【Web版】大家さん、従魔士に覚醒したってよ(書籍タイトル:俺のアパートがダンジョンになったので、最強モンスターを従えて楽々攻略 大家さん、従魔士に覚醒したってよ)
第607話 眠くたって仕方ないじゃないか、暇なんだもの
第607話 眠くたって仕方ないじゃないか、暇なんだもの
ツインヘッドワイバーンの魔石は順番なのでドライザーに与えられることになった。
「ドライザー、この魔石はお前の物だ」
『ありがたくいただこう』
藍大から魔石を受け取って飲み込んだ途端、ドライザーの体から力強いオーラが噴出した。
『ドライザーのアビリティ:<
(ドライザーが2つ目を手に入れたか)
今日の未明に行われた神々の会合で決まった通り、それぞれの神話の神の名を冠するアビリティを三聖獣が得やすくなったらしい。
ドライザーはかの有名な半神半人の英雄の力を得た。
<
ドライザーが今まで以上にタフになったのは間違いない。
「やったなドライザー。あと1つで”土神獣”になれるぞ」
『喜ばしいことだ。感謝する』
誰から見てもドライザーはご機嫌だった。
「次はミーなのニャ。すごいアビリティを期待してるニャ」
ミオはフロアボスを倒したら自分がその魔石を貰える番なので、どの神話の神かわからないがとにかくすごいアビリティをくれと祈った。
その後、釣り天井とダマスカスマトンが現れるエリアを通過して藍大達はボス部屋に到着した。
特に疲れていなかったこともあり、休むことなく藍大達がその中に足を踏み入れる。
ボス部屋の中には巨大な蝸牛の殻を背負ったヌメヌメの地龍が眠そうにしていた。
その地龍の体は黄土色であり、両目の上に毛の生えた触覚を生やしている。
(こいつって前に国際会議で聞いた奴か?)
藍大は心当たりを思い浮かべつつ、モンスター図鑑でフロアボスの正体を確かめた。
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名前:なし 種族:ル・カルコル
性別:雌 Lv:100
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HP:3,000/3,000
MP:3,500/3,500
STR:2,500
VIT:3,000
DEX:2,000
AGI:1,000
INT:3,000
LUK:2,000
-----------------------------------------
称号:12階フロアボス
到達者
アビリティ:<
<
<
装備:なし
備考:眠くたって仕方ないじゃないか、暇なんだもの
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(のんびりした備考欄はさておき、ブラドは12階の増築で頑張り過ぎだろ)
備考欄にはル・カルコルのいかにも眠そうなコメントがあったが、それよりも能力値とアビリティ構成が問題だ。
見たまんまでAGIは他と比べて低いけれど、VITとINTが高い。
近接戦闘もできれば遠距離攻撃もこなすだけでなく、<
道場ダンジョンの新しい師匠が君臨したと言っても過言ではないだろう。
何故なら、大多数の冒険者にとってワイバーンとは比べ物にならないぐらい強いドラゴンがフロアボスとして現れたのだから。
リルが心配そうな表情で藍大に話しかける。
『ご主人、ル・カルコルは美味しく料理できそう?』
「ヌメヌメさえ落とせば大丈夫だ」
『わかった! ヌメヌメをどうにかするね!』
心配なのはそこかとツッコむ者はこのボス部屋には存在しない。
リルがル・カルコルのヌメヌメを攻撃して取り払おうとした瞬間、ル・カルコルは自身の危険を感じ取って<
殻に籠るだけでなく、その殻の外側にいくつもの棘が生えて敵を近づけさせない。
それだけで終わらず、ル・カルコルは<
「任せるニャ!」
自分達に向かって来るル・カルコルに対してミオが<
その瞬間、藍大達の正面に霧が発生してル・カルコルを包み込む。
霧の中で方向感覚が狂ったル・カルコルは霧から飛び出し、藍大達から見て右手側の壁に思いきり激突した。
衝撃が部屋全体を揺らすが、殻の中に籠っていたル・カルコルは壁にぶつかって殻が横転してしまった。
しかも、棘が地面に刺さってなかなか抜け出せなくなっていた。
「おやおや、棘が地面に刺さって抜けないようだ」
『このチャンスは逃せないね』
『あの殻の耐久度を試そうか』
「囲ってボコるニャ!」
『燃やしちゃうよ!』
藍大達はとても良い笑顔になり、リル達が動けないル・カルコルに接近する。
「まずは罠を仕掛けるニャ」
ミオが<
これでル・カルコルが暴れてうっかり罠を踏めば起爆するようになった。
『炎で炙ってみる!』
次にフィアが<
しばらくフィアがブレスを穴に吐き出し続けたことにより、殻の中が熱くなって我慢できなくなったル・カルコルが殻から飛び出した。
ブレスの熱によってヌメヌメが乾いてしまい、ル・カルコルは慌てて<
『面倒だな』
ドライザーはラストリゾートを湿ったル・カルコルの体で汚したくないらしく、<
その砲撃によって蒸気と体表の水分が持っていかれ、先程よりも乾燥したル・カルコルを見てリルがとどめを刺しにかかる。
『これで終わり!』
リルの<
敵を倒したリル達は嬉しそうに藍大の前に戻って来た。
『ご主人、倒したよ!』
『ヌメヌメ除去も問題ない』
「魔石欲しいニャ!」
『フィアも頑張ったの~』
「みんなお疲れ。よくやったな」
藍大はリル達が満足するまでしっかりと労った。
それから、ル・カルコルを解体して魔石を除いて全て収納リュックにしまい込んだ。
魔石を手に持ったミオがじっと見つめているので、藍大は心配するなとミオの頭を撫でる。
「これはミオにあげるから安心しろ」
「ありがとニャ!」
ミオが藍大から魔石を貰って飲み込むと、ミオの体が一瞬ブレてから元通りになった。
『ミオのアビリティ:<
『ミオがアビリティ:<
(やっぱ出て来たかメジェド)
藍大はバステトがどの神を紹介するのか予想していたが、その中でメジェドが最初に思い浮かんだ。
その理由はバステトが聖獣に紹介する神として王道な神を呼ばないという根拠のない自信があったからだ。
<
<
MP消費量を考慮して上手く使えば、移動とHP吸収を同時に行える便利なアビリティである。
「ミオもあと1つで”水神獣”だな」
「やったニャ! 今日は良い日ニャ!」
「よしよし。愛い奴め」
万歳して喜ぶミオが愛らしかったので、藍大はそんなミオの頭を撫でた。
ミオのパワーアップが終わって道場ダンジョン12階でやること全てが終わったため、藍大達はダンジョンを脱出して帰宅した。
自宅に戻るとリルがブラドにニッコリと笑いかける。
『ブラド、今日も僕の勝ちだね』
「ぐぬぬ。良いアイディアだと思ったのだが」
『ワフン、あの程度じゃ僕を欺けないよ♪』
「こうなったらゼルと組んで突拍子のない階層を作るしかないのだ」
『o( * ゚▽゚ * )oヨバレタネ♪』
(ゼルが絡んだら間違いなくふざけ倒したダンジョンになるな)
リルとブラドの話にゼルが加わったのを見て藍大は苦笑した。
そのまま藍大はサクラに頼んで宝箱からミスリル中華鍋を引き当ててもらい、昼食にツインヘッドワイバーンのステーキと炒飯を作った。
今日も食いしん坊ズを筆頭に家族全員が満腹になるまで食べたのは言うまでもない。
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