【Web版】大家さん、従魔士に覚醒したってよ(書籍タイトル:俺のアパートがダンジョンになったので、最強モンスターを従えて楽々攻略 大家さん、従魔士に覚醒したってよ)
第823話 きしょうしゅっておいしいの?
第823話 きしょうしゅっておいしいの?
1週間と少しが経った日曜日、優月とユノ、ナギはシャングリラダンジョン地下1階に来ていた。
優月達は一昨日の金曜日まで連続でダンジョンの1階に通い続け、全ての”掃除屋”とフロアボスを無理なく倒した。
その結果、ナギはLv33まで成長した。
Lv30で進化することはなく、Lv40かLv50で進化するのではないかというのが藍大達保護者の見立てである。
アビリティもいくつかの魔石を取り込んだことにより、<
槍から砲弾まで形状が変わったのだ。
<
新たに加わったのは<
これにより、ナギは遠近両用の戦い方ができて防御もできるようになっているから、同レベル帯の敵との戦闘で足を引っ張ることはないだろう。
昨日の土曜日は休みにして、今日から優月達はシャングリラダンジョンの地下1階に挑む訳だ。
安全マージンもしっかり取れており、罠も仕掛けられていないことからリルがこっそり後ろで見守ることもなくなっている。
本当に優月達だけでこれからは挑むのだ。
そんな優月達の正面からアローボアの群れが突撃して来る。
「ナギ、かべはって」
「キュ~」
優月の指示に従い、ナギが<
それに全速力でぶつかれば、ナギとの能力値の差によってアローボア達が壁を貫けずに衝突のダメージで力尽きた。
わざわざ攻撃しなくとも、壁を展開しておくだけで敵が勝手に自滅してくれるのだから楽勝だと言えよう。
「アローボアはおばかさんだね」
「違うよ。優月が賢いの」
「ありがとうユノ」
「エヘヘ♪」
自滅するアローボアを見てやれやれと首を振る優月に対し、ユノはアローボアが馬鹿なのではなく優月が賢いのだと持ち上げた。
実際、優月がアローボアの習性を利用した戦術を組み立てられているのだから、ユノの言い分は正しいと言える。
優月とユノがイチャイチャしているのを見れば、倒したのは自分だぞとナギが構ってほしそうな目で優月を見ていた。
「ごめんねナギ。おつかれさま」
「キュキュ♪」
労ってもらえてすぐにナギはご機嫌になった。
それから、藍大にプレゼントしてもらった収納袋に戦利品を回収してから優月達は先に進む。
道中ではエッグランナーが飛び出したり、アローボアが突撃したりと突撃三昧だったが、基本的にナギの<
能力値が足りなければ連続して突撃される恐怖に襲われるけれど、ナギのレベルも敵を倒している内に3つ上がって余計に壁が強固なものになった。
あまりにもサクサクと倒し過ぎた結果、優月達は本日の”掃除屋”に対面することになった。
「あれがオーカスなんだね」
「待って優月。あのオーカスは普通のオーカスじゃない」
「そうなの?」
「うん。普通のオーカスはアローボアの頭蓋骨が先端に付いた杖を持ってるんだけど、あいつはソードボアを模ったメイスを握ってる。多分希少種だよ」
ユノの分析を聞いた優月はあることが気になった。
「きしょうしゅっておいしいの?」
「お義父様の手にかかれば美味しいステーキやハンバーグ、メンチカツになると思う」
「たおそう! ナギ、やれるよね!?」
「キュイ!」
食欲がやる気をブーストさせている優月に声をかけられ、ナギもやってやると気合の入った。
「ブヒッヒィィィィィッ!」
突然、オーカスがダンジョンに響き渡る程の咆哮を上げた。
自分が食料扱いされていることに激怒し、オーカスは<
このアビリティを使えば自身の気分が高揚して痛みに怯まなくなるだけでなく、自分以外の者をランダムに怯ませる効果もある。
だが、この場にいるのはいずれもオーカスより能力値の高い者だけだ。
それゆえ、怯ませる効果は優月達には影響しなかった。
「ブッヒブヒヒブヒブッヒィィィ!」
<
「ナギ、いちげきでしとめられる?」
「キュ」
優月の質問にナギは造作もないと言わんばかりに短く頷き、メイスを振り下ろそうとするオーカスの懐に潜り込んだ。
