第379話 藍大が飛んだ!?
藍大はエルの方を振り返ると、ワクワクした気持ちを隠せなていない顔で口を開いた。
「エル、<
『承知しました』
エルはそれが藍大の指示ならばとすぐに<
それにより、藍大の着ているラドンローブが紅から銀色へと変わった。
「<
「イメチェンどころかできることもガラッと変わっているけどな」
『ボス、満足いただけましたか?』
「いや、まだだ。ゲン、重ね掛けしてみようぜ!」
「合点」
藍大の提案にゲンは頷いて<
自分とエルが<
ゲンは普段テンションが低くて面倒臭がりだけれど、興味を持ったり自分がやらねば誰がやると思った時はフットワークが軽い。
ゲンの<
「藍大!?」
「主!?」
『ご主人、大丈夫!?』
舞達は藍大がいきなり光り出したので慌てた。
モンスターならば進化という可能性もあるが、人間の藍大が進化することはないだろう。
光の中で藍大のシルエットがメカメカしい全身甲冑に身を包まれていた。
しかも、ただの甲冑ではなくエルの翼も背中から生えている。
光が収まると、藍色をベースに銀色の分岐線が浮かび上がった見た目の全身甲冑を身に着けた藍大の姿があった。
「すごい! 藍大がドライザーみたいになってる!」
「舞、写真撮らないと」
「そうだね!」
サクラに言われて舞は速やかにスマホを取り出して藍大の写真を撮った。
舞は撮った写真をすぐに藍大に見せた。
「すげえ! 人間大モ〇ルスーツじゃん!」
藍大のテンションが上がり、そのまま背中の翼を動かして空を飛び始めた。
「藍大が飛んだ!?」
「ぐぬぬ・・・。主を抱っこして飛べなくなっちゃう」
『ご主人すごいね!』
「ハーッハッハッハ!」
空中で思いつく限りのガ〇ダムっぽいポーズをしてから藍大は地上に降りた。
「エル、<
『かしこまりました』
はしゃぐだけはしゃいだため、普段通りの姿になった藍大はとてもご機嫌だった。
そんな藍大にリルが近寄って頬擦りする。
『さっきの姿も強そうだけど、僕はやっぱりご主人の顔が見えてた方が良いな』
「愛い奴め」
「クゥ~ン♪」
リルが甘えられると藍大も仕方ないという気持ちになり、リルの気持ちが済むまで頭を撫でてあげた。
「あの姿での戦闘はもっとレベルの低い階で練習しないとな。ぶっつけ本番は怖い」
「そうだね~。藍大がゲンの力を引き出すのには慣れてるけど、エルの力を引き出すのは今日が初めてだもんね。それが良いと思うよ」
「主、無茶は良くない。私達が戦うからフロアボス戦も任せて」
『そうだよご主人。僕達が戦うから後ろでちゃんと見ててね』
『ボスは後ろでどっしりと構えていて下さい』
舞達は藍大が戦闘に本格的に参戦する事態は避けたかったので、藍大の言い分に頷いて戦いは自分達に任せろと告げた。
ゲンやエルに<
従魔士や調教士等のテイマー系の
マルオの場合、テトラの<
彼はシャングリラダンジョンと比べれば難易度の低いダンジョンにしか挑んでいない。
それゆえ、テイマー系の
藍大以外が安心したところで藍大達はボス部屋へと進んだ。
「フロアボスだけど、ブラドがアザゼルから別のモンスターに変更したってさ」
「そうなんだ~。食べられる?」
「舞はすぐそうやって食べられるか訊くんだから」
「サクラ、わかってない。わかってないよ。食べられるかどうかで私とリル君のパフォーマンスが全然違うんだよ~」
『僕もそう思う。食べられるって聞くとすっごくやる気出るよ』
「主、これで良いの?」
「良いんじゃないか? それで困ることがある訳でもないし」
食いしん坊ペアの言い分を聞いてサクラが藍大に訊ねるが、藍大は別に構わないと告げた。
食べられるモンスターが敵の時の方が動きが良いだけで、食べられないモンスターと戦っている時に手加減している訳でもない。
いつもが100%のパフォーマンスで食用のモンスターならば120%のパフォーマンスならば誰も困らないので、藍大はサクラの頭を撫でて機嫌を直した。
「残念ながら、フロアボスは食べられないパターンらしい」
「『そっかぁ』」
「まあ元気出せって。今日の午後はマンドラゴンも加わったし新しいメニューもあるぞ」
「こうしちゃいられないよ! 早く倒してお昼ご飯だよ!」
『そうだよご主人! 早くやっつけに行こう!』
フロアボスが食べられないモンスターだとしても、舞とリルは昼食をチラつかせるだけでやる気満々になる。
だからこそ、藍大は先程のサクラの質問に問題ないと答えたのである。
藍大は舞に盾をアダマントシールドに交換させてからリルにボス部屋の扉を開けさせた。
そこには機械仕掛けのヒュドラの姿が待ち構えていた。
初見のモンスターだったので、藍大はすぐにモンスター図鑑でその正体を調べ始めた。
-----------------------------------------
名前:なし 種族:ヒュドラフレーム
性別:なし Lv:100
-----------------------------------------
HP:4,000/4,000
MP:4,500/4,500
STR:3,500
VIT:4,000
DEX:3,500
AGI:500
INT:3,500
LUK:3,000
-----------------------------------------
称号:地下11階フロアボス
到達者
歩く魔導書
アビリティ:<
<
<
装備:なし
備考:なし
-----------------------------------------
(メカメカしい見た目に相応しいVITの数値だ)
VITが4,000を超えるモンスターなんて滅多にいない。
藍大の従魔達は”英雄”のおかげでヒュドラフレームにダメージを与えられるだけの力が発揮できるが、もしもヒュドラフレームが普通のダンジョンに現れたら”楽園の守り人”のメンバー以外で倒せる者はいないだろう。
『侵入者ヲ発見。排除開始』
『『『・・・『『排除』』・・・』』』
ヒュドラフレームの9つの頭からそれぞれ3つずつ<
「やらせねえ!」
舞が光のドームを五重に展開してヒュドラフレームの攻撃を防ぐが、ドームは一気に3つ壊されて少ししたらまた1つ壊れてしまった。
残り1つのドームはどうにかヒュドラフレームの攻撃に耐えたため、ヒュドラフレームの攻撃が藍大達にダメージを与えることはなかった。
「反撃するぞ! サクラとリルはガンガンヘイトを稼いでくれ!」
「『了解!』」
光のドームが解除されてすぐにサクラとリルは左右に分かれ、それぞれ深淵のレーザーと<
「エルは舞に<
『お任せ下さい』
エルが<
「体が軽い。良いじゃねえか」
「舞、サクラとリルがヘイトを稼いでる今の内に思いっきり決めて来てくれ」
「OK!」
ヒュドラフレームはサクラとリルという攻撃してもスイスイ躱される敵との交戦によって手一杯だった。
その結果、パワーアップした舞が近付いて来るまで気づけずにいた。
「ヒャッハァァァァァッ! ぶっ飛ばしてやるぜぇぇぇぇぇ!」
普段の舞ならばミョルニルに雷光を纏わせるだけなのだが、今はエルが<
『『『・・・『『エマージェンシー!』』・・・』』』
「動けると思った?」
『おとなしくしててね』
舞の接近に慌てるが、サクラの<
「気づくのが遅えんだよゴラァ!」
舞のフルスイングがサクラやリルの削ったHPの残り全てを削り取り、派手な音を立ててヒュドラフレームが地面に倒れた。
『エルがLv99になりました』
『エルがLv100になりました』
『エルのアビリティ:<
『エルが称号”到達者”を会得しました』
「藍大~、勝ったよ~!」
「主、頑張ったから褒めて!」
『ご主人、僕も忘れちゃ困るよ!』
「みんなお疲れ! ナイスファイト!」
ヒュドラフレームを倒して駆け寄って来る舞達に対し、藍大は両手を広げて受け入れた。
舞とサクラ、リルは藍大にたっぷりと甘えて戦いの疲れを癒した。
その後、ヒュドラフレームを解体して魔石を除いて回収し、その魔石はエルに与えられた。
『エルのアビリティ:<
「エルは一気に強くなったな」
『ボスと皆さんに感謝します』
エルはクエレブレとヒュドラフレームの魔石を自分に譲ってくれたことを感謝した。
これでやるべきことが全て終わったので、自分に向けられる食いしん坊ペアの早く昼食にしようという視線を受けて藍大達はダンジョンを脱出した。
余談だが、藍大が帰宅してすぐに作った新メニューは全員から好評であり、今後も作られることが決まった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます