【Web版】大家さん、従魔士に覚醒したってよ(書籍タイトル:俺のアパートがダンジョンになったので、最強モンスターを従えて楽々攻略 大家さん、従魔士に覚醒したってよ)
第739話 でも、お父さんに毎回宝箱を見つけられてるよね?
第739話 でも、お父さんに毎回宝箱を見つけられてるよね?
4階はまたしてもボス部屋スタートであり、内装はダンスホールのままだった。
その中で人間の頭が中心で左右が牡牛と山羊の頭を持つ巨体の悪魔が仁王立ちの状態で待っていた。
悪魔の尻尾は蛇のそれであり、熊の顔を模した鎧に熊の手を模ったメイスを装備している
「よくぞやって来た」
「ご苦労様」
「だが死ね」
過激な人間の頭部が言葉を発した直後、メイスを持った悪魔が藍大達に向かって突撃する。
『ふむ、相手をしてやろう』
不遜な相手は煽ってあげるのがセオリーだと言わんばかりにドライザーが前に出て、ラストリゾートを鞭に変えてメイスを絡め取る。
「「「何ぃぃぃ!?」」」
しっかり握っていたメイスをSTRとDEXの差で奪われてしまい、悪魔は驚くしかなかった。
「ドライザーに武器をあっさり奪われたのはバラムLv85。こいつも中ボスだ」
「この程度のダンジョン、Lv100のモンスターが出て来なければ時間稼ぎにもならないのだ」
「好き勝手言ってくれるじゃないか」
「ぬいぐるみ赦すまじ」
「抱き心地良さそうな体しやがって」
バラムはブラドの発言に怒り、ドライザーに武器を奪われたことを忘れてブラドを睨んでいる。
ブラドがヘイトを稼いだ横で藍大が補足する。
「バラムは先読みができるらしいぞ。まあ、能力値で負けてるから先読みしても何も結果は変わらないけどな」
「人間風情が何を言う!」
「知ったような口を利くな!」
「お前から殺してやる!」
(人間じゃなくて魔神なんだが、ドライザーが動いたから黙っておこう)
藍大がバラムに反応しなかったのはドライザーはラストリゾートを大太刀に変形させ、バラムと距離を詰めて大太刀を振り抜いたのが見えていたからだ。
あと数秒の命の敵に何を言っても無駄という判断である。
『ボスを侮辱することは赦さぬ』
ドライザーのその言葉の直後にバラムの上半身と下半身は一刀両断されていた。
『ルナがLv88になりました』
(ドライザーさんマジかっけぇ)
藍大はドライザーがバラムと戦う様子を動画で撮影していたため、このシーンは特に注目されるだろうと思った。
『ボス、愚か者は成敗した』
「見事だったぞドライザー」
表情こそわからないが、スッキリした雰囲気のドライザーの肩に藍大は手を置きつつ労った。
戦利品はブラドが<
『ドライザーのアビリティ:<
「次は絶対に吾輩が戦うのである」
「そうだな。そろそろ”ダンジョンマスター”が出て来てもおかしくないし、次はブラドの番にしよう」
ブラドが戦いたいと言い出したので藍大はブラドの意思を尊重した。
藍大達が5階に移動すると、今度もボス部屋の扉が最初からあった。
しかし、今までのものよりも扉の装飾が豪華になっていた。
これは”ダンジョンマスター”が控えている確率が高い。
ドライザーが扉を開けて藍大達がその中に入ってみれば、針金をグルグル巻きにして多面体になった存在がテラスの中心に浮かんでいる。
針金と表現するのが一番しっくりくるけれど、そのサイズは電線よりも太い。
相手の正体に予想がつかなかったので、藍大は即座にモンスター図鑑を視界に表示させて確かめた。
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名前:なし 種族:ダオロス
性別:なし Lv:90
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HP:2,500/2,500
MP:2,000/2,500
STR:2,000
VIT:2,500
DEX:2,000
AGI:2,000
INT:2,500
LUK:1,500
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称号:ダンジョンマスター(DIGホテル)
ベールを剥ぎ取る者
アビリティ:<
<
<
装備:なし
備考:トラペゾヘドロンを知ってるか?
