【Web版】大家さん、従魔士に覚醒したってよ(書籍タイトル:俺のアパートがダンジョンになったので、最強モンスターを従えて楽々攻略 大家さん、従魔士に覚醒したってよ)
第285話 アタシ、これ知ってるっ。泥棒猫って奴なのよっ
第285話 アタシ、これ知ってるっ。泥棒猫って奴なのよっ
午後、藍大はサクラとリル、ゲン、幼女トリオを連れてシャングリラダンジョンの探索にやって来た。
午前は招いてない老害がやって来て自滅するという事態が起こり、探索する時間を午後に振り替えたからである。
今日は水曜日であり、1階から地下4階までは水に関するモンスターばかり現れる日だ。
”水聖獣”になりそうなモンスターに目星を付け、藍大達は地下2階にそれが現れるまでモンスターを狩りまくった。
『ご主人、現れたよ』
リルがそう言って示す方向を見ると、藍大はミストキャットLv35を視界に捉えた。
以前はテイムを見送って倒したが、モンスター図鑑によればミストキャットは最終進化すれば”水聖獣”になりそうなモンスターなので今回はテイムする。
「マスター、動きを止めたですよ」
「ありがとう、メロ」
メロが<
『ミストキャットのテイムに成功しました』
『ミストキャットに名前をつけて下さい』
藍大は名付けに迷うことなく予め決めていた名前を口にした。
「ミオと名付ける」
『ミストキャットの名前をミオとして登録します』
『ミオは名付けられたことで強化されました』
『ミオのステータスはモンスター図鑑の従魔ページに記載され、変化がある度に更新されていつでもその情報を閲覧できます』
『詳細はミオのページで確認して下さい』
ミオと名付けたのは今現れたミストキャットが雌だったからだ。
雄だったならリョウにするつもりだった。
『ご主人、ミオをテイムしても今までと同じように甘えさせてね!』
「わかってるって。俺がリルを蔑ろにしたことはないだろ?」
「クゥ~ン♪」
リルはミストキャットをテイムすると聞かされた時、ペット枠が増えると思ってしょんぼりした。
しかし、”水聖獣”ゲットは主人である藍大のためになるとわかっているのでグッと堪えた。
そんな嫉妬するリルも可愛いので藍大にその後モフられたのは言うまでもない。
今もリルは藍大に念押ししてモフられて嬉しそうにしている。
「【
「ニャッ!」
ミオは元気良く登場した。
そして、本能的にサクラ達の強さを察知して自分が一番下なのだと理解した。
力の差が開いていなければ、ミオは自分の可愛さをもって藍大を篭絡してやろうなんて思っていたが、そんなことをすれば村八分にされると瞬時に悟って馬鹿な考えは捨てた。
「よし、このまま地下9階に行くぞ。ミオのパワーレベリングだ」
「ニャッ!?」
正気ですかご主人様と言わんばかりにミオが鳴くが、ミオ以外は問題ないと判断して頷いているのでそのまま地下9階に移動した。
地下9階でトリニティワイバーンを目にした時、ミオは媚びるとかそういう下心なんて一切持たずに藍大に擦り寄った。
ミオの心を占めたのは100%の恐怖である。
自分はこの場にいるのが場違いだと瞬時に理解し、今最も安全であろう藍大の傍でブルブルと震えた。
「「「・・・「「ウィアァァァァァ!」」」・・・」」
トリニティワイバーンの群れが炎と氷と雷のブレスを藍大達に向かって放つ。
「ゼル、守ってくれ」
『('◇')ゞ』
ゼルが<
『ご主人、まだ生きてるから冷凍保存するね』
「頼んだ」
リルが<
トリニティワイバーンの唐揚げは美味しいから、リルが無闇に食材を痛めつけるような真似をするはずない。
自分よりもはるかに強いモンスターが殲滅され、驚きの余りミオはポカンとした。
『ゼルがLv91になりました』
『ミオがLv36になりました』
『ミオがLv37になりました』
『ミオがLv38になりました』
・
・
・
『ミオがLv50になりました』
『ミオが進化条件を満たしました』
『ミオのアビリティ:<
『ミオがアビリティ:<
(もう進化できるようになったか。流石はパワーレベリング)
藍大は一戦だけでミオが進化できるとわかって苦笑した。
