【Web版】大家さん、従魔士に覚醒したってよ(書籍タイトル:俺のアパートがダンジョンになったので、最強モンスターを従えて楽々攻略 大家さん、従魔士に覚醒したってよ)
第260話 ご主人はいっぱい食べる僕が好きって言ってくれたよ?
第260話 ご主人はいっぱい食べる僕が好きって言ってくれたよ?
ジャック・オ・ランタンを倒した後、ドライザーが死体から取り出した魔石を欲しがった。
『ボス、その魔石を所望する』
「これが欲しいのか? ストーンナイトの魔石もいるか?」
『ジャック・オ・ランタンの魔石だけ所望する』
「わかった」
ドライザーがはっきりと欲しい魔石を告げたから、藍大はジャック・オ・ランタンの魔石をドライザーに与えた。
『ドライザーのアビリティ:<
『ドライザーがアビリティ:<
(ん? 待てよ?)
藍大にはドライザーのスキルに土属性のアビリティが追加されたことで気になることがあった。
それは”
思い返してみれば、リルが”風聖獣”の称号を会得する条件は4つあった。
1つ目は能力値平均が2,000以上であること。
2つ目は言葉を話せること。
3つ目は強力な風属性のアビリティを2つ以上会得すること。
4つ目は聖なる力を帯びたアビリティを1つ以上会得すること。
もしも”
ドライザーは能力値がとっくに平均2,000オーバーで言葉も喋れる。
<
<
それはそれとして、藍大はひとまずドライザーが新たに会得した<
(耐久力マシマシアビリティじゃねえか)
<
それだけでなく、アビリティ発動者のVIT以上のSTRとINTを持つ者の攻撃も受けるダメージの半分を吸収してMPに変換する。
ドライザーは魔石を吸収して経験値を会得できなくなった代わりに耐久力が大幅にアップした訳だ。
「ドライザー、すごいアビリティを手に入れたな」
『ボス、タフな竜人型軌道甲冑はお嫌いか?』
「お好きでござる」
「ドライザー、恐ろしい子・・・」
『モフモフにはない強さだよ・・・』
藍大のツボを理解して成長するドライザーにサクラとリルは戦慄した。
「ドライザーが強くなったってサクラとリルを蔑ろにするはずないだろ」
「主!」
『ご主人!』
藍大に行って欲しかった言葉を掛けられてサクラは抱き着き、リルは頬擦りした。
『主さん・・・俺は・・・?』
「マスター、私だっているですよ!?」
「主君よ、吾輩もいるのだが」
「勿論みんな蔑ろにする訳ないじゃん」
『良かった・・・』
「流石マスターです!」
「であるか」
ゲンとメロ、ブラドも藍大のその言葉を聞いてホッとした。
その後、藍大達は地下1階でやることはなくなったから地下2階へと進んだ。
地下2階も上の階と変わらず内装はパブのままだった。
少し進んだ所で酔っ払い親父の亡霊とも呼ぶべき存在が立ちふさがった。
1体だけでも面倒だというのに3体もいる。
「俺が飲まなきゃ誰が飲む!」
「俺の酒が飲めねえってのか?」
「アルコールを寄越せぇぇぇ!」
「麗奈みたいなのがいっぱいです!」
「メロは正直だなぁ」
迷惑な酔っ払いとしか言いようがない姿にメロが思ったことをそのまま口にした。
バーベキューをすると麗奈が何回かに1回は迷惑な酔い方をするものだから、メロがそう言ってしまうのも無理もない。
藍大が酔っ払い親父の亡霊をモンスター図鑑で調べてみると、ドランクゴーストという名前が表示された。
『お酒臭い!』
リルはこの場の誰よりも鼻が利くので、酒臭さに耐えられず<
『メロがLv99になりました』
今日まで
ドランクゴーストを倒して手に入った戦利品は酒臭い魔石だけだった。
実にがっかりさせられるモンスターである。
魔石を回収して先に進めば、少し進む度にドランクゴーストが現れて鬱陶しい。
ドランクゴーストはプリプリと怒ったリルが瞬殺することを何回か繰り返し、やっとのことで別のモンスターの集団が藍大達の前に姿を見せた。
