【Web版】大家さん、従魔士に覚醒したってよ(書籍タイトル:俺のアパートがダンジョンになったので、最強モンスターを従えて楽々攻略 大家さん、従魔士に覚醒したってよ)
第300話 これが妖怪魔石置いてけなのか。容赦ねえな
第300話 これが妖怪魔石置いてけなのか。容赦ねえな
翌日の木曜日、藍大達は昨日のメンバーにブラドを加えて多摩センターダンジョンにやって来た。
ブラドを連れて来たのは多摩センターダンジョンが4階か5階で最上階になると考えてのことだ。
3階にいたゲリュオンがLv70だったことから、今までの傾向から考えて4階のフロアボスはLv80である可能性が高い。
道場ダンジョンは”ダンジョンマスター”がLv80であり、多摩センターダンジョンの次のフロアボスとレベルで並ぶだろう。
そうなれば、4階か5階で最上階の可能性があるので”ダンジョンマスター”のブラドを連れて来た訳だ。
ダンジョンを潰すにしろ”ダンジョンマスター”をテイムするにしろ、ブラドがいてくれた方が多摩センターダンジョンの今後についてその場で決められて手間が省ける。
という訳で早速多摩センターダンジョン4階にやって来たが、そこに待ち受けていたのは壁際まで横一列でぴったりと並んで待機する溶岩でできたゴーレム達だった。
「マグマゴーレムLv70。直接触れるのは止めた方が良さそうだ。それとVITも高い」
「ミーのターンなのニャ!」
ミオは嬉しそうにそう言うと、<
「ニャハハッ! ミーの前に平伏すのニャ!」
<
ところが、マグマゴーレムの体を構成するマグマがその穴を塞いでいく。
「ニャンとぉ!?」
「威力不足なのよっ」
「きっちり倒すです!」
ゴルゴンは<
『ミオがLv83になりました』
「ごめんなさいニャ。フォローしてくれて助かったのニャ」
「別に構わないわっ。そんなことより魔石なのよっ」
「そうです! いっぱい食べるです!」
ミオが申し訳なさそうに言うが、ゴルゴンもメロも責めることなく落ちている魔石の回収に移った。
ノーマークだったゼルに先を越された2人としては、ミオのミスのリカバリーよりも自分達の背を伸ばす方が優先なのだ。
ゴルゴンは藍大が止める間もなく人の姿のまま魔石にパクついている。
人型のまま脱皮したらホラーだと思っていたが、藍大の予想は外れてゴルゴンは脱皮することなく魔石を食べていた。
藍大達がマグマゴーレムの死体を回収している間に、ゴルゴンとメロは全ての魔石を食べ終えたものの背が伸びたのかわからなかった。
伸びていたとしても誤差と呼べるぐらいだろう。
「マスター、早く次に行くのよっ」
「早く大人になりたいです!」
「わかったわかった。そう急かすんじゃないよ」
2人が藍大の手を引いて前へと進んで行き、その後を舞達が付いていく。
次に藍大達が通路で遭遇したマグマゴーレムは数が倍になっていた。
横二列にびっしりとマグマゴーレムが並んでいるのだ。
今度はゼルが範囲攻撃を仕掛ける。
『╰( ^o^)╮-=ニ=一=三』
ゼルの<
しかし、凍ったそばからその氷が融け始めた。
「よくやったゼル! 凍っちまえば壊せるぜぇぇぇ!」
舞も戦いたくてうずうずしていたらしく、マグマゴーレムが氷を融かし切る前に光を纏わせたミョルニル=レプリカで粉砕していく。
『ブラドがLv95になりました』
『ゼルがLv97になりました』
(ラッキー! マグマゴーレムの経験値ウマウマじゃん!)
ゴルゴンとメロはすぐに魔石を食べるために回収し、藍大達は残った死体を回収した。
すると、今度は魔石を食べ終わったゴルゴンとメロが僅かだが自分の背が伸びたことに気づいた。
「やったわメロ! 大きくなってるわっ」
「ゴルゴン、私達は成長してるですよ!」
ゴルゴンとメロは嬉しくなってキャッキャと飛び跳ねる。
その様子は休日の女子学生がテーマパークではしゃいでいるのと変わらなかった。
通路を抜けるまでに倒したマグマゴーレムの数は50体以上になり、ブラドがLv96、ゼルがLv98、ミオがLv86までレベルアップした。
ゴルゴンの背は高校生と呼んでもおかしくない程になり、メロは胸のサイズのおかげで大学生に見える程度まで伸びた。
「順調だわっ。もっと早くからたくさん魔石を食べれば良かったのよっ」
「失敗したです。貴重な機会をロスしたことが悔やまれるです」
「まあまあ。順調に大きくなれてるんだから良いじゃないか」
「まだまだ足りないわっ。もっと食べるのよっ」
「そうです! まだまだ食べ足りないです!」
(よっぽどゼルに身長を抜かされたのが悔しかったんだろうなぁ)
藍大は背を伸ばすことに貪欲になった2人を見てそんな風に思っていた。
それはさておき、通路を抜けた広間には立派なローブを着て杖を持った骸骨がいた。
「よく・・・」
「ドーンなのよっ」
その骸骨が喋り始めた瞬間、魔石を欲しがるゴルゴンが<
骸骨の体は軽く、あっさりと後ろに吹き飛んだが立ち上がろうとしていることからHPは辛うじて残っているらしい。
ローブが焼け落ちてなくなっているが、そのローブが骸骨の受けたダメージを軽減してくれたようだ。
「魔石を寄越せです!」
続いてメロが<
『ブラドがLv97になりました』
『ゼルがLv99になりました』
『ミオがLv87になりました』
(これが妖怪魔石置いてけなのか。容赦ねえな)
藍大は口上を途中で邪魔されて二撃で倒されたリッチに同情した。
”歩く魔導書”までは持ち合わせていないものの、四属性の魔法系アビリティを有していたのに何一つ使えずに倒されたリッチが哀れでならないからだ。
「マスター、あの魔石はアタシが貰っても良いのよね?」
「勿論だ」
「いただくわっ」
元の姿に戻らなくても良いとわかっているから、ゴルゴンはリッチの死体から回収した魔石をパクッと食べた。
その結果、ゴルゴンの身長がモデル体型の成人女性と呼べるぐらいまで一気に伸びた。
『ゴルゴンのアビリティ:<
「ぐーんと伸びたのよっ。”掃除屋”は
「よしよし。良かったな」
「マスター、感謝するわっ」
大きくなれた喜びからゴルゴンは藍大に抱き着いた。
幼女だった頃は腰の位置に頭が届くぐらいだったが、今はゴルゴンの頭が藍大の顎まで届いている。
「ぐぬぬです。あともう少しです。次は私が大きくなってやるです」
「メロちゃん、慌てちゃ駄目だよ。きっと大きくなれるから」
「ありがとです」
メロが悔しそうにしていると、舞がメロの頭を優しく撫でて励ます。
メロはどうにか気持ちを切り替えて舞に礼を述べた。
その後、広間のすぐ奥にボス部屋があったので藍大達はそのまま中に入った。
ボス部屋の中には悪魔の翼を模した剣が一振り床に突き刺さっているだけだった。
剣の柄にはぎろりと大きな目があり、藍大達がボス部屋に侵入したことを確認すると宙に浮かび上がった。
藍大はすぐにモンスター図鑑で敵の正体を確かめた。
-----------------------------------------
名前:なし 種族:デモニックブレード
性別:なし Lv:80
-----------------------------------------
HP:1,200/1,200
MP:1,490/1,500
STR:1,700
VIT:1,300
DEX:1,500
AGI:1,700
INT:0
LUK:700
-----------------------------------------
称号:4階フロアボス
アビリティ:<
<
<
装備:なし
備考:なし
-----------------------------------------
(剣が剣を召喚するってマジ?)
藍大がそう思った瞬間、デモニックブレードは<
更に<
「リル、まとめて吹っ飛ばせ!」
『わかった!』
藍大の指示を受けたリルが<
<
リルのINTはデモニックブレードのVITの倍以上あり、デモニックブレードはあっさりと返り討ちになったのだ。
『ブラドがLv98になりました』
『ゼルがLv100になりました』
『ゼルが称号”到達者”を会得しました』
『ゼルのアビリティ:<
『ミオがLv88になりました』
(”掃除屋”もそうだけどLv80でこれは弱いな。いや、俺達がこのダンジョンにとって強過ぎたのか?)
4階の”掃除屋”もフロアボスもあっさりと倒されたものだから、藍大はそんなことを思いながらリルを労うのだった。
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