【Web版】大家さん、従魔士に覚醒したってよ(書籍タイトル:俺のアパートがダンジョンになったので、最強モンスターを従えて楽々攻略 大家さん、従魔士に覚醒したってよ)
第262話 シャングリラがまた楽園に近づいたか
第262話 シャングリラがまた楽園に近づいたか
藍大はゾンビコルセアから魔石を取り出し、ドライザーにそれを与えることにした。
「ドライザー、受け取れ」
『かたじけない』
ドライザーが魔石を吸収した直後、ドライザーの目が赤色から琥珀色へと変わった。
『ドライザーのアビリティ:<
『ドライザーが称号”
『おめでとうございます。聖獣を冠する称号の従魔が2体になりました』
『相乗効果により逢魔藍大の拠点シャングリラが風と土に関する災害から守られます』
(シャングリラがまた楽園に近づいたか)
藍大はシステムメッセージが告げた内容に顔を引き攣らせた。
ドライザーが”土聖獣”を会得したのは想定内だ。
今回の強化か次回の強化でなると思っていたのでラッキーだと思う程度である。
しかしながら、聖獣を冠する称号の従魔が2体になることで相乗効果があるのは予想外だった。
もっとも、良い意味で予想を裏切られたのだから問題はないのだが。
シャングリラダンジョンという宝の山があり、限定的とはいえ災害の影響を受けないのはシャングリラが楽園へと近づいていると考えて間違いない。
「よしよし。リルもドライザーも頼りになるな」
「クゥ~ン♪」
『お褒めいただき感謝する』
よくわからないけどリルもドライザーも褒めてもらえて嬉しそうにした。
「主、どういうことなの?」
「ドライザーが”土聖獣”を会得したことで、”風聖獣”のリルとの相乗効果が発揮されてシャングリラが竜巻や突風、地震みたいに風や土に関する災害から守られるんだってさ」
「それはすごい!」
「家庭菜園が安全になるのは良いことです!」
「主君の采配のおかげでまた住環境が良くなったのだな」
(”火聖獣”と”水聖獣”もテイムできたらどうなるんだ?)
サクラ達大罪組が感心している中、藍大は聖獣を冠する称号のモンスターをコンプリートした時の恩恵に興味を示した。
風と土に関する災害を防げるだけでも十分ありがたいが、火と水に関する災害も防げるに越したことはない。
藍大は”火聖獣”と”水聖獣”候補のモンスターがいればテイムしようと心に決めた。
地下2階でやるべきことは済んだので、藍大達は地下3階へと移動した。
地下3階はこれまでと違って一本道だった。
「マスター、向こうにボス部屋の扉があるですよ」
「モンスターがいないってのは珍しいな」
『ちょっと待って。天井にあるミラーボールが怪しい』
「どれってあれか・・・」
メロが言ったように藍大にもボス部屋の扉は見えたが、リルが先に進み出そうとする藍大達に待ったをかけた。
藍大は天井に等間隔に設置されたミラーボールが罠なのかモンスターなのか判断するべく、視界にモンスター図鑑を表示してどちらか探った。
その結果、ミラーボールはミラーマトンというモンスターが擬態した姿だと判明した。
「あれはモンスターだ。リル、よく見抜いてくれたな」
『ワフン』
「愛い奴め」
ドヤるリルを撫でてから気持ちを切り替え、藍大達は戦闘準備に入る。
藍大達に擬態を見破られたとわかった途端、ミラーマトンは擬態を解除して天井から地面に飛び降りた。
ミラーマトンの本来の姿は鏡を表面に張り付けた防具で固めたマネキンだった。
「気をつけろ。ミラーマトンは魔法系アビリティを反射するぞ」
『ボス、任せてくれ』
「吾輩も行こう。リルばかり活躍するのは悔しいのでな」
「ドライザー、ブラド、行ってこい!」
『イェス、ボス!』
「うむ」
ドライザーとブラドは勢いよく飛び出した。
藍大のパーティーは魔法系アビリティを使う従魔が多い。
それゆえ、舞がいれば接近戦での物理攻撃をカバーしていたが今は産休中だ。
そうなるとリルとドライザー、ブラドの出番になるが、リルは地下2階で活躍したのでお休みである。
ドライザーは装備しているドラゴバヨネットで敵を次々に薙ぎ払い、ブラドも<
ミラーマトンが全滅するまでに時間はほとんどかからなかった。
ミラーマトン達が力尽きた突端、藍大達の目には一本道の真の姿が映し出された。
「おいおい、落とし穴だらけじゃん」
ミラーマトン達が着地した場所には足場があったが、その場所以外は全て落とし穴で道なんてなかったのだ。
