるたびに黒い霧によって復活をとげていた。

 だが、復活するたびに異形のモノへと変わっていく。

 すでに、テコイの姿はゴキブリの領域を超えていた。

 その姿はまるで鬼……

 ゴキブリとも人間とも全く異なる異形のモノ。


 起き上がるテコイ。

 それを見上げるアリエーヌたち。

 そう、アリエーヌ達のはるか頭上にテコイの頭があったのだ。

 すでにグラスが掘った大穴からも顔がはみ出している。

「なんなのじゃ……こいつ……」

「アリエーヌ! ここではもう戦えない! 穴から出るぞ!」

「ちょっと待ってや! ウチを置いて行かんといて!」


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