-----------------------------------------
(言われてみればトラペゾヘドロンに見えなくもない)
ダオロスのステータスにある備考欄を読んだことにより、藍大はダオロスがただグルグル巻きになっているのではなくトラペゾヘドロンの真似をしていたのだと知った。
それはそれとして、既にMPが500も減少しているのは要注意である。
何かと戦闘した後ならばまだしも、藍大達よりも早くこの部屋まで来れた者がいるとは思えないから何か仕掛けている可能性は高い。
「敵はダオロスLv90。みんな気を付けろ。ダオロスのMPが既に減ってるから何か仕掛けてるぞ」
『ご主人、あいつの周りに地雷が仕掛けられてるよ』
「なるほど。<
藍大の鑑定結果にルナが<
これでダオロスの作戦は藍大達には通用しなくなった。
『くぁwせdrftgyふじこlp』
「煩いのだ」
ダオロスが焦って何か言おうとしているけどさっぱりわからないから、ブラドは煩いと一言述べて<
ダオロスの周囲にも爆炎が広がった結果、ダオロスは自分自身が仕掛けていた<
ただでさえブラドの方が能力値が高いのに威力がブーストされてしまえば、ダオロスはひとたまりもない。
『ルナがLv89になりました』
『ルナがLv90になりました』
伊邪那美の声がダオロス討伐のリザルトを告げた後、ブラドは作業を終わらせてドヤ顔を披露する。
「掌握完了なのだ」
『おめでとうございます。ブラドが世界で初めて15のダンジョンを支配下に置きました』
『初回特典として櫛名田比売の力が30%まで回復しました』
『ブラドの称号”ダンジョンロード”が称号”ダンジョンキング”に上書きされました』
『初回特典として櫛名田比売の力が40%まで回復しました』
(櫛名田比売がモリモリ回復してるじゃん)
ダンジョンを掌握するならモルガナを連れて来ても良かったが、ブラドをG島に連れて来たのはDIGホテルダンジョンを掌握することでブラドの掌握するダンジョンの数が15になるからだ。
5刻みで称号が変わるかもしれないという藍大の読みは見事に当たり、ブラドは”ダンジョンキング”の称号を手に入れた。
それによってダンジョンの掌握範囲がさらに広がり、同じ半球にある主不在のダンジョンなら自宅からでも掌握できるようになった。
「ブラドは間違いなくダンジョン経営で誰にも負けないな」
「勿論である。吾輩がダンジョンに関しては一番なのだ」
『でも、お父さんに毎回宝箱を見つけられてるよね?』
「ぐぬぬ・・・」
(ルナ、それは言っちゃ駄目なやつ)
藍大はブラドの肩をポンポンと叩いた。
ドライザーも藍大とは反対の肩を叩いて慰めている。
事実は時に何よりも精神にダメージを与える武器になるとわかった瞬間だった。
ブラドに元気を出してもらうため、ダオロスから魔石を回収した藍大はブラドにそれを与える。
「ブラド、元気出せって。ほら、魔石だぞ」
「いただくのだ」
『ブラドのアビリティ:<
ブラドが魔石によって得たアビリティは便利に使っている<
今までは死体以外の生物とアビリティを除いて解体して素材にする効果だったが、強化されたことによりアビリティや生物も解体できるようになった。
アビリティの解体に使用するMPは物体の解体に使う分と変わらないが、今生きている生物を解体するには対象のMPよりも多くのMPが残っていないと使えない制限がついていた。
使用者のMPによって相手を解体するのだから、相手の保有するMPを上回れなければ効果が発揮されないのも仕方あるまい。
G島とDIGホテルダンジョンの掌握も完了したので藍大達は帰宅した。
「おかえり主。宝箱持って帰って来た?」
「勿論だ。サクラ、作り置きに使えるタッパーが欲しいな」
「任せて」
サクラはそう言って宝箱から樹脂で構成されたいくつものタッパーを取り出す。
ルナがその場で鑑定した結果、それらはユグドラシルタッパーセットであり、これで作り置きした料理もベストな状態で食べられると知って食いしん坊ズは大喜びだった。
同行した従魔達の成長と頼もしい味方が増え、藍大達のG島攻略は大成功に終わった。
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