【Web版】大家さん、従魔士に覚醒したってよ(書籍タイトル:俺のアパートがダンジョンになったので、最強モンスターを従えて楽々攻略 大家さん、従魔士に覚醒したってよ)
第499話 ヒャッハーは状態異常じゃないのかニャ?
第499話 ヒャッハーは状態異常じゃないのかニャ?
翌日の月曜日、藍大は朝から四聖獣を連れて神宮ダンジョン地下2階にやって来た。
1階と地下1階では階段を下ってすぐの場所にはモンスターがいなかったが、今日は青いオーガと黒いオーガの混成集団が待ち伏せしていた。
2種類のオーガはいずれも袈裟を着ており、青いオーガは金棒を持っていて黒いオーガは錫杖を手に持っている。
「アオーガとクローガ。いずれもLv45」
『フィアがやっつけちゃうよ』
フィアは自分の番だと宣言してから<
<
(神宮ダンジョンに出現するモンスターの法則性が絞り込めたな)
藍大はフィアを労ってから床に散らばったアオーガとクローガの死体回収をしつつ、神宮ダンジョンについて考察した。
神宮ダンジョンでは
1階と地下1階に当て嵌めると、それぞれゴブリンとオークをベースに4種類の妖怪要素が盛り込まれていた。
地下1階には火鼠要素の盛り込まれたヒネズミミックも現れたが、これは例外もしくは各階共通なのだろう。
地下2階では既に青坊主と黒坊主をモチーフとしたオーガが現れており、”掃除屋”とフロアボスも別々の妖怪をモチーフとする可能性が高い。
アオーガとクローガはこの後もちょくちょくと出現した。
その度にリル達が順番で倒していくので、分かれ道もなかったことから藍大達はあっさりと広間へと辿り着いた。
そのオーガは女型で髪の毛が腰まで伸びており、手には人を切れるサイズの巨大な包丁を握っていた。
「早く斬らせろぉぉぉぉぉ!」
「ケジョーグレスLv55。髪を操るだけではなく、手に持った武器で斬りたがるバーサーカーだ。ドライザー、頼めるか」
『問題ない』
藍大に頼まれたドライザーが前に出ると、ケジョーグレスは人斬り包丁を振りかぶる。
「キェェェェェ!」
『煩い』
猿の叫びのような声を上げて攻撃するげケジョーグレスに対し、ドライザーは<
ケジョーグレスの力ではドライザーの砲撃を斬ることができず、後方にあっさりと飛ばされたまま微動だにしなかった。
「ドライザー、相変わらず見事な手際だぞ」
『ありがたき幸せ』
藍大に褒められたドライザーは恭しく応じてみせた。
ケジョーグレスの死体を回収する際、藍大はケジョーグレスの使っていた人斬り包丁をリルに<
「レベルが低い割に危険な武器使ってるよな」
『状態異常に耐性がないなら絶対に素手で触れちゃ駄目だね』
「どんな効果があるのニャ?」
「触れたら強制的に狂暴化する。STRが元々の120%になるとしても、暴走してたら使えないだろ?」
「それは大変なのニャ。舞に持たせたらアウトニャ」
ミオは舞にこの人斬り包丁を持たせてはいけないと口にした。
「ミオ、舞は”暴食の女王”の効果で元々状態異常が効かないぞ」
「ヒャッハーは状態異常じゃないのかニャ?」
「あれは舞が戦闘モードになっただけだ。状態異常じゃない」
「状態異常扱いにならないなんておかしいのニャ」
ミオの言いたいことはわかったけれど、自分がそれを認めたら舞の味方がいなくなる気がしたので藍大は肯定しなかった。
戦利品回収が済んでから、リルはスタスタと壁際へと移動した。
「リル、隠し部屋があるのか?」
『うん。ちょっと待っててね』
リルは壁に向かって<
その奥には人が1人入れるかどうかというスペースがあり、そこに宝箱が置かれていた。
藍大は昨日みたいにヒネズミミックではないかと疑い、モンスター図鑑で調べてみたがまたしてもそうだった。
「リル、残念ながらヒネズミミックだった」
『ここのダンジョンマスターはケチだね』
リルはムッとしたまま<
得られる物はもうないと思って広間に戻ろうとした時、リルは首を傾げた。
