【Web版】大家さん、従魔士に覚醒したってよ(書籍タイトル:俺のアパートがダンジョンになったので、最強モンスターを従えて楽々攻略 大家さん、従魔士に覚醒したってよ)
第335話 彼女募集中みたいにアピールすんな!
第335話 彼女募集中みたいにアピールすんな!
翌日の金曜日、藍大達は富士山ダンジョンの3階にやって来た。
同行するメンバーは舞とリル、ゲン、元幼女トリオ、フィアに加えてブラドがいる。
2階のフロアボスがLv80だったことから、3階もしくは4階が最上階と判断してブラドを連れて来たのだ。
3階は日の出の時間帯の富士山の山頂にそっくりな風景だった。
「綺麗な景色だね~」
「マスターとこういう所に来るのも悪くないわねっ」
「自然のパワーを感じるです」
『それな( ´-ω-)σ』
『パパ、私もここ好き~』
女性陣はこの階の風景が気に入ったらしい。
藍大もスマホで写真を撮るぐらいにはその風景を気に入っていたが、彼等の楽しみを邪魔するようにモンスターが押し寄せて来た。
『ご主人、顔が付いた車がいっぱい来た!』
「顔が付いた車? トー〇ス的な?」
リルが示す方向を見てみると、藍大は正面に般若の仮面のついた牛車が連合と呼ぶにふさわしい数で自分達に向かって走って来るのを目にした。
「どけどけぇぇぇぇぇ!」
「邪魔だ邪魔だぁぁぁぁぁ!」
「ブンブンブブブン!」
「夜露死苦ぅぅぅぅぅ!」
「ヒャッハァァァァァッ!」
「滅茶苦茶柄悪いな!?」
藍大がそうツッコむのも仕方のない暴走族振りなのは、オボログルマLv80だった。
「あ゛あん!? 誰にモノ言ってんだゴラァ! リル、背中貸せ!」
『わかった!』
(あ~あ。舞がレディース総長の時の感覚に戻ってらぁ)
舞は口の悪いオボログルマ達に感化されてしまったらしく、戦闘モードの中でも機嫌が悪い時のプレッシャー全開状態になっていた。
リルの背中に乗り、ミョルニル=レプリカに雷光を纏わせてすれ違いざまに1体ずつ倒していく。
「脆い! 脆過ぎる! もっと硬くなってから出直して来いや!」
『パパ、舞ママ怖いよ・・・』
「よしよし。大丈夫だ。もうちょっとしたらいつもの舞に戻るから」
オボログルマを一撃で粉砕して回る舞の姿を見て、フィアは藍大の肩の上でプルプルと震えた。
そんなフィアの頭を撫でつつ、藍大は戦闘が終わるのを待った。
『フィアがLv98になりました』
伊邪那美の声がフィアのレベルアップを告げ、舞は最後の1体を倒して藍大達の前に戻って来た時には既にいつも通りの雰囲気に戻っていた。
「倒して来たよ。リル君もありがとね~」
『どういたしまして』
「舞もリルもお疲れ様」
藍大が舞とリルを労った後、ブラドが藍大に話しかけた。
「主君よ、吾輩の不安を聞いてくれるか?」
「どうした?」
「これだけ暴れん坊な騎士の奥方から生まれた優月もこうなってしまわないだろうか?」
「・・・ストッパーになりそうな面倒見の良い従魔を探してあげような」
「うむ。吾輩、そのためなら協力を惜しまぬぞ」
藍大はブラドの不安をすぐに払拭できなかったため、早い内に優月にお目付け役のドラゴンをテイムさせようと決めた。
ブラドもそのためならばDPがいくらかかっても構わないと本気の姿勢を見せた。
「藍大もブラドも酷いよ~。私だってそりゃちょっとは暴れ過ぎたかなって思うけどさ~」
「ちょっとの定義がわからないなんてお馬鹿さんなのよっ」
「酷いことを言うのはゴルゴンちゃんだな~」
「し、しまったのよっ・・・」
余計なことを言ったゴルゴンは舞に即座に抱き着かれてしまった。
ゴルゴンが大きくなったとしても、舞にとっては可愛いゴルゴンなので抱き着きたい対象のままなのだ。
「ゴルゴンは全く懲りてないですね」
『ヤレヤレ ┐(´ー`)┌ マイッタネ』
「ギリギリアウトのラインを学習すべきである」
メロとゼル、ブラドは抱き着かれたゴルゴンを見てやれやれと首を振った。
舞がゴルゴンに抱き着いている間、藍大達はオボログルマだった破片と魔石を回収して回った。
それから再度オボログルマの集団と戦い、ガシャドクロLv80とも何度か戦った後、藍大達は刀が一振り鞘に入ったまま地面に突き刺さっているのを見つけた。
藍大達はアイテムが剥き出しで置いてあると喜んで駆け寄ることなく、まずモンスター図鑑で鑑定することから始めた。
迂闊に近寄って痛い目に遭いたくないと思うのは当然だろう。
その慎重な選択は正解であり、藍大の目には以下のようにステータスが映し出された。
-----------------------------------------
名前:なし 種族:ムラマサ
性別:なし Lv:90
-----------------------------------------
HP:1,800/1,800
MP:1,800/1,800
STR:2,000
VIT:2,000
DEX:1,800
AGI:0
INT:0
LUK:1,500
-----------------------------------------
称号:”掃除屋”
アビリティ:<
<
<
装備:なし
備考:主募集中!
-----------------------------------------
(彼女募集中みたいにアピールすんな!)
藍大は以前、多摩センターダンジョンの4階でフロアボスのデモニックブレードと戦った。
デモニックブレードが空を飛んで自ら攻撃したが、ムラマサは<
そして、乗っ取った者に自分を武器として使わせて戦うのだ。
今は亡きC国DMU元本部長の
ムラマサの戦法が備考欄のアピールに透けて見えたので、藍大がツッコミを入れた訳である。
「近づく必要はないな。リル、<
『使って良いの?』
「勿論だ。危険なモンスターは確実に倒すに越したことはない」
『わかった。それっ!』
リルは藍大の許可を貰って堂々と<
地面に刺さったまま動けないムラマサは<
しかし、VITを無視して攻撃対象を真っ二つにする<
『フィアがLv99になりました』
ムラマサが力尽きて伊邪那美の声が聞こえると、リルがやり切った表情で藍大に駆け寄る。
『ご主人、お仕事完了したよ』
「よしよし。愛い奴め」
「クゥ~ン♪」
藍大はリルを労ってからムラマサの破片と魔石を回収した。
(ムラマサを刀として生まれ変わらせたら面白いかも。それをドライザーに持たせてみようか)
DMUの職人班ならば、ムラマサの原形がわかる状態で破片が残っているから新たな刀として作り変えてくれるかもと藍大は思いついた。
それはそれとして、ムラマサの魔石をリルに与えた。
リルがそれを飲み込むと、リルの毛並みがより一層綺麗になった。
『リルのアビリティ:<
(久し振りに<
リルが喋れるようになったきっかけである<
それゆえ、藍大は<
しかも、<
これは藍大達にとって嬉しい知らせであることは間違いない。
「リル、すごいじゃん! 鑑定もできるようになったのか!」
『ワフン♪ 僕がいればモンスター以外も鑑定できるよ!』
「リル君すごい!」
『ありがと~』
「ま、不味いのよ。リルとどんどん差を付けられてるのよ・・・」
「これは由々しき事態です。帰ったらサクラにも相談するです」
『アワ((゚゚дд゚゚ ))ワワ!!』
「むぅ。出される料理にも差を付けられたら困るのだ・・・」
『パパ、そんなことしないよね?』
舞はリルがパワーアップしたことを純粋に喜んでいたが、ゲンを除くそれ以外のメンバーは自分達が差を付けられたと慌てていた。
ブラドの発言にフィアは藍大がそんな依怙贔屓なんてしないよねと訊ねるぐらいである。
「みんな落ち着いてくれ。確かにリルは更に頼れるようになったけど、だからといってみんなを蔑ろにするはずないだろ? ご飯だってみんな同じだ」
「そうよねっ。信じてたわっ」
「流石はマスターです!」
『(*˘︶˘*).:*♡』
「主君、安心したぞ」
『良かったぁ』
藍大がすぐに誤解を解いたことで、どうにかゴルゴン達は落ち着きを取り戻した。
不安にさせてしまったことのお詫びとして、藍大は従魔サービスタイムにしてからダンジョン探索を再開した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます