【Web版】大家さん、従魔士に覚醒したってよ(書籍タイトル:俺のアパートがダンジョンになったので、最強モンスターを従えて楽々攻略 大家さん、従魔士に覚醒したってよ)
第592話 ゼルさんや、ドライザーにまた余計なことを教えたな?
第592話 ゼルさんや、ドライザーにまた余計なことを教えたな?
ドライザーの強化の話が落ち着いたところでリルが藍大に話しかけた。
『ご主人、ドライザーが神様に興味を持たれたことで何か美味しい物は手に入ってない?』
「鋭いな。リルの想像通り、新しい植物の種が手に入ったぞ。みんな、新しい種はなんの種と思う?」
『
「柿ニャ!」
「サクランボ!」
『変化球で栗』
「おぉ、ドライザーが正解だ」
リルが当てるのではと思っていたが、予想外なことにドライザーが当ててみせた。
『栗饅頭が食べたい!』
「栗きんとんも良いのニャ!」
『モンブランも良いと思うの!』
食いしん坊ズはまだ植えてもいない栗で何を作ってほしいかリクエスト合戦を始める。
(千春さんに作り方教わらないと・・・)
藍大は一般人に比べてレパートリーが多いけれど、それでも本職にはレパートリーで負ける。
それゆえ、千春に教わってからリル達の食べたい甘味を作ってあげることにした。
神栗の種の話で盛り上がった後、藍大達は気持ちを切り替えてボス部屋の扉を開けた。
その中にいたのは紅色の体表をしたティラノサウルスだった。
「ガァァァァァ!」
「おぉ、ティラノサウルスだ」
『大きいね~』
「デカいニャ」
『煩いね』
『斬ってしまってもよろしいか?』
「ガァ!?」
全然ビビってくれないじゃんこいつ等とティラノサウルスは怯えていた。
その隙に藍大はモンスター図鑑で敵の正体を探っていた。
-----------------------------------------
名前:なし 種族:クリムゾンティラノ
性別:雄 Lv:95
-----------------------------------------
HP:3,500/3,500
MP:2,500/2,500
STR:3,000
VIT:2,500
DEX:2,000
AGI:2,000
INT:2,500
LUK:2,000
-----------------------------------------
称号:8階フロアボス
暴君
アビリティ:<
<
<
装備:なし
備考:困惑
-----------------------------------------
(戦うために生まれたと言っても過言じゃないぞこれ)
クリムゾンティラノのステータスをチェックして藍大はそのように評価した。
回復や補助系のアビリティはなく、積極的に敵を倒すためのアビリティしかないのだからその評価も妥当である。
「クリムゾンティラノLv95。炎属性の攻撃と近接攻撃に注意すれば恐れるものは何もない」
「ガァン!?」
クリムゾンティラノは自分が舐められていると知って驚いたが、頭をブンブンと横に振って気持ちを切り替えてから<
『負けないよ!』
フィアも<
同じアビリティがぶつかった場合、INTで勝る方の攻撃がもう片方の攻撃を押し戻すのは当然のことだ。
クリムゾンティラノは力で押し勝てないと悟った瞬間、慌てて<
「ミーも手伝うニャ!」
ミオはフィアだけに任せておけないと<
体から炎が消えたのを確認し、ミオはクリムゾンティラノを煽り始めた。
「ニャハハ! でっかい図体してさっきから良いとこ0ニャ! 悔しかったらかかってくるニャ! おっと怖くて動けなかったようだニャ! 失礼したニャ!」
「ガァァァァ!」
ふざけるんじゃないとキレたクリムゾンティラノが前に出ようとした瞬間、<
「引っかかったニャ~! ミーの言葉で頭に血が上ったのニャ! ちょっと考えればわかるのに馬鹿ニャ!」
ミオがプークスクスと笑うとクリムゾンティラノが叫びながら<
「ガァァァァァァァァァ!」
「ヤ、ヤバいニャ! あの重量でぶつかられたら不味いニャ!」
ミオがやり過ぎたと気づいて慌てるのを見て藍大はやれやれと首を振る。
「しょうがない奴だ。ドライザー、決めてくれ」
『心得た』
ドライザーは<
冷静さを欠いたクリムゾンティラノに避ける頭はなく、ジャンプして避けるには時間が足りなかった。
ドライザーの手裏剣がクリムゾンティラノの両足を切断し、その胴体だけが慣性によって藍大達の方に滑って来る。
『痛かろう。介錯してやる』
ドライザーはラストリゾートを大太刀に変形させた後、クリムゾンティラノを一刀両断した。
「お見事!」
『またつまらぬものを斬ってしまった』
(ゼルさんや、ドライザーにまた余計なことを教えたな?)
