【Web版】大家さん、従魔士に覚醒したってよ(書籍タイトル:俺のアパートがダンジョンになったので、最強モンスターを従えて楽々攻略 大家さん、従魔士に覚醒したってよ)
第354話 やっぱり女はどんなに幼くても女だね
第354話 やっぱり女はどんなに幼くても女だね
ダンジョンを脱出した藍大達は101号室で待機していた奈美に覚醒の丸薬Ⅱ型の素材を渡した。
「奈美さん、今日の戦果の提出に来た。残りの覚醒の丸薬Ⅱ型の素材もあるから作成よろしく」
「わかりました。今回は三原色クランと白黒クランに売るんですよね?」
「そのつもりだ。各クラン4つずつってところだな」
「なるほど。トップクランの精鋭分だけ用意するってことですね。了解です」
「そーいうこと。あと、ラードーンの素材で俺と舞の装備の作るようにDMUの職人班に連絡してもらっても良い?」
「久し振りですね。リヴァイアサンの素材以来ずっと装備を更新してませんでしたよね?」
「うん。レヴィアシリーズが優秀だったから更新の必要がなかったんだ。でも、二度目の大地震で状況が変わるかもしれないから装備も一新しようと思ってな」
「何があるかわかりませんからね。こちらも了解です」
「奈美ちゃんお願いね」
「はい」
101号室を出て藍大達は隣の102号室に戻った。
ブラドが優月とユノと遊んでいたが、サクラはブラドを見つけると<
「むっ、何をする!?」
(ブラド、どんまい)
あっさりと捕まったブラドに藍大は心の中で合掌した。
「ブラド、何か私に言うことがあるんじゃない?」
「なんのことだ? ベリアルはリクエスト通り別のモンスターに替えたぞ?」
「そのモンスターがアポピスってどういうこと? <
「理不尽である! 吾輩はベリアルに匹敵するモンスターを配置しただけだ!」
「アポピス以外にもベリアルに匹敵するモンスターはいたでしょ? なんでアポピスにしたの? 怒らないから言ってご覧なさい」
「そのセリフは既に怒ってる者が使うものであって本当に怒ってなければ使わむぎゅ!?」
サクラは<
正論を突き付けられてイラっと来たらしい。
流石にブラドがかわいそうになったため、藍大がブラドに救いの手を差し伸べた。
「まあまあ。もう一度ブラドに地下10階の”掃除屋”をチェンジしてもらえば良いじゃん」
「・・・主がそう言うなら許してあげる。ただし、次の”掃除屋”のチョイスをミスしたら絞める」
ブラドは口を塞がれているため、コクコクと首を縦に振って承知した旨を伝えた。
ブラドの返答によろしいと言ってサクラは<
「酷い目に遭ったのだ。それで、騎士の奥方は両手を広げて何をしておるのだ?」
「ブラドがかわいそうだから抱き締めてあげようと思って」
「お断りである! 吾輩は主君に慰めてもらうのだ!」
「そんなぁ~」
理不尽な目に遭った直後に更に酷い目に遭いたくないと言い切り、ブラドは藍大の腕に収まった。
「助けてくれて感謝するぞ、主君」
「おう。でもまあ、なんだ。配置するモンスターには気をつけような。今度は俺がダブルチェックしてやるから」
「だが、それではネタバレになって面白くなかろう?」
「サクラに今日以上に絞められるぞ?」
「・・・お願いするのだ」
「わかった」
シャングリラダンジョンがアトラクションと化している今、ブラドは藍大達に初見のモンスターと戦う楽しみを味わってもらえるようにしている。
しかも、そのモンスターが食材やら素材やらで希少かつ優秀なものに限定しているから選択肢も限られる。
その状況でサクラ達が不満を抱かないようにするには、藍大の意見があることに越したことはない。
藍大へのネタバレになってしまうのは心苦しいが、ブラドも自分の身が大事なので藍大の言葉に甘えることにした。
ブラドと反省会を済ませた後、藍大はユノにラードーンの魔石を見せた。
「ユノ、お土産だぞ」
「キュイ? キュキュッ」
お土産って何かと首を傾げたが、ラードーンの魔石を見た瞬間にユノは翼をパタパタと羽ばたかせて藍大に近寄った。
「食べて良いぞ。優月のために力を付けないとな」
「キュイ!」
ペコリと頭を下げて感謝の気持ちを示し、ユノは藍大からラードーンの魔石を貰った。
ユノは魔石を飲み込んだ鱗の輝きが増した。
ユノがどんなアビリティを会得したのか確かめるため、藍大はモンスター図鑑でを調べた。
自分の従魔ならば伊邪那美の声が教えてくれるが、優月の従魔であるユノがレベルアップしたり新たなスキルや称号を得たことは通知されない。
それゆえ、知りたければ自分で調べなければならない訳だ。
(へぇ、<
ユノがラードーンの魔石を食べて会得したのは<
「優月が傷ついた時に治す力を手に入れたんだな」
「キュイ」
「その調子だ。優月を頼む」