「リル、背中に乗せてくれ」
『良いよ!』
落とし穴を超えて先に進むため、藍大はリルの背中に乗った。
サクラがメロを抱いてリルと直列の位置で飛び、ドライザーとブラドが左右を固めて万全の陣形で先へと進んだ。
ミラーマトンの死体を回収しながら進み、藍大達はボス部屋の前の足場に近づいたところでバブリーな恰好のゴーストを見つけた。
(バブリーゴーストLv70。”掃除屋”なのに出オチ感が否めない)
「邪魔です!」
メロが<
『ドライザーがLv87になりました』
『ブラドがLv88になりました』
哀れなバブリーゴーストは出オチすらまともにできないままメロの強烈な一撃で力尽きた。
魔石だけがボス部屋の前に残り、藍大は”掃除屋”もっと仕事しろよと言いたくなる気持ちを抑えてそれを回収した。
「ブラドに魔石をあげよう」
「貰えるのならばありがたく貰おう」
ブラドは藍大から魔石を貰って呑み込んだ。
『ブラドのアビリティ:<
ブラドのパワーアップが済んだところで、藍大達はボス部屋の中に足を踏み入れた。
ボス部屋で待ち受けていたのは宙に浮く悪魔を象った石像だった。
その石像は藍大達が部屋に入って来た瞬間、隕石を扉付近に墜落させた。
「無駄」
サクラが深淵の弾丸をを乱射して隕石を砕き、射線を下げることで弾丸が数発敵の体に命中した。
藍大はすぐにモンスター図鑑で目の前の敵に付いて調べ始めた。
-----------------------------------------
名前:なし 種族:ガーゴイル
性別:なし Lv:80
-----------------------------------------
HP:200/1,400
MP:1,000/1,500
STR:0
VIT:1,500
DEX:1,500
AGI:900
INT:1,600
LUK:1,000
-----------------------------------------
称号:ダンジョンマスター(渋谷)
アビリティ:<
<
<
<
装備:なし
備考:絶望
-----------------------------------------
(こいつ”ダンジョンマスター”かよ。サクラの反撃を喰らって絶望してんじゃん)
ガーゴイルは哀れだった。
こんにちは、死ね作戦が簡単に打ち破られたどころか、一度の攻撃で窮地に追いやられているのだから。
「サクラ、とどめを刺してあげろ」
「うん」
藍大に敵をいたぶる趣味はないため、サクラにすぐにとどめを刺すように指示を出した。
「辞世の句は読める?」
「あ、あ・・・」
「読めなさそうね」
サクラは絶望して呻くことしかできないガーゴイルを見た直後、深淵の刃でガーゴイルをバラバラに斬り捨てた。
冷酷と言うなかれ。
これが弱肉強食の世界なのだ。
『メロがLv100になりました』
『メロが称号”到達者”を会得しました』
『メロの称号”守護者”と称号”到達者”が称号”英雄”に統合されました』
『メロがアビリティ:<
『おめでとうございます。5体の従魔がLv100になりました』
『初回特典として逢魔藍大の収納リュックにプレゼントが配られました』
「掌握完了」
システムメッセージに続いてブラドも渋谷ダンジョンを掌握したと藍大に報告した。
「マスター、やったです! 私もLv100ですよ!」
「よしよし。よく頑張ったな」
「エヘヘです~♪」
メロは藍大に抱き着いて喜びを表現すると、藍大はその頭を撫でて甘やかした。
メロの気が済むまで甘やかした後、藍大達はガーゴイルの回収を済ませた。
魔石は留守番を引き受けてくれたゼルの番なので、ここでは使わずに持ち帰ることになった。
そして、収納リュックに配られたプレゼントを確認してみたらミスリルミンサーだった。
「ハンバーグを作れという啓示なのか」
「『ハンバーグ! ハンバーグ!』」
藍大の呟きにリルとブラドがハンバーグコールを始める。
とりあえず、渋谷ダンジョンでやり残したことがないことを確認してから藍大達はダンジョンを脱出した。
ブラドがダンジョンを崩壊させてDPだけシャングリラに還元させた後、藍大達はハンバーグを楽しみにシャングリラへと帰った。
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