【Web版】大家さん、従魔士に覚醒したってよ(書籍タイトル:俺のアパートがダンジョンになったので、最強モンスターを従えて楽々攻略 大家さん、従魔士に覚醒したってよ)
第821話 ただのダンジョンに興味はないのだ
第821話 ただのダンジョンに興味はないのだ
ナギが新たに優月の従魔になった翌日、優月とユノ、ナギはシャングリラダンジョンに来ていた。
その目的はナギのレベルアップであり、今日はお目付け役としてリルがこっそり後ろから尾行している。
本当は藍大が同行したいと思っているのだが、自分がいると優月達のためにならないとブラドに言われたのでリルに様子を見てもらうことにしたのだ。
リルならば優月達に尾行しているのがバレないから、丁度良い緊張感を持ったまま優月達が探索できる。
今日は土曜日なので1階に現れる
それゆえ、マディドールの泥が手に入るとユノはご機嫌だった。
「ナギのレベル上げにもなって美容にも良い。ブラド師匠は本当に良いダンジョンを作った」
「ブラドにシャングリラダンジョンについてはなしてもらうと、いつもおなじことばからいうよね」
「ただのダンジョンに興味はないのだ」
「そう、それ」
優月とユノはシャングリラダンジョンとはいえ1階程度では物怖じしないで雑談しているが、ナギはテイムされてから初めて戦闘を行うので緊張している。
ずっときょろきょろと周りを警戒しているのだから間違いない。
優月達がどんどん先へと進んでいると、硬めの泥でできたマネキンがダンジョンの壁に背中を張り付けながらゆっくりと優月達の方に向かって来ていた。
「マディドールだね」
「待ってて泥パック」
「ユノがてをだしちゃだめだよ。ナギがたおすんだから」
「そうだった。ナギ、頑張って」
「キュ!」
ナギは亀の歩みが如くのっそりと動くマディドールを見て、あれなら倒せそうだと強気になった。
すぐに<
<
草むらや森等の植物が多い場所では種の弾丸が創り出される。
水場で発動すれば水の弾丸が創り出される。
風が強い場所ならば風の弾丸が創り出される。
洞窟や山で使えば岩の弾丸が創り出される。
火山や燃えている場所では火の弾丸が創り出される。
自然らしさを感じない煉瓦やアスファルトの上だったり、建物が多い場所を感じないと特に変質せずに魔力弾が生成される。
シャングリラダンジョン1階は洞窟になっているので、岩の弾丸がマディドールに向かって放たれた。
マディドールの平均的なVITの数値が30であるのに対し、ナギのINTは150もある。
1階のマディドールのHPは120もないから、ナギの<
「キュ!」
マディドールを倒してナギは嬉しそうに鳴いた。
周囲に敵がいないのを確認した後、優月にマディドールを倒したことで褒めてもらおうと振り返る。
優月は藍大を見て育っているので、戦闘後に従魔を労うのが当然だと思っているから両手を広げてナギを迎え入れた。
「よしよし。ナギはえらいね」
「キュウ♪」
優月に撫でてもらい、ナギはもっと撫でてくれと甘える。
その間にユノがマディドールの泥をいそいそと回収し、その作業を終えると<
ユノはLv100になった際に<
今は<
藍大達が邪神を倒した今、戦闘にしか使えないアビリティばっかりあっても仕方ない。
<
攻撃には<
後はありとあらゆるダメージを激減される<
バランス良くアビリティを強化できており、ユノは藍大のパーティーで例えるならサクラのポジションである。
この立ち位置にいればいつでも優月に頼ってもらえるので、ユノは我ながら良いアビリティ構成だと思っているらしい。
話が逸れてしまったが、戦利品回収を終えた優月達はマディドールと遭遇しては倒すという作業を何度も繰り返した。
リルが<
ユノがいるから万が一の事態は起きないと思っているが、藍大から何かあったら優月達を守るように頼まれたリルは決して油断しない。
リルが見守っている中、優月達の正面にマッシブロックが現れた。
「キュア・・・」
マッシブロックは単眼でマッシブな腕を生やした岩のボディという見た目だ。
それはナギにとって強そうな化け物という印象を与えており、こいつと今から戦うのかと緊張しているようだった。
そんなナギを見てマッシブロックはよくもマディドール達を倒してくれたと怒りの<
「ナギ、かえりうちにしちゃえ!」
「キュ!」
優月から指示が飛んで来たため、ナギは自らを奮い立たせて<
マッシブロックのINTの数値は160だ。
それに対して、マディドールとの連戦でLv15になったナギのINTは350まで上がっていた。
アビリティの威力は能力値依存だが、倍以上の差があれば間違いなく能力値の高いナギの攻撃がマッシブロックの攻撃を撃ち破る。
マッシブロックの<
咄嗟にマッシブロックが目を隠さなければ、弱点にナギの攻撃が当たって酷いことになっていただろう。
「ナギ、あいつはめがじゃくてんだよ」
「キュウ」
優月にアドバイスを貰ってナギは良いことを聞いたと笑みを浮かべた。
ナギの笑みを見てマッシブロックはこうなったら自棄だと<
駒のように体を回転させながら突撃するマッシブロックに対し、ナギは空を飛んでその突撃を回避した。
しかも、自分が壁際までマッシブロックを誘導していたことにより、ナギはマッシブロックを壁に激突させることに成功する。
壁にぶつかって動きが鈍ったタイミングを狙い、ナギは再び<
マッシブロックのVITの数値の倍以上あるINTでナギが攻撃すれば、マッシブロックのHPに大きなダメージが入るのは当然だろう。
それで怯んだところに駄目押しで攻撃すれば、マッシブロックは音を立てて倒れた。
「キュッキュア~!」
私が倒したんだとご機嫌なナギが空中で喜びのダンスを披露する。
「ナギ、よくやったね」
「キュイ♪」
優月が両手を差し出せばナギはすぐに優月に飛びついて甘えた。
その隣からユノがアドバイスをする。
「敵の突撃を躱してから反撃した時、もう少し高い位置から攻撃したら目が狙えたはず。そうすれば二度目の攻撃をせずに倒せたよ」
「キュッキュイ」
勉強になりますとナギは頷いた。
マッシブロックを倒したからといって気を緩めず、自分のアドバイスを素直に受け入れられたナギにユノは良い印象を抱く。
その後、マッシブロックの解体を済ませて魔石は優月からナギに与えられた。
マッシブロックの魔石を取り込んだことにより、ナギは<
新しく会得したアビリティを使いたくて仕方ないナギだったが、ボス部屋のマディポッドを相手に<
貴重な泥を散らしてしまい、自らの汚れた体を見てから振り返るとユノが目の笑っていない笑みを浮かべて近づいて来た。
「ナギ、反省」
「キュイ!」
ユノが怖くてナギはごめんなさいとものすごい勢いで頭を下げた。
「ユノ、ナギもあやまってるからゆるしてあげて」
「・・・優月がそう言うなら許してあげる。でも、次は相手の強さを考えて使うこと。素材が勿体ないでしょ?」
「キュウ」
「よろしい」
今度から気を付けますと頷いたナギを見て、ユノは<
余談だが、ナギが勢い余ってマディポッドの体を飛び散らせた時、戦いを見守っていたリルは舞が力加減に失敗した時のことを思い出していたのは内緒である。
とりあえず、優月達は無事に土曜日のシャングリラダンジョン1階をクリアしてから家に帰った。
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