「どうしたんだ? まだ何か気になる所があった?」
『この感じ、近くに別のヒネズミミックが埋まってる気がする』
「なんでヒネズミミックを埋めるんだ? 既にヒネズミミックを見つけさせただろ?」
『強欲な冒険者を徹底的にがっかりさせるためじゃない?』
「なるほど。それは一理ある」
リルの言い分を聞いて藍大は納得した。
一般的に冒険者は強欲だ。
だが、それは別に恥ずべきことではない。
命を懸けてダンジョンを探索している以上、持ち帰れる物は少しでも多く持ち帰ろうと考えるのは自然なことだからである。
リルはヒネズミミックを<
ミミック系モンスターは人工収納袋の素材として高く売れるので、宝箱ではなかったからとがっかりするものでもない。
しっかり2体のヒネズミミックを回収した後、藍大達は広間に出て先の通路へと進んだ。
地下2階の今までの通路は隠し部屋を除いてただの一本道だったが、広間から先の通路では急に罠が仕掛けられるようになっていた。
『ここから先は僕の言う通りにしてね。そうじゃないと罠に引っかかっちゃうから』
「わかった」
『承知した』
「はいニャ」
『は~い』
リルが真剣な表情で言えば藍大達はそれにちゃんと従う。
通路の右側だけ踏み込んだら落とし穴だったり、50mを5秒以内に通過しないと両側の壁に挟まれたりとぼーっとしていたら死んでしまう罠が仕掛けられていた。
それでもリルのおかげで藍大達は安全な場所を歩いたり、リルの背中に乗せてもらったことで無傷のまま罠満載のエリアを突破できた。
罠の性質もあって
少し休憩してからボス部屋に入ると、藍大達を待っていたのは大太刀と瓢箪を持った赤いオーガが待ち構えていた。
藍大達が侵入するのを見てそのオーガは声を荒げた。
「誰に許可取って入って来てんだゴラァ!」
「戦闘中の舞みたいなオーガなのニャ」
ミオが動じることなく冷静にコメントしている間、藍大は素早く敵のステータスをモンスター図鑑で確認していた。
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名前:なし 種族:シュテンオーガ
性別:雄 Lv:60
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HP:1,000/1,000
MP:600/600
STR:1,110
VIT:1,000
DEX:600
AGI:600
INT:0
LUK:700
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称号:地下2階フロアボス
アビリティ:<
<
装備:妖刀飲兵衛
濁酒瓢箪
備考:激昂/酩酊
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(酔っぱらってんのかよ)
シュテンオーガのステータスを見て藍大が真っ先に注目したのは備考欄の酩酊だった。
シュテンオーガはキレている迷惑な酔っ払いだったとわかれば、もはやフロアボスとして見ることはできまい。
装備の濁酒瓢箪には酒が入っており、いつでも飲めるようにしているのも酔っ払いの印象を強めていた。
そして、その考えは藍大だけでなくリルも同じだった。
むしろ、藍大よりも嗅覚が鋭いリルからすればシュテンオーガはいるだけで顔を顰めたくなる存在と言えよう。
『お酒臭い!』
リルは<
STRとVITが高めだとしても、リルと比べればそこら辺の
『ご主人、あいつ臭かったよ~』
「よしよし、よく耐えたな」
リルがシュテンオーガの臭いに耐えきれなくて自分に頬擦りして来たため、藍大はリルを労いながら優しくその頭を撫でた。
藍大の匂いで落ち着いたリルだったが、このボス部屋は臭いと感じるようなので戦利品を素早く回収して藍大達は地下3階へと進んだ。
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