第16話 リザレンスにてpart2



 前までの私にとって世界はよくわからないものだ。どうでもいいことだったし。なりたいものなんてなかっんだ。私はずっと持病のせいでベットの上いるからね。こんな体じゃなければと何度も何度も恨み続けたがどうにもならかった。ただの八つ当たりだからだ。夢も何もなく生きていたそうしたらいつの間にか死んでいた。原因は私にもわからない。恐らく誰かに殺された。頭に物凄い衝撃が残っているからだ。なかなか不愉快な記憶だ。こうして私は転生した。濁流のような前世の記憶を持ちながら。






 う、、、。眩しい。私はベットで目を覚ました。んーここはどこだろう?






「おめでとうございます。可愛い女の子ですよ。」






「ありがとう。早く戦争が終わってあの人にもみせてあげたいわ。」






「そうですよね。早く戦争終わって欲しいですよね。」


え?なんて言ってんのかさっぱりわからない。でも喜んでいるような。そうじゃないような、、、。日本語話してよ!






「今は我がリザレンス軍が優勢であともう少しで向こうの大きな国を滅ぼせるとのことです。あともう少しの辛抱でしょう。」






「だといいわね。」


ダメだ全然話についていけない。でも女の人がお母さんで白衣を着てる男の人はお医者さんなんだってことならわかった。






「それではお子様の精密検査があるのでしばらくお預かりいたします。」






「よろしく頼むわ。」






「お任せください。」


そしてお医者さんは私を運んで階段を降り何階かわからないけれど少し大きな部屋に連れてこられた。テレビとかでよく見る透明な箱のようなものに入れられた。そこから色々な検査が行われているのだろうがびっくりするぐらい暇もう数日立ったんじゃない?。赤ちゃんがいっぱいいるけど話しかけても反応するわけないよね。






「先生。この赤ちゃん全然泣きませんよ。意識がないのでしょうか?」


なんていてるのかはわからないけど。看護師さんたちが首を傾げてるからこれならわかる。


検査が長引くということ。絶対やだ。取り敢えず泣き落としでもやって見よう。






「おぎゃあ。おぎゃあ。」


我ながら上手いんじゃない?上手く目が開かないから今はこれが精一杯。






「よかった。ちゃんと泣いてくれた。これで異常はまったくなしと良かったねお母さんのところに戻れるよ。」






 泣き真似をしたら疲れちゃった。赤ちゃんだから体力があまりないのかな?私は看護師さんの手の中で意識を手放した。






 目を覚ますとまた知らない天井。木造の古い感じの家だった。周りを見てみる。あらま、ずっごく汚い。お母さんは掃除が苦手なのかな?






「あら起きたのね。ミルク作ってみたわ。美味しいかどうかわからないけど。」


お母さんが手に持っていたのはミルクっぽい液体が入ったボトル。私を抱っこしたと思ったらボトルを私の口に突っ込んできた。






 思わず吐き出しちゃった。うえ、まずい。お母さん料理も下手なのかな?ちょっとだけ将来に不安になっちゃった。見た感じ裕福ではないよね。






 それから私は絵本をたくさん読んでみた。最初は何を書いてあるのか全然わからなかったけど絵本だから前世の記憶と結びつけて大体の文字はわかったんだけど。問題は話す方なんだけど。絵本だけじゃなんて読むのかわからない。このままじゃ自分の名前も知らないまま死んじゃうよ!どうしよう。






「あぎゃ。あぎゃ。」


絵本を持ってお母さんの所にいってみた。これなら話す方もわかるよね。






「あらどうしたのセイラ?その本読んで欲しいの?」






「あぎゃ!」


お母さんは絵本をよんでくれた!文字の法則みたいなのもわかったし絵本に書いてある簡単な単語ならわかったしあとは辞書でもあればいいんだけどね。






 それから私は5歳になった。言葉もだいぶ覚えて話せるようになったんだ。その時に玄関のドアが空いた。男の人が入ってきた。誰なんだろう?剣を持ってるまさか強盗?生まれてそんなにたってないのに殺されちゃうの?






