【Web版】大家さん、従魔士に覚醒したってよ(書籍タイトル:俺のアパートがダンジョンになったので、最強モンスターを従えて楽々攻略 大家さん、従魔士に覚醒したってよ)
第847話 フッフッフ。吾輩は学習したのだ
第847話 フッフッフ。吾輩は学習したのだ
翌朝、藍大はゲンとパンドラ、ルナを連れて秘境ダンジョンの4階にやって来た。
リルの代わりにルナが同行している理由だが、ルナもダンジョンに行きたいと藍大に甘えたからだ。
リュカもそれに便乗してリルと夫婦水入らずの時間が欲しいと遠回りにアピールしたため、藍大はルナとリュカの望みを叶えるべくメンバーを交代した訳である。
『ワフン、今日はルナが張り切ってサポートするよ』
「心強いな。ルナ、頼りにしてるよ。だよな、パンドラ?」
「うん。僕が気づけなかったら宝箱やギミックの場所を教えてくれると助かる」
『任せて!』
ルナは藍大とパンドラに期待されていると思って尻尾をはち切れんばかりに振った。
パンドラがメインで戦うのは昨日と同じだが、数が多い時はルナにも手伝ってもらうことになるだろう。
本当のところはパンドラだけでどうにかなるとしても、まだまだ子供のルナをしょんぼりさせたくないというのが藍大とパンドラの共通見解だ。
敢えて触れる必要はないかもしれないが、ゲンはいつも通り藍大に憑依したまま待機する。
藍大に<
ルナが周囲を警戒しながら先頭を進み、その後ろを藍大とパンドラが歩いていると通路の向こうから巨大な無機型モンスターが2種類現れた。
それらは二足歩行の牛と馬のゴーレムのようであり、それぞれ狼牙棒と刺股を握っていた。
『ゴズフレームとメズフレーム。それぞれLv90で近接攻撃が得意だよ』
ルナは<
今日はサポーターだから、敵の分析も任せてほしいと言わんばかりである。
「ありがとう。パンドラさん、やっておしまいなさい」
「了解」
藍大に言われてパンドラは<
無機型モンスターであるメズフレームを相手にどれだけ効き目があるか試してみたのだ。
<
パンドラがメズフレームを熔かしている隙を見て、ゴズフレームが狼牙棒を振りかぶって突進する。
ゴズフレームはわざとパンドラが自分に接近を許したことに気づいておらず、パンドラが<
自身の攻撃を反射されてダメージを負い、バランスを崩して背中から転んだゴズフレームを見てパンドラは微笑する。
「実験台ご苦労様。バイバイ」
<
「良い感じに昨日最後に会得したアビリティの試運転ができたな」
「うん。<
パンドラは2つのアビリティの使い心地に満足したようだ。
それから先の通路では、何度かゴズフレームとメズフレームが現れた。
必ずと言って良い程それらはペアで現れ、その度にパンドラがサクサク倒していった。
途中でルナが戦いたい素振りを見せたので、ルナにも戦ってもらいながらしばらく進んだ所でそのルナがピクッと反応して足を止めた。
藍大はパンドラの方をチラッと見たが、パンドラは残念ながら自分には異変がわからないと首を横に振った。
パンドラがわからないならば、ルナに宝箱とギミックの探索は任せることになっていたので、藍大はチラチラこちらを見ているルナに話しかける。
「ルナ、何かあったのかな?」
『あのね、床の溝に細工が仕掛けてあるの!』
「床の溝? どれどれ」
藍大とパンドラはルナに言われて木の床をじっくりと観察してみた。
観察の結果、溝の所々に木片が詰まっていることがわかった。
「ルナ、床の溝に木片が詰まってたのはわかった。この後はどうすれば良い?」
『ご主人、ここから溝に水を流して』
「わかった」
ルナの指示する位置から藍大はゲンの<
水は溝に沿って進んで行き、木片に邪魔されるとルートを変えて別の方向に流れていく。
やがて、水に一切触れていない溝だけで括られた床板が浮き彫りになった。
その部分をルナが前脚で踏んでしまえば、踏んだ板が沈んで溝に流れていた水が突然現れた穴に流れていった。
そして、藍大達から少し離れた位置の左の壁がガコンという音と共に開いた。
開いた横穴からは朧車と戦車が混ざった見た目の無機型モンスターが現れた。
『オボロタンクLv95。”掃除屋”だよ』
「鬼の顔が前面に付いてなかったらカッコ良かったのに」
「ブラドが妖怪をモチーフにした無機型モンスターだけを配置してるっぽいし、妖怪要素がなくなることはないでしょ」
「ですよねー。ってことでパンドラGO」
「任せて」
生憎、鬼の顔が前面に付いた戦車では藍大の心はロボットに惹かれるようにはならなかった。
パンドラが攻撃しようとした瞬間にオボロタンクが備え付けの大砲から<
それをパンドラが<
大砲を壊されたオボロタンクは遠距離攻撃の手段を失ってしまい、こうなれば突撃あるのみだと<
「無駄だよ」
再びパンドラが<
「しまった。素材のことを忘れてた」
「どんまい。まあ、熔かしてインゴットにすれば使えるんだし次から気を付けてくれれば良いさ」
「ごめんねご主人。フロアボス戦では気を付けるよ」
「よしよし。素直なのは良いことだ」
パンドラが素直に謝ったため、藍大は優しくパンドラの頭を優しく撫でた。
それを羨ましそうに見ているルナがいたので、パンドラの後に藍大はルナの頭も撫でてあげた。
ルナが満足してから倒したオボロタンクの残骸を漁り、藍大は取り上げた魔石をパンドラに与える。
『パンドラのアビリティ:<
(2,500の固定ダメージと受けた者がネガティブになる・・・だと・・・?)
固定ダメージも魅力的だったが、ネガティブになるという状態異常が珍しくて藍大は目を見開いた。
破裂して衝撃を拡散させず、光線として一点集中にすることでネガティブ粒子を一気に体内に流し込む仕組みらしい。
「<
「気になるけど絶対にやっちゃ駄目だぞ?」
「わかってるって。冗談だよ」
健太はポジティブの塊みたいな性格だから、パンドラはネガティブな健太ってどんな感じなんだろうかと気になったようだ。
藍大は健太が<
戦利品を回収した後、藍大達はオボロタンクが現れた横穴の中に入ってみた。
隠し部屋の中には宝箱がつきものだから探さない訳がないのである。
実際、藍大達は隠し部屋の奥に設置された宝箱を見つけたのでその行動は正解だったと言える。
ただし、その宝箱は今までの物とは違って錠前によって開けられないようになっていた。
『フッフッフ。吾輩は学習したのだ。宝箱が見つかってしまうのならば、開けられないようにすれば良いのだと』
(宝箱を隠すのに限界を感じたんですね、わかります)
『ちょっ、そんな同情に満ちたテレパシーを送るのは止めてほしいのだ』
テレパシーを送って来た先ではドヤ顔になっているだろうブラドに対し、藍大はブラドがリルやルナに勝てないと認めたのかと同情する思念を送りつけた。
その思念を受け取ったブラドはたじろぎ、先程までの自信満々な声から困った声に変わった。
(ブラド、鍵をかけるのは良いけど持ち運べたら意味がないぞ)
『あっ・・・』
宝箱は特に床に固定されていた訳ではなく、錠前によって蓋が空かないようになっているだけだ。
それなら宝箱を持ち帰り、帰ってから錠前を壊せば問題ない。
壊すという点では舞やサクラ、リルがどうにでもしてしまう。
ブラドは藍大に指摘されて自分のケアレスミスに気づいた。
「ブラドって偶に単純なミスするよね。舞に背後を取られたりとか」
「それな。まあ、宝箱は持ち帰って錠前を壊してから開けてもらおう」
「賛成」
『むぅ。ルナもパパ達みたいにオリジナルのアビリティがあれば錠前を壊せるのに』
「よしよし。ルナもきっといつか壊せるようになるさ」
ムスッとしたルナの頭を藍大が撫でれば、ルナはすぐに機嫌を直した。
藍大達は宝箱を回収してから横穴を出て、ボス部屋を目指して探索を再開した。
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