【Web版】大家さん、従魔士に覚醒したってよ(書籍タイトル:俺のアパートがダンジョンになったので、最強モンスターを従えて楽々攻略 大家さん、従魔士に覚醒したってよ)
第750話 ブラドのおかげでルナの良い訓練になったよ
第750話 ブラドのおかげでルナの良い訓練になったよ
リュカのパワーアップが終わって先に進もうとした時、ルナが広間の角の方をじっと見ていた。
「ルナ、あっちに何かあるのか?」
『あのね、多分宝箱が隠されてるよ』
「行ってみようか」
ブラドは宝箱を設置すると毎回リルに見つけられている。
今回はリルではなくてルナが挑むから、宝箱の在り処を隠し通せるかもしれないとブラドは思っているだろう。
しかし、広間の角で道場の床をペリッと捲ったところ、床下に隠されていた宝箱が見つかってしまった。
今回もブラドの負けのようだ。
『ほらね! やっぱり宝箱だよ!』
「よしよし。ルナも探し物が上手だな」
「クゥ~ン♪」
藍大に頭をわしゃわしゃと撫でられてルナは嬉しそうに鳴いた。
『ぐぬぬ。何故だ。何故見破られたのだ・・・』
藍大の頭の中に悔しそうなブラドの声が響いた。
帰った時にルナがブラドに向かってドヤ顔を披露する展開は不可避である。
宝箱を回収した後、藍大達は広間から先に進む。
道中ではドラゴンメイドが何度か現れたが、それらをサクサク倒して藍大達はボス部屋の扉を発見した。
「休憩する?」
「要らない」
『大丈夫!』
「このまま行くニャ」
『フィアもへっちゃらだよ』
実際に戦うメンバーが休憩は要らないと言えば、藍大はそれに従うのみだ。
リュカにボス部屋の扉を開けてもらってその中に入ると、部屋の中央に機械化されたグリフォンに乗る全身甲冑の堕天使を見つけた。
藍大は堕天使よりも機械化されたグリフォンが気になってモンスター図鑑で調べ始める。
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名前:なし 種族:ムルムル
性別:雄 Lv:100
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HP:2,500/2,500
MP:3,000/3,500
STR:2,000(+500)
VIT:2,000(+500)
DEX:2,500
AGI:2,500
INT:3,000(+500)
LUK:2,500
-----------------------------------------
称号:13階フロアボス
到達者
アビリティ:<
<
<
装備:スピリチュアルアーマー(リビングジェネラル)
スピリチュアルソード(デモニックブレード)
スピリチュアルフレーム(グリフォン)
備考:戦慄
-----------------------------------------
(スピリチュアルフレームがすごい気になる)
ロボットにロマンを感じる藍大だから、ムルムルよりもスピリチュアルフレームに興味を持った。
更に詳しく調べてみた結果、スピリチュアルフレームは元々グリフォンの姿をしておらず、<
スピリチュアルフレームを変形させるのは霊魂らしいが、ドライザーに引き渡せば霊魂がなくても変形できるロボットに改造してくれるのではないかと藍大は期待した。
『ご主人、スピリチュアルフレームなんてなくてもルナやお父さんがいるよ!』
「よしよし。愛い奴め」
ルナが<
藍大はルナやリルがしょんぼりする姿を見たくないから、乗ってみたいとは口にしなかった。
ドライザーに渡したとして、舞のレギンレイヴと合成して強化するのに使うのが落としどころだと判断したのだ。
「敵はムルムルLv100。俺からの
「勿論」
『頑張る!』
「やってやるニャ!」
『任せて!』
それが自分達の犠牲を問わないものではないとわかっているし、いつも良くしてくれる藍大のために頑張るとやる気十分だ。
「勝手なことを言うんじゃ」
「”黙れ”」
リュカが<
リュカの能力値は藍大への好感度ブーストによって上昇しているので、ムルムルは<
『行くよ~』
フィアは<
ムルムルは何もできずに死んでなるものかとスピリチュアルフレームを足蹴に空へ離脱するが、フィアのAGIの方が高くて無傷の回避はできずに両足首から下を切断されてしまった。
激痛に叫び出したくなったけれど、リュカによって口が塞がれている以上何も言葉を発することはできず、どうにか<
その間に藍大はミオに護衛されながらスピリチュアルフレームを回収した。
「回収完了」
「それなら後は奴を屠るだけニャ」
最優先事項が片付いたため、ミオは<
そして、<
『捕まえた!』
ミオの攻撃に気を取られている内にルナが<
「ルナ、ありがとう。後は私がやる」
それだけ言ってリュカは<
『ルナがLv95になりました』
戦闘終了を告げる伊邪那美のアナウンスが聞こえたため、藍大は自分の前に戻って来たリュカ達を労う。
「よくやってくれた。完封勝利だったな」
藍大はリュカ達の頭を順番に撫でた後、戦利品を回収して魔石は育ちざかりのルナに与えた。
『ルナはアビリティ:<
「おぉ、ルナもこのアビリティを会得したか」
『ワフン、ルナもお父さんみたいに残像が見えるぐらい速く移動できるようになるの!』
「よしよし。頑張って目指そうな」
『うん!』
ルナのパワーアップが終わればやることはもう残っていないので、藍大達は帰宅した。
帰宅した藍大達はサクラに出迎えられた。
「主、おかえりなさい。今日も宝箱を見つけたんだよね?」
「よくわかったな」
「ブラドが萎れてるからわかった」
「なるほど。じゃあ、早速頼むよ」
「今日は何にする?」
サクラに訊ねられた藍大は今朝のニュース番組でライチを使ったスイーツの特集をやっていたことを思い出した。
「ライチの種とかどう? みんなライチのスイーツを食べたがってたし」
「わかった。はい、これ」
『ご主人、
「ありがとう。それじゃ、ライチが生ったら作ろうか」
『わ~い!』
ちゃっかりリクエストするルナの頭を撫でた後、藍大はメロに神荔枝の種を預けた。
藍大が昼食の準備をしている間、ブラドはリュカ達に13階のテストプレイをした感想を聞いて微調整するようだ。
「お~い。昼食できたぞって既に準備万端か」
「主、運ぶのは任せて」
『ご主人、僕も運ぶの手伝うよ』
「助かるよ」
サクラとリルが手伝ってくれたため、藍大は何も持たずに食卓に移動できた。
今日の昼食はハイドラゴンエッグを使ったステーキ丼とサラダ、オニコーンのスープだ。
「「「・・・「「いただきます!」」・・・」」」
ハイドラゴンエッグの肉はまだまだあるから、藍大の頭の中では夕食はもう少し凝った料理をするつもりである。
昼食で凝った料理をするには時間が足らないのだから仕方ない。
お腹を空かせた食いしん坊ズにご飯はまだかと目で訴えられてしまうので、昼食はどうしても簡単に美味しく大量に作れるメニューに偏ってしまうのだ。
「ふむ。ハイドラゴンエッグを配置した吾輩の采配に間違いはなかったのだ」
『ブラドのおかげでルナの良い訓練になったよ』
「うぐっ、次は、次こそは宝箱を隠し通してみせるのである」
『僕に見つけられない宝箱はないよ』
『ルナもブラドには負けないよ』
リルとルナの言葉で肩を落とすブラドの背後には優しく微笑む舞がいた。
「ブラド、諦めずに頑張ろうね」
「わかったから止すのだ! 話せばわかるのだ!」
この後、ドライザーがレギンレイヴにスピリチュアルフレームを合成し、変形機能が追加されたレギンレイヴMk-IIを完成させるまでずっと舞に抱っこされていたのはここだけの話だ。
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