そのまま<
既に”掃除屋殺し”の称号を会得しているナギの一撃を受けたことで、オーカスのHPは全て削られてしまっていた。
ピクリとも動かなくなったオーカスを見て、優月は戻って来たナギの頭を撫でる。
「すごいよナギ!」
「キュイ♪」
もっと褒めても良いんだぞとナギは得意気な表情で優月のされるがままになった。
ナギが満足するまでその頭を撫でた後、優月はユノにオーカスを解体してもらって収納袋にしまい込み、キープしておいたオーカスの魔石をナギに与えた。
ナギの体は優月の体よりも大きくなっており、優月にとってはリトルではなくなっていた。
魔石によってナギの<
今までは一方向からの攻撃しか防げなかったが、今度からは自分達を半球状に守ってくれるドームを創り出せるようになったのだ。
「ナギがどんどんつよくなるね」
「キュッキュッキュ~」
「慢心は駄目よ」
「・・・キュウ」
調子に乗りかけていたナギだったが、ユノが即座に注意することで気を引き締めた。
筆頭従魔のユノに実力で敵わない以上、ナギはユノの言うことに逆らわなかった。
ドラゴンにおいて序列は絶対らしい。
それはさておき、オーカスを倒した優月達はボス部屋まで移動した。
ボス部屋の中にいたソードボアは優月達が扉を開けた時には突撃を始めていた。
「ナギ!」
「キュイ!」
名前を呼ばれただけなのだが、ナギは優月の言いたいことを理解して<
オーカスを倒してLv39になっていたナギのINTには敵わず、ソードボアは能力値の差で自爆して力尽きた。
突撃以外に能がないボア系のモンスターは本当に工夫するまでもなく倒せてしまった。
しかし、優月達は虚しさを感じることはなかった。
何故なら、ソードボアは食べられるモンスターだからだ。
日曜日のシャングリラダンジョンの1階から地下4階のモンスターは食べられるモンスターばかりなので、戦闘によるワクワク感よりも食欲の方が勝るのである。
嬉々として戦利品を回収した優月だったが、ソードボアの魔石をナギに与える前にナギに話しかける。
「ナギ、しんかしたい?」
「キュウ!」
ナギは先程の戦いでLv40になり、進化できるようになっていたのだ。
優月に進化したいとナギが伝えれば、優月はナギの意思を尊重してナギを進化させる。
ナギの体が光に包み込まれ、光の中でナギの体に変化が生じた。
優月よりも少し大きい程度だった体は軽自動車サイズになっており、そのフォルムは西洋竜と呼ぶに相応しくなっている。
光が収まると、群青色に黄色い目をしたナギの姿が優月達の前に現れた。
「グルゥ♪」
リトルバスタードラゴンだった頃よりも頼もしくなったけれど、優月に甘える様子は進化前と変わらないナギだった。
ナギにソードボアの魔石を与えた結果、進化も含めてナギのステータスは以下のように変化した。
-----------------------------------------
名前:ナギ 種族:バスタードラゴン
性別:雌 Lv:40
-----------------------------------------
HP:1,000/1,000
MP:1,200/1,200
STR:1,000
VIT:1,000
DEX:1,000
AGI:1,000
INT:1,000
LUK:1,000
-----------------------------------------
称号:優月の従魔
融合モンスター
掃除屋殺し
アビリティ:<
<
装備:なし
備考:なし
-----------------------------------------
ナギは体が大きくなったため、<
普段は地下神域で暮らし、優月が出かける時は<
ユノは<
優月達はナギの進化が済んでやるべきこと全てを終えたので、ナギに早速憑依してもらってから藍大達の待つ102号室に帰った。
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