「おかえりなさい。無事に帰って来てくれてありがとう。ご馳走の用意をするわね。」






「ただいま。ご飯は後でいいよ。それよりも僕たちの子供をみせてくれないかい?」


あれ?なんだかほっこりした雰囲気だね。まさかお父さん?よく考えれば強盗なんて入るほど裕福じゃなかった。




「パパ?」






「うんそうだよ。セイラのパパだよ。」






 お父さんは私を抱き上げた後直ぐに行っちゃった。でもとっても嬉しそうな顔で私を高い高いしてくれた。私もうれしくなっちゃう。






 この国の中心部の大きな屋敷に数日後引っ越した。お父さんがこの国の貴族になったんだって男爵家ってことは一番低いくらいだけどすごくない?庶民から貴族になるのはこの国では初めてのことなんだって。






 私は屋敷の本を全て読んでみた。そのおかげでこの世界の言語はほぼ完璧!でもある問題が起きた。この家から別の家に移るんだって。新築なのになんでだろう。






 引っ越したさきはとっても年季のある屋敷。大きさはそんなに変わらないけどとても古い人が住んでいけるのかわからないレベルだよ。






 引っ越した所の生活は意外と悪くないんだよ。むしろいい方だった。外見は古いけど中はしっかりしているし町の人たちの態度も前の町より段違いにいい。見たことあるなと思ったけど私が二番目に目が覚めた家覚えてる?あそこのあたりでお父さんとお母さんの故郷なんだって。しかも執事も雇ったんだ。ヒデさんっていうらしいよ。






 それから5年がたち10歳に私はなった。10歳になったということは学校に行けます。前世じゃ体が弱くて学校云々なんていってる場合じゃなかったからとても楽しみにしてなのに。いざ行ってみると。






「あんたが人殺しの娘?偉そうに貴族と同じ空間にいるなんてどんなつもり?」






「野蛮人が偉そうに学校に来ないで頂戴。同じ空気をすいたくないわ。」






「これだから庶民は常識がかけてるのよ。」


こんな風に罵倒されまくったのよね。でも嫌なことばかりだったかというとそうではなかっけどね。






「あなたがセイラ?」






「そうですけど。」






「私の名前はジェナ。私違う国からの留学生なの。よろしく。」


真っ黒な髪に青い色の目をした人だ。






「よろしくお願いします。それで何か用でしょうか?」






「友達にならない?」






「え?」






「恥ずかしいから何度も言わせないでよ。友達にならない?」






「私なんかでいいんですか?」






「うん。だってここの国の貴族たちは縄張り意識が強すぎて友達がなかなかできなかったの。でもあなたはそうじゃないみたいでし。」






「そういうことなら喜んで!」


これが私の初めての友達であるジェナさんとの出会いだった。ジェナさんは私が他の貴族たち絡まれている時に「今急いでるの邪魔しないで。」と袖を引っ張りその場から逃げる助け船を出してくれたり授業でわからないところを教えてくれたりと色々なことを教えてくれたんだ。






「ジェナさんって優秀なんですね。」






「まあそうじゃなければこの国に留学なんて出来ないよ。」






「確かに。」






「でもあなたもすごいね。一回教えただけでほとんど理解してしまうんだから教えがいがあるよ。」






「それはジェナさんの説明が先生たちよりわかりやすいからですよ。」






「ありがと。」


顔を赤めながらジェナさんはそう返してくださいました。照れてるのかな?






 5年間私達は学校内ではずっと一緒にいる中になったんだ。そりゃ初めての友達だったから嬉しかったよとってもとってもね。家ではおかあさんと一緒に色々な所にいったんだ。不満があるとすればお父さんと出かけたことがないことかな?いつも仕事が忙しいっていわれえ断られちゃうんだ。でもいつかは家族みんな一緒にどこか出かける日がきっと来るよね!








 その日もいつも通りの朝だった。いつもと違うのは雲行きが怪しいくらいかな?学校の準備をして1階に降りヒデさんが準備した朝ご飯を食べて家を出た。


「いってきます!」


私は元気よく家を出た。風景や天気は主人公の心の中を表すと言われてるけどまさかね。私は主人公なんかじゃないだからこんな天気なんて関係ないよね。私は自転車にまたがり自分の家を後にした。






 学校につくと案の定土砂降りだ。危ない危ないあと少し出るのが遅れてたらずぶ濡れだっただろう。教室に入ると後ろの方で自習しているジェナさんがいた。よかった何もなくて。






「すこし遅かったね。なにかあったの?」






「いいえなにもありませんよ。ただ雨が強いなと思っただけです。」






「そう。何かあったら相談してね。」






「?。わかりました。頼りにしてますね。」






 またまたジェナさんは赤面してしまいました。いま何か赤面させることを言いましたっかね?






「おいお前たち席に着け授業を始めるぞ。」


先生がはいってきました。






「今日はだな、、、。」


今日一日は今朝のことが気になって授業に集中できなかった。嫌な予感というのは的中することが多いのだから。








「今日は自習していかないの?」


ジェナさんが心配そうにそう聞いてきた。






「はい、、。今日は天気が悪いから。」






「そうだけど、、、。」


今度は不思議そうに言いました。






「大丈夫です。今日だけですから。」






「わかった。じゃあまた明日。」






「うん!また明日。」


私はすこし足早に教室を出た。この不安を今すぐに確認したかったから。雨はますます強く降っていた。








「ただいま!」


大きな声で挨拶をたが返事が返ってくる気配がない。まさかね。家の中を探索して2階お母さんはお父さんの部屋にいた。よかった無事だ。声をかけようとした瞬間見てはならない光景が目に入った。いや入ってしまった。お父さんが倒れていたのだった。






 その場にはお医者さんが多くいた。それはそうだろうだって男爵なのだから。






「お母さん。お父さんは無事なの?無事なんだよね?無事なんだよね!?」


私は歯を震わせながらそう問いかけた。わかっていたんだ。わかっていたけど認めたくなかった。お母さんは私を見て何も言わずに消えてしまった。現実から目を背けるように。






 そういう私はというと急いで家を出た。ヒデさんに止められたけれど急いで外に出た。私はお父さんのことを何も知らない。10年間一緒に住んでいたのに何も知らない。なのにどうしてこんなに悲しいのかな。






 私は上を見上げた。物凄く強い大粒の雨が私の顔を叩きつける。天気も私を責めてるのかな。でももう遅いよ。いなくなっちゃったよ。






 私は大声で泣いた。この世界にきて初めての大声で泣いた。ただひたすらに感情のままに泣き叫んだ。雨の音が声を消してくれる。このどうしようもない後悔までも雨で流れてくれたらいいのに。






 それからというもの私は全てにおいて無気力になっていた。学校にも行かないしご飯も食べないし外にも一歩も出なかった。見かねたヒデさんは7時にご飯を食べるというルールを作っていたけど、どのみち何も食べられなかった。






 ジェナさんが心配で何度か家に訪れたけれどもどういう顔をして会えばいいのかさっぱりわからなかったので面会を拒否した。友達に弱みなんて見せられないし。






 お母さんは自室に籠り仕事をしている。貴族というのは世襲制だからそれは仕方ないだろう。それでも無茶だけはしてほしくなかったけれども寝てなさそう。とっても心配だ。






 3日の時が過ぎた。今日は天気がいい。何かいいことでもあるのかな?何もすることがなかったので気晴らしに外に出てみた。学校にいける体力なんてなかったから散歩のようなものだ。ずっと歩いていると国門のところまできてしまった。






 そこで彼女と出会った。乙女色の髪をした天使のように美しい彼女に。大人っぽいクールな外見をした少女だった。思わず目を奪われてしまった。一瞬悩みが吹き飛んでしまった。目が合った。気のせいかもしれないでもとても美しく暖かい瞳だった。彼女はジープに乗り込みすぐさま行ってしまった。






 私は思わずジープを追いかけてしまった。必死で必死で追いかけた。追いつくはずないのに。もう一度会いたい。会って話を聞いてもらいたい。悩みを打ち明けたい。そんなことを考えていた。どんどん離れていく。待ってよ。おいていかないで。






 肩を落としながら私は帰宅した。夕方だった。いいことなんて何もなかったじゃないか。






「お嬢様。今日は葬儀屋様がいらしておられます。」


ヒデさんがそういった時私はまさかと思った。まさかまさかまさかまさか!私は階段を駆け上がり葬儀屋様のいる部屋を何回もノックした。ドアが開いた。やっぱりそうだ。この乙女色の髪間違いない。運命かと思った。この人なら弱音を吐いても優しく受け止めてくれそう。第一声目としては間違っているかもしれないけど早く打ち明けたかった。これ以上家族を失いたくなかった。だから私はこういった。






「お母さんを助けて。」と


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