第3話 痴漢の対応

男の腕をつかんだまま青ざめている篠崎と一緒に次の駅で降りる。


男はどうにか俺の腕を振りほどこうとあがいていたが、力を加えて腕を握りつぶしてやると悲鳴を上げておとなしくなった。

俺の握力をなめるなよ。


「おっさん。何したかわかってるのか?」

「ご、誤解だ。この女が誘ってきたんだ!」


そんなことがあるわけないのによくもまあそんな言い訳を思いつくものだ。

この手のやつの思考回路はよくわからない。


「ま、いいや。篠崎、おっさんは押さえておくから駅員を呼んできて」


篠崎は青ざめた顔をしているものの俺の言葉にうなずき駅員を呼びに行く。


「この女ぁぁあ!やめろ!」

「うるさいよ、おっさん。おとなしくしてろ」



篠崎が駅員を連れてくると俺は駅員に色々と事情を聞かれた。篠崎は顔を青ざめるばかりであまり上手く話せないようだったので基本的に俺が事情を説明した。

事細かに事情を説明すると駅員は納得したようで暴れる男を連れて行った。


何かあったらまた駅員から連絡があるらしい。とりあえず俺たちは解放された。


時間にして1時間くらいか。その頃になると篠崎も落ち着きを取り戻したのか俺にお礼を言ってきた。

「村田君。ありがとう」


村井だよ!誰だよ!村田って!

まあ、人に期待する事をやめた俺は名前を間違っていることも指摘しない。


「私、本当に怖くて。目が合ったときすぐに気づいて助けてくれたこと、本当に嬉しかった」

「そう。それは良かったね」

その前目が合ったとき速攻で逸らされたこと、俺は忘れてないけどね。


「とりあえず、学校行こうぜ」

今から行くと学校は確実に遅刻だ。


そういうと篠崎は顔を赤らめた。

「…ふ、ふたりでこの時間に一緒に学校に行くと周囲に誤解されちゃうね」


…ああ、そうですか。この後に及んでボッチ野郎と一緒に行くのは嫌だと。

いや、そうだな。俺もカースト上位の奴と一緒に登校するとなると周りの奴らがちょっかいとかかけてきそうな気がするしガチでめんどくさそうだな。


「OK。俺、ちょっと時間をずらして登校するから先に行きなよ」

そういって俺は近くの書店に足を向けた


「えっ?ちょっと!?村田君?」

後ろから篠崎の声が聞こえてくる。


俺は村井だっつーの!

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