決め台詞を口にしたドライザーを見て、藍大は小さく息を吐いた。
「みんなお疲れ。クリムゾンティラノも余裕だったな」
『うん!』
「余裕ニャ!」
『問題ない』
『ミオは結構慌ててたよね』
「そこは見逃してほしかったニャ」
リルに痛い所を突かれて耳をへにゃんと垂らすミオの姿を見て、藍大達は笑わずにはいられなかった。
それから、クリムゾンティラノの解体を素早く済ませて魔石以外を収納袋にしまい込んだ。
藍大が魔石をミオに与えようとしたが、ミオは首を横に振った。
「今回は反省の気持ちを込めて止めておくニャ。この魔石はフィアに譲るニャ」
『良いの?』
「良いのニャ。ここで受け取ったらミーはきっと調子に乗って反省できないニャ。覚悟がブレない内に飲み込むニャ」
『わかった! ありがとう!』
フィアはミオにお礼を言ってからクリムゾンティラノの魔石を飲み込んだ。
その結果、フィアの体が一回り大きくなった。
『フィアのアビリティ:<
『フィアがアビリティ:<
『あっ、フィアも神様に興味を持たれたね』
「ニャン・・・だと・・・」
リルが鑑定した結果を聞いてミオが膝から崩れ落ちた。
魔石の権利を譲る覚悟はあってもフィアに先を越されるのはショックだったようだ。
『パパ~、フィアも強くなった!』
「よしよし、愛い奴め。ミオ、次はミオにあげるから元気出せ」
藍大はフィアの頭を撫でた後、落ち込むミオの頭も撫でた。
フィアとミオが落ち着いたらやることはもう何もないので、藍大達は八王子ダンジョンを脱出して帰宅した。
家に入ってリビングに行くと、モルガナがブラドに泣きついていた。
「うぅ、あんなに簡単にやられるとは思ってなかったでござる」
「だから言ったであろうに。吾輩がどれだけ工夫しても勝てぬのだぞ? そう簡単にリルを騙せるなんて大間違いである」
『ただいま~。モルガナ、宝箱の配置はもっと工夫した方が良いよ。簡単に見つけられちゃったら赤字になるもん』
「うぐっ!」
「おぉ、なんて無邪気に追い打ちするのだ・・・」
リルのアドバイスは善意によるものだが、タイミングが悪いのは事実だ。
ブラドが現実は非情なのだと呟くのも無理もない。
その間にサクラが蘭を連れてリビングにやって来た。
「主、お帰りなさい。宝箱あるんだって?」
「ただいま。あるよ。今日も頼んで良い?」
「勿論。今日は何が良い? 調理器具? それとも種?」
「調理器具が良いな。卵焼き器が欲しい」
「任せて。はい、卵焼き器」
サクラは藍大のリクエストを聞くと流れるような動作で宝箱の蓋を開き、その中からミスリル卵焼き器を取り出した。
逢魔家では普通の光景だけれど、他所では絶対に異常な光景である。
「藍大おかえり~」
「やっと帰って来たのよっ」
「待ってたです!」
『p(o´・∀・o)ノ彡 おかえり~♪』
舞と仲良しトリオが子供達を連れて来ると、藍大が収納リュックから神栗の種を取り出してメロに渡す。
「ただいま。メロ、神栗の種だぞ」
「栗です!? 栗ご飯ができるです!」
「栗ご飯!? 何杯でもいけそうだね!」
「舞は栗ご飯じゃなくてもバクバク食べてるんだからねっ」
『( ´-ω-)σソレナ』
「むぅ。意地悪な子達はハグしちゃうよ?」
「逃げるのよっ」
『ε=ε=(*≧▽)ノノアバヨトッツアァン!』
妊婦の舞に無茶させる訳にはいかないので、藍大はゴルゴンとゼルの肩を掴んで動けなくした。
「マスター、それは駄目なのよっ」
『(´^`;)マジか』
「確保~」
藍大が料理を作り終えるまでの間、ゴルゴンとゼルが舞にハグされたままだったのは言うまでもない。
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