「キュイ!」
勿論だと言わんばかりにユノは頷いた。
「ゆの!」
「キュ~」
「ういやつめ」
「キュイ♪」
優月に呼ばれてユノは飛んで戻ってそのまま抱き着く。
「やっぱり女はどんなに幼くても女だね」
「サクラさんや、幼い優月とユノにはまだ早いと思うのだがいかがかな?」
「主、これは人間もモンスターに共通する三大欲求なの」
「三大欲求って大事だよね~。食べることが入ってるし」
「うん、そうだね」
サクラは性欲で舞は称号上暴食を司っているから、ここで言っても仕方ないかと諦めて藍大は昼食の準備をした。
昼食はラードーンとアポピスの肉を使った豪華なものであり、探索組も留守番組も満足した。
午後は藍大と舞、リル、ブラド、優月、ユノでユノのレベルアップに向かった。
今日は日曜日ということもあり、
ユノが<
その際にユノの<
これによって威力が増したおかげでレベルアップの効率が上がった。
そんな時、通路の奥から叫び声が響いた。
「コォケコォッコォォォォォッ!」
「シャインコッコか。ユノにはちょっと荷が重いか?」
「キュ!」
藍大がユノにそう訊ねると、ユノはやらせてほしいと決意に満ちた目で訴えた。
「主君、通訳の必要はないな?」
「だな。ユノ、自由に戦っておいで」
「キュイ!」
藍大から許可を得てユノは飛べないシャインコッコの攻撃を受けないように高度を上げた。
「コケェ・・・」
シャインコッコは<
「キュキュッ」
ユノは<
これがただ刃を真っ直ぐ飛ばすだけなら避ければ良いだけの話だ。
しかし、<
「コケェェェ!」
走りつかれたシャインコッコにユノの操る刃が追い付いて首を刎ねた。
「キュイ~!」
ユノは勝ったぞと歓喜して優月にアピールする。
「よしよし」
「キュイ♪」
優月もユノがシャインコッコにノーダメージで勝ったことを喜び、帰って来たユノを藍大の真似をしながら撫でた。
シャインコッコを余裕で倒せるならば、フロアボスのエッグホッパーを倒せないはずがない。
<
エッグホッパーを倒したことにより、ユノはLv15に到達した。
「キュキュイ」
「ふむ。主君、ユノは進化できるようになったらしいぞ」
「Lv15だもんな。そんな予感はしてた。問題は優月がユノを進化させられるかだだが・・・」
「ゆの」
「キュイ」
優月とユノの目線が合って頷き合うと、ユノの体が光に包まれた。
「嘘だろ? 進化させられんの?」
「藍大、やっぱり優月は天才だよ!」
いくら優月が早熟とはいえ、流石にまだユノを進化させられないのではないかと思っていたがその予想を裏切って優月はユノを進化させた。
優月を抱っこしている舞は目を輝かせて優月はすごいと喜んだ。
光の中でユノのシルエットが大きくなり、小型犬サイズから中型犬サイズへと成長した。
光が収まると白く美しい体表に緑色の目のデフォルメドラゴンが現れた。
ユノはベビードラゴンからレッサーホワイトドラゴンに進化したのだ。
ユノがシャインコッコとエッグホッパーの魔石を食べた後、藍大はユノのステータスを確認した。
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名前:ユノ 種族:レッサーホワイトドラゴン
性別:雌 Lv:15
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HP:170/170
MP:350/350
STR:170
VIT:170
DEX:170
AGI:170
INT:170
LUK:170
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称号:優月の従魔
希少種
乙女脳
アビリティ:<
装備:なし
備考:ご機嫌
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(リュカと同じ”乙女脳”が追加されてる)
全体的に能力値が上がったことや新たなアビリティを会得したことよりも、ユノがリュカと同じく”乙女脳”の称号を会得していることに藍大は注目した。
リュカはまだリルを落とせていないため、その称号が優月とユノを結び付けてくれるか心配になったからである。
ただし、ユノの場合は優月と常に一緒なのでレンタル従魔のリュカとは状況が違う。
(リュカの恋も応援してやらないとなぁ)
そろそろ実っても良いんじゃないかと藍大にも思われているあたり、リュカの恋路は遠く険しいようだ。
それはさておき、ユノが進化してキリが良いから今日のレベル上げは終わりにして藍大達はダンジョンを脱出した。
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