【Web版】大家さん、従魔士に覚醒したってよ(書籍タイトル:俺のアパートがダンジョンになったので、最強モンスターを従えて楽々攻略 大家さん、従魔士に覚醒したってよ)
第336話 あーあ、言っちゃった。素材残るかな?
第336話 あーあ、言っちゃった。素材残るかな?
火口らしき場所が見えて来た頃、リルがピクッと止まって地面を掘り始めた。
「リル、宝箱か?」
『うん!』
リルが楽しそうに地面を掘り進めた結果、地中に埋まっていた宝箱が見つかった。
<
ゴルゴンが<
サクラがこの場にいないから宝箱ごと持ち帰る必要がある。
その場合、収納リュックに土砂で汚れた宝箱をしまいたくないと思うのは自然なことではないだろうか。
とりあえず、宝箱を回収して中身は帰ってからのお楽しみということにして藍大達は先に進んだ。
火口に到着すると、その中に8つの頭と尻尾を持つ巨大な蛇がどっしりと待ち構えていた。
「何か来たか」
「誰ぞ来たか」
「不快な気配がする」
「あの女神の気配がする」
「ならば殺すべきであろうな」
「「「・・・「「然り」」・・・」」」
それぞれの頭に知性のあるような会話が行われている間、藍大も敵の正体をモンスター図鑑で確認していた。
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名前:なし 種族:ヤマタノオロチ
性別:雄 Lv:100
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HP:3,000/3,000
MP:5,000/5,000
STR:2,500
VIT:3,000
DEX:2,500
AGI:1,000
INT:3,000
LUK:3,000
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称号:ダンジョンマスター(富士山)
到達者
アビリティ:<
<
<
装備:なし
備考:殺意
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『おめでとうございます。モンスター図鑑のページが全体の50%埋まりました』
『報酬として逢魔藍大はモンスター図鑑で調べられる情報が増えました』
(閲覧できる情報が増えたのか。いや、そんなの後だ。自己修復する固定砲台とは厄介だな)
モンスター図鑑で調べられる情報が増えたけれど、この戦闘と直接関係ないので藍大は後回しにした。
何故なら、ヤマタノオロチは自分で戦うだけでなく”ダンジョンマスター”の力を使うこともできる敵だ。
流石の藍大もこんな厄介な敵を前にしてモンスター図鑑で新たに分かった情報を細かく確認してはいられまい。
ヤマタノオロチは早速全ての頭が攻撃を選択し、<
「舞とゼルで防御!」
「任せな!」
『ォヶd(。・∀・。)bォヶ』
舞が光のドームを二重で展開し、ゼルはその内側に<
舞が展開したドームの7つの<
それでもゼルの<
藍大達に攻防一体の手段があるとは思っていなかったらしく、油断していたヤマタノオロチに反撃の魔力弾が命中した。
「防御と反撃が同時に行われた?」
「どうやらただの
「油断禁物」
「地獄の苦しみを味わうが良い」
「これは防げまい」
「「「・・・「「然り」」・・・」」」
ヤマタノオロチは全ての頭から一斉に<
「通させぬわ!」
ブラドが<
「ゴルゴンとフィアで敵全体を攻撃! 隙ができたらメロがデバフ!」
「フィア、思いっきりやりなさいっ」
『ド~ン!』
今度はこちらの番だとフィアが<
ゴルゴンとフィアの合わせ技で全身が火傷するも、ヤマタノオロチは<
<
「ぐぅ、やるではないか」
「だがこの痛みが我等を強く・・・」
「言わせないですよ」
メロが<
「リル、凍らせてしまえ!」
『いっくよ~!』
動きの止まったヤマタノオロチに対し、リルの<
ところが、伊邪那美の声が戦闘の終わりを告げることはなかった。
どういう訳か体が半分凍えているヤマタノオロチの姿が建築物の瓦礫に囲まれた状態で現れ、まだヤマタノオロチのHPは尽きていなかった。
HPが尽きていなければ、<
『ご主人、あいつは僕の攻撃が当たる前に四角い壁を召喚してそれを盾にしたんだよ』
「DPを使った訳だ。クソッ、”ダンジョンマスター”らしい戦い方しやがる」
藍大が倒し切れなかった理由について理解したのと同時にヤマタノオロチの停止状態が解除されて再び喋り出す。
「我等に奥の手を使わせた手腕、褒めて遣わす」
「ほれ、
「褒美に我等が喰らって血肉にしてやろう」
「女神の臭いがするのは減点だが仕方あるまい」
「腹ごしらえが最優先事項だ」
「「「・・・「「然り」」・・・」」」
この時、ヤマタノオロチは食いしん坊ズの怒りを買ってしまった。
「誰が誰を喰らうって?」
『ご主人を食べる?』
「許すまじ」
元幼女トリオやフィアもムッとしていたのは間違いないのだが、食いしん坊ズ程ではなかった。
その一方、喰ってやると言われた藍大はヤマタノオロチに憐れみを抱いていた。
(あーあ、言っちゃった。素材残るかな?)
自分の身の心配なんてせず、倒した後にヤマタノオロチの素材が残るか心配できるぐらい余裕そうである。
「崩れろ」
最初に動いたのはブラドだった。
ブラドがヤマタノオロチの足場とする地面に<
次に動いたのはリルだ。
『次は防がせないよ!』
<
そこまでの段階で舞が雷光を纏わせたミョルニル=レプリカを振りかぶって飛び出しており、回復の暇なんて与えないとヤマタノオロチの体にそれを全力で殴りつけた。
「喰うのはお前等じゃねえ! 私等だぁぁぁぁぁっ!」
「ま、待て!」
「「「・・・「「ぎゃあぁぁぁぁぁっ!」」・・・」」」
「掌握完了」
舞のフルスイングを受けてヤマタノオロチの断末魔の叫びを上げ、それが鳴り止むのと入れ替わりでブラドが静かにダンジョンの制御を奪ったと宣言する。
『フィアがLv100になりました』
『フィアがアビリティ:<
『フィアが称号”到達者”を会得しました』
「みんなお疲れ!」
藍大は戦ったメンバー全員を労った。
倒したと思った敵がまだ力尽きていなかったため、今回の戦いで藍大達は賢い”ダンジョンマスター”との戦い方を学んだ。
特に藍大は”ダンジョンマスター”が敵の場合、どれぐらいのDPで何が想定できるのかもっと事前に知っておくべきだと痛感した。
『パパ、フィアは新しいお歌を覚えたの!』
「そうだな。状態異常を治せる歌なんてすごいぞ」
『エヘヘ♪』
パーティーメンバーを労いつつ内省していた自分に対し、フィアが自分の変化について知ってほしいとアピールするから藍大は微笑んでその頭を撫でた。
フィアは<
リル達他の聖獣とはまた違う方向の成長を遂げた訳である。
それはさておき、ヤマタノオロチの解体はブラドが<
その代わりに昼食でヤマタノオロチを使った料理を所望すると言い出したが、藍大にとってそれぐらいお安い御用だろう。
ゲンは藍大がヤマタノオロチの魔石を手にした時には既に<
「主さん・・・、魔石・・・」
「わかってるって」
「感謝」
ゲンはホッとした様子で藍大の手から魔石を与えられて飲み込んだ。
その結果、ゲンから感じられる力が強まった。
『ゲンのアビリティ:<
(また守りが堅くなったか)
ゲンは新たなアビリティを会得すると満足そうにして<
ゲンの強化が終わった後、藍大はヤマタノオロチを調べた時に増えたモンスター図鑑で調べられる情報について確かめた。
その結果、食材や素材となるモンスターのお薦め使用法が表示されることに気づいた。
藍大が料理を作る時に役立つこと間違いなしである。
これ以上やるべきことはもうないので、藍大達は富士山ダンジョンから脱出した。
ブラドがダンジョンを崩壊させてDPだけシャングリラに還元させた後、藍大達はシャングリラへと帰った。
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