地下2階の”掃除屋”だったとはいえ、元々はLv35のモンスターだ。
Lv85のトリニティワイバーンの群れを倒せば、進化まであっという間だった。
「リルもゼルも良くやった」
『ワフン♪』
『(*ノω・*)テヘ』
リルとゼルは藍大に褒められて嬉しそうにした。
トリニティワイバーンの回収を済ませると、藍大はミオの方を向いた。
「ミオ、力が欲しいか?」
「ニャン!」
「よろしい。ならば進化させてやろう」
是非と言わんばかりに頷くミオに対し、藍大は視界に映したモンスター図鑑にある進化可能の文字に触れた。
その瞬間にミオの体が光に包まれ、光の中でミオのシルエットに変化が生じた。
元々は大型犬サイズの二尾の猫だったが、光の中でミオの体が小さくなって小型犬サイズになった。
それでも退化したような印象はなく、むしろ存在感は増している。
光が収まると、額に白い雫のマークがある水色の体表の猫又となったミオが現れた。
『ミオがミストキャットからフェアリーキャットに進化しました』
『ミオのアビリティ:<
『ミオのデータが更新されました』
藍大は早速進化したミオのステータスを確かめた。
-----------------------------------------
名前:ミオ 種族:フェアリーキャット
性別:雌 Lv:50
-----------------------------------------
HP:800/800
MP:1,000/1,000
STR:500
VIT:600
DEX:1,000
AGI:1,000
INT:1,000
LUK:700
-----------------------------------------
称号:藍大の従魔
アビリティ:<
<
装備:なし
備考:歓喜
-----------------------------------------
(急激に強くなってめっちゃ喜んでるじゃん)
進化してパワーアップしたミオを評価するならば、それは移動砲台となるだろう。
STRやVITの数値が心許ないが、DEXとINTが高いから狙撃に向いている。
AGIが高めなのでこのまま育てば逃げ足は速いだろうし、MPも高めだからMP切れで戦えなくなる心配もない。
「ニャア♪」
「よしよし。愛い奴め」
ミオが自分に擦り寄って撫でてほしいと甘えるので、藍大はしゃがんでミオの頭を撫でてやる。
「アタシ、これ知ってるっ。泥棒猫って奴なのよっ」
ミオが可愛がられて最初にジェラったのはリルではなく、”嫉妬の女王”を持つゴルゴンだった。
ペット枠を乗っ取られないか心配するリルよりもゴルゴンが先に反応したのは理由がある。
それはゴルゴンが先日見た昼ドラのせいだ。
昼ドラ特有のドロドロした関係の描写の中で、出演する女優が「この泥棒猫!」と言ったことがゴルゴンの印象に残っていたのである。
「ニャニャ!」
ここで泥棒猫プレイなんてすれば村八分待ったなしだとわかっているので、ミオは濡れ衣だと首をブンブンと横に振った。
「ゴルゴン、落ち着くですよ。なんでもかんでもドラマと現実をごっちゃにしちゃ駄目です」
(今日も今日とてメロがストッパーになってくれて助かる)
藍大はゴルゴンを落ち着かせてくれたメロの頭を無言で撫でた。
「あっ、狡い」
『僕達も』
サクラとリルがその後ろに並び、気づけば藍大が全員の頭を撫でることになったのは仕方のないことである。
家族サービスの時間が終わると、藍大達は探索を再開した。
急激に強くなって少しだけ気が大きくなったミオだったが、時間差でトリニティワイバーンが現れると藍大の肩の上に飛び乗って体を丸めて震えた。
(進化したとはいえまだLv50だもんなぁ)
レベルの差が30以上離れている相手を前にビビらない小動物はいない。
ミオは戦えるぐらいレベルアップするまで見学とし、藍大達は視界に捉えたトリニティワイバーンの群れと戦闘を始めた。
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