【Web版】大家さん、従魔士に覚醒したってよ(書籍タイトル:俺のアパートがダンジョンになったので、最強モンスターを従えて楽々攻略 大家さん、従魔士に覚醒したってよ)
第936話 私を誰だと思ってるの? モフ神様だよ?
第936話 私を誰だと思ってるの? モフ神様だよ?
リルが嫌がったため、真奈のパーティーを闘技場ダンジョンに送るのは藍大が代行した。
ガルフは少し寂しそうな表情になったけれど、リルが真奈と近づきたくない気持ちは理解できたので仕方ないかと諦めた。
真奈はリルに送ってもらえると思ってウキウキしていたが、実際には藍大に送ってもらったのでしょんぼりしていた。
今の藍大にそんな振る舞いができる者はこの世界ではほぼいない。
そういう意味で真奈はレアな存在と言えよう。
その反面、睦美は藍大に迎えに来てもらえて恐縮ですと模範的な態度を取るから、大会議室にいる参加者達はこっちが一般的なんだと思い直した。
やはりモフラーはどこか振り切れているのだ。
さて、真奈はガルフ以外に戦うメンバーを厳選して召喚する。
『【
クリアシープのメルメとケリュネディアーのロック、アイトワラスのニャンシーはよく聞く名前だが、アイザは藍大が初めて見るのですかさずモンスター図鑑で確認した。
-----------------------------------------
名前:アイザ 種族:シーサー
性別:雄 Lv:100
-----------------------------------------
HP:3,000/3,000
MP:3,500/3,500
STR:3,400
VIT:3,600
DEX:3,500
AGI:3,500
INT:3,500
LUK:3,000
-----------------------------------------
称号:真奈の従魔
到達者
ダンジョンの天敵
アビリティ:<
<
<
装備:なし
備考:家を見守るだけの簡単なお仕事に戻りたい
-----------------------------------------
(真奈さん、遂にシーサーまでテイムしちゃったか。ゲンみたいだな)
藍大がそんな風に思っていると、真奈がアイザにドローンを見るよう命じる。
『アイザ、皆にご挨拶しようね』
『アイザだ。よろしく頼む』
真奈がドローンのカメラに向かってアイザを挨拶させた。
アイザは早く帰りたいようだが、その願望よりも真奈に逆らえないので真奈の指示を優先した。
『さあ、張り切って行くよ。なんだかモフモフの気配を感じる』
『主人、まだボス部屋の扉を開けてないからわからないでしょ?』
『私を誰だと思ってるの? モフ神様だよ?』
『クゥ~ン・・・』
レザージャケットを手に掴んでポーズを披露する真奈に対し、この神はもうだめかもしれないとガルフが鳴いた。
それと同時に大会議室ではリルが藍大の膝の上でプルプル震えていた。
「大丈夫。大丈夫だ。俺が絶対に守ってあげるからな」
「クゥ~ン」
藍大に頭を撫でられてリルは少しずつ気持ちを落ち着かせることができた。
リルとガルフのリアクションは置いといて、真奈はボス部屋の扉を開ける前から1階にモフモフがいると確信している。
実際に扉を開けてみたところ、部屋の中心にはカンフュールが待っていた。
カンフュールは真奈を見た瞬間、ヤバい奴が来たと目を見開いて逃げ出した。
『ガルフ、<
『了解』
ガルフは真奈の指示通りに<
『みんな、あのカンフュールを部屋の隅に追い詰めて!』
攻撃しろという指示じゃない時点で真奈がどうするつもりなのかはお察しである。
カンフュールは真奈から感じる異様な気配を恐れて逃げるが、メルメとロック、ニャンシー、アイザに包囲されて3分後にはボス部屋の隅に追い詰められていた。
ここまでお膳立てされれば後は真奈の番だ。
『ダン〇ン! フィー〇キー! ドゥー〇ディーサーザコンサ!』
カンフュールは一瞬自分が何を見させられているのかわからずポカンとしていたが、すぐに警戒して踊っている真奈に近づくものかと気を強く持っていた。
しかし、2回目にリズムを聞いている内にカンフュールもリズムに乗って体を揺らし始めてしまう。
3回目になると、カンフュールは真奈のダンスに釣られて自ら真奈に近寄ってしまった。
『テイム!』
