【Web版】大家さん、従魔士に覚醒したってよ(書籍タイトル:俺のアパートがダンジョンになったので、最強モンスターを従えて楽々攻略 大家さん、従魔士に覚醒したってよ)
第849話 我ながら恐ろしい武器を作ってしまったようだ
第849話 我ながら恐ろしい武器を作ってしまったようだ
パンドラのアビリティがまた統合された。
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しかも、自身を攻撃して来た者には<
隙を見て<
それに加えて新しく会得した<
派手に流れる水に触れれば、触れた者が次にしようとしていたことを忘れてしまう効果付きである。
パンドラは相手の行動を阻害するのに多様な選択肢を持ったということだ。
「パンドラはどんな役割を目指してる?」
「生活力と火力のあるデバフタンク」
「生活力が一番最初に来るのか」
「大事でしょ?」
「それは言えてる」
戦闘はできてもそれ以外がからっきしではこれからの世の中では生きにくい。
だからこそ、パンドラは戦闘以外でも役に立つアビリティも必要としていた。
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『ワフン、生活力ならルナもあるよ』
「そうだな。ルナもあると思うぞ」
ルナが保有するアビリティでは<
あらゆる物を鑑定できることは便利だし、小さくなれれば大きい体ではできないこともできる。
移動も短時間で長距離を移動できるから、自分も生活力があるとルナが得意気に言うのもおかしくないだろう。
藍大はパンドラだけではなく、自分も撫でてくれと言外に甘えるルナの頭も優しく撫でた。
パンドラとルナが満足すれば、秘境ダンジョンでやり残したことはないので藍大達は帰宅した。
藍大が宝箱をサクラに渡すと、今まで見たことがなかった錠前がかかっているのを見つけた。
「ブラドが姑息なことをしたんだね。舞、ブラドはそこのソファーの裏に隠れてるからハグしてあげたら?」
「そこにいたのか~」
「なっ!? 桜色の奥方! なんてことをするのだ! のだぁぁぁぁ!?」
「小悪党は滅びた」
そう言いつつ、サクラは<
「今日はルナが見つけたんだよね。ルナ、何か欲しい物はある?」
『ご主人が美味しい物を作るのに使って!』
「だってよ主。主は何が欲しい?」
ルナが藍大に宝箱カタログの所有権を譲ったので、藍大はルナが喜ぶ物を貰おうと頭を捻った。
そして、すぐに思いついたものを口にする。
「ハンドミキサーが欲しい。ジュースにできる備え付けのミキサーと手動の泡立て器はあるけど、ハンドミキサーはないだろ? あったらお菓子作りに便利だ」
『ルナもそれが良いと思う!』
「決まったね。はい、ハンドミキサーだよ」
サクラは呼吸をするレベルで当たり前のように宝箱からミスリルハンドミキサーを取り出した。
今後、逢魔家のお菓子作りに役立ってくれることは間違いない。
「藍大がお菓子作りに本気を出すって聞いたよ~」
「それは良い話なのだ」
「ブラド、舞に捕まる姿が板について来たな」
「やめるのだ主君。折角現実逃避してたのに思い出したくなかったのだ」
ブラドは舞に抱っこされたままこちらに来たため、藍大がポロッと本音を漏らすとしょんぼりした表情になった。
それから、藍大は昼食と食後のデザートを作った。
昼食にはワイバハムート丼定食を用意し、食後のデザートには王道のショートケーキを用意した。
ワイバハムート丼をペロリと3杯平らげた後でも、食いしん坊ズはショートケーキを欠かさず食べる。
「藍大のショートケーキがまた美味しくなってる~」
『フワッフワで口の中でケーキが溶けちゃうよ』
「こういうのは堪らんな。こういうのは堪らん」
「美味いのじゃ! 毎日食べたいのじゃ!」
「美味しいです! でも、食べ過ぎたら太、いや、運動すれば大丈夫なはずです!」
天照大神は理性と食欲の狭間で揺られているが、後で必死に運動すれば大丈夫と自分を言い聞かせてショートケーキを堪能することに決めたようだ。
昼食とデザートは大満足な結果に終わり、昼休憩を終えた藍大はドライザーを地下神域に呼んで装備の作成を依頼する。
「ドライザー、今日の戦利品を使って装備を作ってくれないか?」
『了解した。ボスはどんな武器が欲しい?』
ドライザーの質問に対して藍大よりも先に見学に来た舞達が答える。
「メイスが良いと思うな」
「主は刀が似合うと思う」
『銃もカッコ良いよね』
舞は自分とお揃いの武器を推しており、サクラは藍大が使った実績のある刀を推した。
リルはそれも良いけど銃も似合いそうだとコメントした。
悩ましいと思った藍大はふと気づいた。
「ドライザーのラストリゾートみたいに変形する武器にしてほしい」
「その手があったね」
「それが良い」
『賛成だよ』
舞達は藍大の考えならば全員の意見が反映されるので賛成した。
意見がまとまったところで、藍大はドライザーの前にサンモトフレームの刀と小槌、模倣の錫杖を取り出した。
『ボス、ヒヒイロカネと月のダンジョンでの戦利品、今日手に入れた魔石も一緒に使って良いか?』
「色々使うんだな。勿論良いぞ。はい」
ヒヒイロヘッジホッグの針から錬成したインゴットに加え、月のダンジョンで倒した悪神の素材、今日手に入れた魔石をバケツで受け取り、ドライザーはこれで全て揃ったと頷いた。
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光の中でそれらのシルエットが重なり、鞘に入った刀と呼ぶべき物に変化した。
光が収まって現れたその武器は夜桜と月をモチーフにした刀だった。
鞘から抜いた刃は薄紅色をしており、柄の部分には魔石が凝縮された球が填め込まれていて力を感じる。
このまま地下神域に奉納できるレベルの出来栄えだと言えよう。
リルは完成した藍大の武器を鑑定し、その結果を藍大に伝える。
『ご主人、新しい武器の名前はゴッドスレイヤーだって。あと、念のため言っておくけど神器だよ』
「マジか」
名前からして神殺しなのだが、リルから詳しい説明を聞いて藍大はゴッドスレイヤーの性能を知った。
ゴッドスレイヤーは神に届く武器であり、普通の武器では殺せないような神でも殺せてしまう。
それだけでなく、あらゆる形態に武器を変形させられて攻撃した相手の力を選んで一部コピーできる性能まである。
『我ながら恐ろしい武器を作ってしまったようだ』
「不穏な気配がしてやって来てみればなんて物を作ってくれたのじゃ!」
「あっ、伊邪那美様」
血相を変えて伊邪那美が飛んで来たため、藍大達はゴッドスレイヤーが本当に危険な物なのだと察した。
「まったくもう、妾が目を離したらすぐとんでもないことをするのは止めてほしいのじゃ!」
「そう言われても、俺達もまさかここまでの物ができるとは思ってなかったんだ」
『ボスに相応しいすごい武器を作ろうと思ってやった。後悔はしてない』
「後悔じゃなくて自重してほしかったのじゃ!」
藍大の発言はともかくドライザーの発言には悪意が感じられる。
得意そうに言いきって反省していないところからもそれは明らかだった。
「どうして悪神の素材なんて使ったのじゃ! これを使わなかったら封印せずに済むものを!」
「えっ、ゴッドスレイヤーは封印されるの?」
「せねばなるまいて。邪神を倒した今、ゴッドスレイヤーなんてあったら争いの種じゃぞ?」
「そりゃそうか」
伊邪那美に言われて藍大は納得した。
邪神がいなくなった今、過ぎたる力は新しい争いを生んでしまう。
今は世界中の神々が徐々に復活しつつあり、その神々が管理する国を守護したり復興させようとしている時だ。
そのタイミングで余計な争い事を生むような武器を表に出しておけるはずがない。
世界の平和のためにもゴッドスレイヤーは伊邪那美をはじめとした地下神域に住む神々によって封印され、神殿にて管理されることになった。
「俺の武器がなくなっちゃったな」
「大丈夫だよ藍大! 武器がなくても私達がいるから!」
「その通り。武器なんかなくても主には私たちがいる」
『僕達がいればご主人は絶対安全だから安心してね』
『ボスの安全を約束しよう』
「ありがとう」
自分の武器を持つ企画は中止になったが、それでも家族がいれば安心だと藍大は思うのだった。
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