【Web版】大家さん、従魔士に覚醒したってよ(書籍タイトル:俺のアパートがダンジョンになったので、最強モンスターを従えて楽々攻略 大家さん、従魔士に覚醒したってよ)
第480話 パンドラさんがパーティーリーダーだったんですか!?
第480話 パンドラさんがパーティーリーダーだったんですか!?
4階はいきなりボス部屋だった。
シャッターがほんの少しだけ空いており、これを持ち上げれば”ダンジョンマスター”が部屋の中で待ち構えているだろうことは間違いなかった。
「”ダンジョンマスター”はこの中ね」
「せやな。ここまで温いダンジョンやと”ダンジョンマスター”がこの部屋におるんか疑わしいで。実は身代わり立てとるんとちゃうか?」
「皆さんからすれば楽勝だったかもしれませんが、私にとってはかなり厳しいダンジョンでしたからね?」
「軟弱ね」
「貧弱やな」
「えぇ・・・」
麗奈と未亜に軟弱だの貧弱だの言われて美鈴はしょんぼりしている。
美鈴はT島国ではそこそこ強い部類だけれど、麗奈や未亜からすれば美鈴とそれ以外のT島国の冒険者の強さは誤差でしかない。
「アスタ、シャッターを持ち上げて」
「了解した」
パンドラはアスタに頼んでボス部屋のシャッターを開けてもらった。
麗奈達がボス部屋の中に進むと、赤い鎧を着た悪魔の騎士が待ち受けていた。
「私のダンジョンをよくもあっさりと進んでくれたな」
「工夫の欠片もないダンジョンだもの。進むのに対して苦労しなかったわ」
「モンスターでゴリ押すんならもっと強いモンスター寄越せや。チョロ過ぎるで」
「工夫の欠片もない? それにチョロ過ぎるだと?」
”ダンジョンマスター”の赤い騎士は未亜と麗奈にボロクソに言われてしまい膝から崩れ落ちた。
その隙にパンドラが”ダンジョンマスター”の正体を鑑定で調べ始めた。
-----------------------------------------
名前:なし 種族:ベリト
性別:雄 Lv:85
-----------------------------------------
HP:1,500/1,500
MP:2,000/2,000
STR:2,000
VIT:1,500
DEX:1,500
AGI:1,500
INT:1,500
LUK:1,500
-----------------------------------------
称号:ダンジョンマスター
アビリティ:<
<
<
装備:ヴァニティメイル
キメライトソード
キメライトシールド
備考:衝撃
-----------------------------------------
「ベリトLv85。剣と盾以外にも化けたり物を交換したりする」
「ふーん。ごつい見た目してるけどパンドラとアスタ、エルを中途半端に足しただけの劣化版じゃないの」
「誰が劣化版だ! 今吐いた言葉を後悔させてくれるわ!」
ベリトは麗奈の発言に怒って立ち上がり、<
「武器をアダマントクレイモアに交換したから注意して」
「鑑定されようが構わん! まずは肉弾戦しかできなさそうな女から排除してやる!」
パンドラが冷静に武器の鑑定結果を麗奈達に伝えるのに対し、ベリトは自分を虚仮にした麗奈を斬ってやると突っ込む。
「アスタ、出番だよ」
「マッスル!」
アスタは<
「無駄だ!」
ベリトは<
「麗奈、良かったな。モテ期が来たで」
「私には晃がいるから要らないわよ!」
「残念やなベリト。フラれてもうたで」
「誰もこんないけ好かない女に告白せんわ! 勿論、胡散臭い喋り方のお前にもな!」
「それはそれでムカつく!」
「誰が胡散臭い喋り方や!」
キレたベリトの発言で麗奈と未亜がヒートアップするのを見てパンドラはやれやれと首を振る。
「仕方ないなぁ」
パンドラはベリトに向かって<
ベリトはすっかり頭に血が上っており、パンドラの攻撃への対処が遅れてしまった。
ベリトのHPは一気に削られ、<
ランダムで発生する状態異常が石化だった訳だが、ベリトには<
「アスタ、追撃よろしく」
「筋肉だぁぁぁいすきぃぃぃぃぃ!」
パンドラの指示に従ってアスタは<
それが動きの鈍ったベリトの首を刎ねてベリトのHPは尽きた。
ベリトの首から上が胴体から離れ、ベリトの体は音を立てて地面に倒れた。
「麗奈も未亜もぼさっとしてないで回収手伝ってよね」
「「パンドラ~!」」
「何?」
「ここは私達にやらせてくれるところでしょ!?」
「せやで! 馬鹿にされたままなんて嫌や!」
「一切の文句は受け付けない。そもそも今回の遠征は僕がリーダーを任されてるんだからね? そこんところわかってる?」
これ以上文句を言うなら尻尾ビンタするぞと態度で示すと、麗奈と未亜はおとなしく言うことを聞いた。
2人は日頃からダンジョン探索中にやらかしてはパンドラに制裁されている。
ちなみに、健太もちょくちょく制裁されているのでパーティー内でパンドラの制裁を受けていないのは司だけなのだが今は置いておこう。
尻尾ビンタの強さを知っている2人はパンドラに逆らう気力なんて微塵も起きないので、パンドラの指示に従って戦利品の回収を始めたのだ。
その様子を見て美鈴が驚く。
「パンドラさんがパーティーリーダーだったんですか!?」
「そうだよ。面倒なやり取りは麗奈と未亜に任せてたけど、このパーティーのリーダーは僕なんだ」
「そう言われてみれば、アスタさんもパンドラさんの言うことをよく聞いてましたね」
「そういうこと。あっ、魔石だ。いただきます」
パンドラは美鈴との話を適当に切り上げてベリトの魔石を飲み込んだ。
その直後にパンドラの毛並みが一段と美しく輝いた。
「あの”ダンジョンマスター”にしては良い魔石だった」
パンドラは嬉しそうに呟いた。
ベリトの魔石により、パンドラの<
<
攻撃して脱出しようとすると空間の耐久度が0になるまで投影されるイメージが倍々ゲーム式に分裂し、閉じ込められた者の精神を攻撃する。
心を折りに行く効果を持つアビリティとしてはトップクラスにあるのは間違いない。
<
刃の命中した部位から熔かしていくアビリティであり、攻撃系アビリティの少ないパンドラにとっては貴重なものと言えよう。
「このダンジョンに他の用事もないし帰ろう」
「そうね」
「せやな」
もうやり残しはないだろうと判断してパンドラがそう言うと、麗奈も未亜も同意した。
そこに美鈴が待ったをかける。
「待って下さい。この後ダンジョン踏破を祝ってパーティーを開きますのでご参加いただけませんか?」
「パーティーできるの? 僕達がこのペースで探索するって外の人達はわかってないんじゃない?」
「・・・ホテルは確保できないかもしれません。ですが、行きに使った船の上でならパーティーを開けるはずです」
「船上パーティーって経験ないわね。ちょっと気になるかも」
「というよりも船上パーティーなんて経験してる人の方が少ないやろ」
美鈴の言葉に麗奈と未亜は興味を示した。
”楽園の守り人”で開くパーティーと言えば、バーベキューやおにぎりパーティー、屋台のような庶民的なものばかりだ。
それゆえ、船上パーティーのような豪華な雰囲気のパーティーを経験した者はほとんどいない。
実際のところ、食材の価値だけで言えばシャングリラで開くパーティーの方がずっと高級だが、それはそれとして船上パーティーが気になるというのが麗奈と未亜の正直な気持ちだ。
パンドラは麗奈と未亜にあれも駄目これも駄目と言うと不満が爆発するかもしれないから、自分が2人を監視する前提で船上パーティーの誘いに乗ることにした。
「わかった。麗奈と未亜が参加したそうだし参加するよ」
「「イェーイ!」」
「一肌脱ぐ時が来たか」
「アスタは元から上裸でしょ?」
アスタが仕方ないという表情でボケたことを言うのでパンドラが欠かさずツッコミを入れる。
とりあえず、船上パーティーに参加するため麗奈達はN1ダンジョンから脱出した。
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