真奈は近づいて来たカンフュールにニコニコしながらビースト図鑑を被せてテイムに成功した。
これには大会議室で視聴していた参加者達が戦慄する。
「ヤバい。何がヤバいって全くタイムアタックとか気にせずテイムを楽しんでるところがヤバい」
「これがモフ神。
「誠也さんがこの動画を見たら頭を抱えるでしょうね」
コメントを残したのは順番に茂、結衣、理人である。
真奈の自由奔放な振舞いに苦笑するしかなかった。
だがちょっと待ってほしい。
結局テイムに要した時間は6分であり、なんだかんだでタイムアタック的にはかなり良いペースなのだ。
狙わずとも良いペースなのが真奈の恐ろしいところだと言えよう。
2階に移動した真奈達だったが、彼女達を待ち受けていたのはクロコッタだった。
クロコッタは雑食枠としてブラドが選出したけれど、モルガナがモフモフ枠のモンスターを選べなかった時はモフモフ枠の補欠としても選出していた。
つまり、何が言いたいかと言えばクロコッタもモフモフなのだ。
『フッフッフ。私はツイてる。天が私にモフモフをテイムせよと命じてるのね』
(誰も指示してないから。真奈さんが無駄にモフモフを引き当ててるだけだから)
藍大は心の中で冷静にツッコみつつ、再び震え出したリルを優しく撫でた。
リルが藍大にその背中を撫でられて少しずつ落ち着きを取り戻していると、スクリーンの向こう側では真奈が再び踊り始めていた。
『ダン〇ン! フィー〇キー! ドゥー〇ディーサーザコンサ!』
クロコッタは一体何やっているんだこいつと一瞥した後、すぐに真奈に興味を失って警戒して踊っている真奈に<
クロコッタの攻撃はあっさり躱したけれど、クロコッタがテイムダンスに少しも興味を向けてくれなかったことに真奈は衝撃を受けていた。
それと同時に強いメンタルを持つ目の前のクロコッタに強く興味を持った。
真奈からより一層興味を持たれたクロコッタは今になってゾッとし始めた。
なんだか踏んではいけない地雷を踏んだ気分になったのだろう。
気を引き締めた真奈はいつもと違うダンスを踊り始めた。
『スー〇カー! キー〇コーン!』
クロコッタはまた無駄なことを始めたよと言いたげな表情だったが、2回目にはリズムに乗って体を揺らしてしまっていた。
挙句の果てに3回目では体を揺らしながら真奈に自ら近付いてしまった。
『テイム!』
真奈はクロコッタにビースト図鑑を被せてテイムに成功した。
いつものダンスでテイムできなかったけれど、新たなダンスできっちりテイムを成功させるあたり、真奈は徹底的にダンスを用いてテイムするつもりらしい。
(元ネタの芸人コンビもここまで自分達のネタを使ってくれて大喜びだろう)
藍大はスクリーンに映る真奈を見てそんな感想を抱いた。
勿論、リルは初見殺しのダンスに戦慄して藍大に顔を埋めるぐらい怯えており、藍大がリルの頭を撫でる手は決して止まらない。
3階にやって来た真奈のパーティーだが、流石に3階はモフモフなモンスターではなくウロボロスが待機していた。
モフモフじゃないモンスターに興味がないらしく、真奈はつまらなそうな顔で指示を出す。
『総員、殲滅開始』
メルメがウロボロスを覆うような泡を創り出して足止めすると、アイザが<
ニャンシーは<
真奈は元弓士だった経験のおかげで見事なフォームで矢を放ち、その矢はニャンシーが<
それがウロボロスにとっては回復可能なダメージだったため、真奈はメルメとロック、アイザの力を借りてウロボロスのヘイトを稼いでもらいつつ、回復量と同じかそれ以上のダメージを与え続けてもらった。
ウロボロスは鬱陶しい従魔達を追い払うのに注意していたため、真奈は一瞬でウロボロスと距離を詰めてもう一度深淵の矢を発射した。
今度はニャンシーが矢をレーザーに変えるものだから、ウロボロスの体に風穴ができる。
これでもまだギリギリHPを残していたので、真奈はガルフに再び力を借りて<
その結果、真奈はまともな戦闘を1回しかせずにタイムアタックを終え、その踏破タイムは29分56秒で暫定1位になった。
睦美は自分が1位の時間が短かったなとしょんぼりしたが、勝負の世界とは一喜一憂するようなことも起こるので仕方あるまい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます