第440話 私、参上!
翌日の月曜日、藍大は東京都の狛江ダンジョンに招待されてやって来た。
同行しているのは舞と優月、ユノ、リル、ゲン、ブラドである。
「逢魔さん、それに皆さんも今日はわざわざお越しいただきありがとうございます」
「いえいえ。それよりも神田さん、遂に”ダンジョンマスター”のテイムに成功したんですね。おめでとうございます」
藍大を招待したのは”魔王様の助っ人”のクランマスターである神田睦美だ。
彼女は先月から狛江にある無機型モンスターが多く出現するモンスターのダンジョンの探索を行い、昨日”ダンジョンマスター”をテイムしてダンジョンを掌握した。
そのお披露目のために藍大を狛江ダンジョンに招いたのである。
藍大達が睦美に連れられてボス部屋に移動すると、そこには堕天使を模った人間大のオートマトンがいた。
体は銀灰色がベースで武器は槍と盾を装備している。
藍大は初めて見るモンスターなのでモンスター図鑑でその正体を調べた。
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名前:ルシウス 種族:フォールンマトン
性別:なし Lv:70
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HP:1,750/1,750
MP:1,950/1,950
STR:1,950
VIT:1,750
DEX:1,750
AGI:1,750
INT:1,500
LUK:1,500
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称号:睦美の従魔
ダンジョンマスター
融合モンスター
アビリティ:<
<
<
装備:オファニムスピア
オファニムシールド
備考:なし
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『おめでとうございます。モンスター図鑑のページが全体の60%埋まりました』
『報酬として逢魔藍大の三次覚醒で得た力の効果範囲が日本全国に広がりました』
(予想外の報酬来た!?)
ルシウスのステータスを調べたことにより、藍大のモンスター図鑑のページが全体の60%に到達した。
その報酬が普段全く使っていない三次覚醒で得た力の効果範囲の拡大ならば藍大が驚くのも無理もない。
従魔士が三次覚醒で手に入れる力は従魔同士か従魔と自分の位置の入れ替えだ。
その入れ替えは藍大がゲンやエルに<
伊邪那美の声が知らせてくれた報酬によれば、藍大は自分や従魔の位置が日本国内にいればどこでも入れ替われるようになった。
クランメンバーそれぞれに従魔を託していれば、いつでも入れ替わってクランメンバーのいる場所に移動できる訳だから、国内のあちこちで同時に問題が生じてクランメンバーを派遣した場合に藍大の移動が楽になると言えよう。
「藍大、ぼ~っとしてるけど大丈夫?」
「ん? あぁ、大丈夫だ。ありがとう」
舞に声をかけられてここが外であることを思い出し、藍大は問題ないと告げて頭を切り替えた。
「魔王様、この子が”ダンジョンマスター”のルシウスです」
「”ダンジョンマスター”を別の従魔と融合させたんですね」
「おっしゃる通りです。元々はデーモンマトンが”ダンジョンマスター”だったのですが、道場ダンジョンのパワーマトンと融合してフォールンマトンになりました」
「なるほど。あと5つレベルを上げたらもしかしたら進化するかもしれませんよ」
「私もその可能性に期待してます。実は、ヴァーチェとキュリーもこのダンジョンの攻略中にLv75に到達して進化したんですよ」
「おめでとうございます。披露していただけますか?」
「喜んで! 【
睦美は藍大なら進化した2体を見たいと言ってくれると思っていたらしく、嬉しそうにヴァーチェとキュリーを召喚してみせた。
進化前のヴァーチェはデュミナスファイターという黒光りした4本腕のメタリック天使人形だったが、進化したことでデュミナスストライカーという6本腕に6枚の翼を生やした青い天使人形に変わった。
その一方、キュリーはドミヌスキャスターと呼ばれる青白い霧を纏う魔導書を持った白い天使人形だったけれど、進化後はドミヌスオーソリティと呼ばれる青白い錫杖をもった白い天使人形になった。
「どっちも見た目が変わりましたね。特にヴァーチェの方は明らかです」
「そうでしょう? ですが、まだ終わりじゃありません! ヴァーチェ、キュリー、合体よ!」
『オーダーを実行します』
『OK』
睦美の指示によってヴァーチェが<
それにより、睦美は青白のタイガーパターンのヴァーチェを着込んだ姿になった。
「私、参上!」
派手にポーズを決めた睦美を見て、藍大はブラドの方を向いた。
「ブラド、今からエルとチェンジしてもらっても良いか? あれだけど派手に変身されたらこっちもそれなりの変身を見せなきゃ駄目だ」
「別に構わんぞ。好きにするが良い。ドライザーには吾輩から言っておくのだ」
「ありがとう」
藍大はブラドとエルの位置を入れ替えてエルをこの場に呼び出した。
『マスター、お呼びでしょうか』
「呼んだ。エル、早速で悪いけど<
『仰せのままに』
エルが<
「パパひかってる!」
「キュル!」
「藍大ってばノリノリだね~。優月も気になってるみたいだし」
『ご主人言ってたよ。男の子はいくつになってもロボが好きだって』
舞達がそんな会話をしている間に藍大の変身が完了する。
藍色をベースに銀色の分岐線が浮かび上がった外見の全身甲冑を身に着けた藍大の姿を見て、睦美のテンションが急上昇した。
「キタァァァァァ! 魔王様第二形態キタァァァァァ! 尊い! これぞ至高! 生きてて良かったぁぁぁぁぁ!」
「大変だよリル君、神田さんが壊れちゃった」
『大丈夫。しばらく放っておけば落ち着くと思うよ』
「パパかっこいい! だっこ!」
「よしよし。優月もロボが好きか」
優月が目を輝かせているのを見て、藍大は嬉しそうに優月を抱っこする。
舞ははしゃいでいる睦美を放置して藍大が優月を抱っこしているところを撮影した。
そんな藍大達を見てユノがちょっぴり寂しそうにしている。
「キュルン・・・」
「ユノちゃん、夫の趣味に理解を示すのも妻として大事なことだよ。優月が好きな物を好きになれとは言わないけど、理解してあげると良いんじゃないかな」
「キュル!」
舞に言われてユノはなるほどと頷いた。
自分も舞と同じようにパートナーの趣味を理解してあげれば良いのだと道を示してもらえたため、抱いていた不安が吹き飛んだようだ。
睦美は少ししてから落ち着きを取り戻し、呼吸の乱れを整えてから藍大に訊ねた。
「魔王様、その姿のままツーショットを撮っていただけないでしょうか? ロボ好きとしては共演の機会に1枚も写真を撮らないと死んでも死に切れないです」
「良いですよ。舞、頼める?」
「は~い。優月、写真撮るからこっちおいで~。ユノちゃんが待ってるよ~」
「うん!」
優月は素直で舞の呼びかけに応じてユノに抱っこされた。
ユノは優月を抱っこできたことでご機嫌になり、舞にぺこりと頭を下げて感謝の気持ちを示した。
舞が変身した姿の藍大と睦美のツーショット写真を撮った後、藍大はエルに<
『マスター、お楽しみいただけましたか?』
「勿論だ」
『ご主人、僕にも構って~』
「よしよし。愛い奴め」
「クゥ~ン♪」
リルは今までおとなしく待機していたけれど、もう甘えても良いと判断して藍大の脚に頬擦りする。
藍大もテンションが上がった結果、リルに寂しい思いをさせてしまった自覚があったので少し長めに時間を取って甘やかした。
その間、睦美は舞に撮影してもらった写真を見てデレデレしていた。
崇拝する藍大とのツーショットというだけでも嬉しいが、それに加えて2人とも人間大モ〇ルスーツの姿だったからニヤケ顔を引き締められないようだ。
最後はルシウスが放置され気味だったけれど、睦美によるルシウスの紹介は無事に終わった。
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