第400話 アビリティの癖がすごい!
睦美も藍大と同様にヴァーチェのステータスを確認していたらしく、一通り見終わった後で目を輝かせた。
「魔王様、ご覧になりましたか!? ヴァーチェが<
「そうですね。マルオがテトラを着込むように神田さんもヴァーチェを着込めるじゃないですか」
「早速やってみます! ヴァーチェ、<
『オーダーを実行します』
「喋ったぁぁぁ!」
そう叫ぶ睦美をヴァーチェの中心がガバッと開いてそのまま包み込んでいく。
睦美は装着が終わってすぐにやってみたいポーズを次々に試し、空も飛べるはずと実際に試して室内を飛び始めた。
「神田さんがめっちゃはしゃいでる」
『ご主人もゲンとエルを装備した時はあんな感じだよ』
「アハハ、やっぱり?」
『うん。でも、僕は楽しそうなご主人を見るのも好きだよ』
「リルは良い奴だな」
「クゥ~ン」
藍大はリルの言葉が嬉しくてリルを撫でた。
嬉しそうに鳴くリルを見てブラドがムスッとした表情で藍大に自分の存在をアピールする。
「リルばかり狡いぞ。吾輩もいるのである」
「勿論だ。ブラドもいつもすまないねぇ」
「それは言わないお約束なのだ」
ブラドも藍大のノリに合わせながら頭を撫でられて嬉しそうにしていた。
睦美が<
「ヴァーチェ、<
『オーダーを実行します』
次のテイムに供えて睦美はヴァーチェに<
「合体を楽しめましたか?」
「はい! 最高でした! 後でクランのメンバーにも自慢します!」
「どうせ自慢するなら後で神田さんのスマホを使って写真を撮りましょうか? 神田さんも合体した時の写真を見たいでしょうし」
「さすまおです! ロボ好きの気持ちをよくわかってらっしゃる! お願いします!」
「わかりました。2体目のテイムと融合が終わってからで良ければ撮りましょう」
「ありがとうございます!」
藍大は自分がゲンとエルに<
それゆえ、自分と同じロボ好きな睦美ならばその方が喜ぶと思って提案してみたが、予想通り睦美は大喜びだった。
「主君、そろそろドミニオンマトンを出して良いか?」
「そうだったな。よろしく頼む」
「うむ」
ロボ好き談義が始まっては困るから、ブラドは流れを変えるために藍大に声をかけてからドミニオンマトンLv60を召喚した。
辞典並みに分厚い本を持つメタリックカラーの天使人形の姿を見て、睦美は浮かれていた気持ちを瞬時に切り替えた。
そんな彼女に藍大はドミニオンマトンを紹介する。
「これがドミニオンマトンLv60です。魔法系アビリティが得意ですよ」
「ヴァーチェが近接戦メインなので後衛のモンスターになってくれそうですね」
「そうなることを願いましょう。神田さん、ドミニオンマトンをテイムして下さい。従魔に抑え込ませなくても大丈夫ですからね?」
「意地悪しないで下さいよ魔王様。今度は大丈夫です」
先程は戦闘になると勘違いしたことを思い出し、睦美は顔を赤らめながらドミニオンマトンに近づいた。
そのまま静かにドミニオンマトンにドール図鑑を被せ、ドミニオンマトンはその中に吸い込まれていった。
睦美はテイムが終わってすぐにドミニオンマトンを召喚する。
「【
ブックを召喚して早々に睦美が後鬼とブックを融合させた。
2体が光に包み込まれた後、その中で後鬼とブックの体が重なり、ブックがベースだとわかるスマートなシルエットになった。
光が収まると、青白い霧を纏う魔導書を持った白い天使人形の姿があった。
融合前は男性ベースか女性ベースか区別がつかなったのに対し、融合した今はヴァーチェと同じく女性ベースであることが一目瞭然である。
「白黒コンビですね! 名前はキュリーです!」
『おめでとうございます。逢魔藍大がテイマー系冒険者5人を指導して戦力を強化させました』
『特典として伊邪那美の地下神域がバージョンアップして広くなります』
(リルとリュカが喜びそうだ)
今までの地下神域はドッグランと呼ぶには狭かったが、伊邪那美の声が告げたバージョンアップによって地下神域が広がったのならリルとリュカが存分に走り回れるかもしれない。
帰ったら忘れずに伊邪那美にバージョンアップした地下神域について訊くことにして、藍大はモンスター図鑑を視界に映し出してキュリーを鑑定した。
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名前:キュリー 種族:ドミヌスキャスター
性別:なし Lv:65
-----------------------------------------
HP:1,500/1,500
MP:1,800/1,800
STR:1,000
VIT:1,500
DEX:1,200
AGI:1,500
INT:1,800(+450)
LUK:1,200
-----------------------------------------
称号:睦美の従魔
ダンジョンの天敵
融合モンスター
ロマン砲
アビリティ:<
<
<
装備:ミストグリモア
備考:なし
-----------------------------------------
(アビリティの癖がすごい!)
藍大はキュリーのステータスを確認してすぐに心の中でツッコんだ。
攻撃するアビリティが<
加えて言うならば、<
<
勝負を決める時に使うのならば良いけれど、後続の敵が現れる状況で使うことは難しい。
<
キュリーの場合、STRとVIT、DEX、AGI、LUKを0にしてINTにその減少分全てを上乗せして<
しかも、<
それならばキュリーが”ロマン砲”の称号を会得していても何も不思議ではない。
「フォォォォォ! ”ロマン砲”キタァァァァァ!」
「神田さん、気持ちはわかりますけど落ち着いて下さい!」
『ドライザーやエル関連ではしゃぐご主人よりもテンション高いね』
「何がそこまであの人形士をはしゃがせるのかわからん」
『”ロマン砲”でしょ。本人がそう言ってるんだし』
「であるか」
睦美に落ち着くよう藍大が言っている後ろでは、リルとブラドが呑気におしゃべりしていた。
リルもブラドも雄、つまりは男の子だが”ロマン砲”にそれほど関心がない様子である。
彼等は”ロマン砲”よりも食べ物のほうが好きなのだから仕方ない。
食いしん坊ズはロマンよりも美味しい料理を求める者達なのだ。
藍大がゲンの力を借りて<
「魔王様、誠に申し訳ございませんでした」
「”ロマン砲”にはしゃぐ気持ちはわかりますが落ち着きましょう。とりあえず、写真を撮るだけ撮りましょうか」
「はい! よろしくお願いします!」
藍大は睦美からスマホを預かって簡単な撮影会を始めた。
ヴァーチェに<
「神田さん、キュリーに<
「わかりました! キュリー、<
『OK』
ヴァーチェを纏った状態でキュリーの<
藍大がすかさず写真を撮って彼女に見せると、再び睦美がはしゃいでおとなしくなるまで時間がかかったのは言うまでもない。
睦美が今日一番はしゃいで落ち着かせるのに苦労したが、藍大は睦美のパワーアップに成功してホッとするのだった。
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