見た目は巨大なワインボトルだが手足が生えており、その手足は一回り小さなワインボトルで形成されている。
『ご主人、あいつらお酒臭いよ~』
「マジで臭いな。俺でもキツいならリルは相当辛いだろうに」
リルが藍大の体に自分の鼻を押し付けて酒臭さから逃避した。
藍大はリルの頭を撫でながら敵の名前はボトルドールであると知った。
「私が換気する」
サクラも我慢できずに<
そのおかげでリルは戦えるようになった。
ところが、リルの出番はなかった。
「酒ならばよく燃えるであろう?」
ブラドがボトルドール達の正面に<
「ブラド、倒し方を考えて。これじゃ魔石しか手に入らない」
「そうは言うが桜色の奥方よ、このような
サクラがブラドに抗議するように言うと、ブラドもちょっと待ってほしいと反論する。
しかし、サクラにはそれに対抗できる言い分があった。
「戦利品がなければ私達の稼ぎが減る。稼ぎが減ると食事のグレードが下がる」
「むぅ、そうか。いや、騙されんぞ。そもそも渋谷ダンジョンの戦利品が二束三文であろうが。吾輩のシャングリラダンジョンでたっぷり稼いでるから食費を削らずとも問題あるまい」
「バレたか」
「フッフッフ。吾輩、”ダンジョンマスター”なので馬鹿ではないのだ」
(馬鹿じゃなくて食いしん坊なのだ)
藍大は心の中でブラドの言葉に繋げたが、それを口にすることはなかった。
だが、メロは藍大とは違った。
「馬鹿じゃなくて食いしん坊なだけです」
『ご主人はいっぱい食べる僕が好きって言ってくれたよ?』
「・・・私もいっぱい食べてマスターに好きって言ってもらうです」
「メロが論破されちゃったよ」
これには思わず藍大も驚きを口に出してしまった。
リルの純粋な発言がメロのツッコミを凌駕したようだ。
それはさておき、その後もボトルドールが現れては倒すのを繰り返した。
ドランクゴーストとボトルドール以外のモンスターよ来いと藍大達が願っていると、その願いは確かに叶った。
しかしながら、酒臭くないモンスターという点で願いは叶わなかった。
現れたそのモンスターも強い酒の臭いをプンプンさせていた。
藍大達の目の前に出現したそれは成人男性の背丈を超える大きさの酒樽だった。
その酒樽は転がって藍大達の前に現れたのだ。
そして、転がるのを止めた酒樽から木製の頭部と手足が生え、その手にはワインボトルを逆さにして底の両側に
「変形キタコレ!」
藍大は見た目こそアレだが変形した事実に感動し、そのモンスターについてモンスター図鑑で調べてみた。
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名前:なし 種族:バレルゴーレム
性別:なし Lv:50
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HP:800/800
MP:500/500
STR:700
VIT:700
DEX:400
AGI:450
INT:0
LUK:450
-----------------------------------------
称号:掃除屋
アビリティ:<
<
装備:アルコールハンマー
備考:熟成
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(樽の中の酒飲めんの!?)
藍大はステータスの熟成という表記を詳しく調べ、バレルゴーレムの胴体の中にワインが詰まっていることを知った。
酒飲みではない藍大だが、全く飲まない訳ではないのでバレルゴーレムのワインがどんな味なのか気になった。
このワインは自動生成される物ではなく、その体の大きさに見合った量だけしか生成されない。
それゆえ、テイムしてワイン無限湧きなんてことは不可能だ。
そうであるならば、藍大の次の指示は決まっている。
「リル、バレルゴーレムの動きを止めるんだ」
『うん!』
リルは藍大の指示通りに<
「メロ、あいつの頭を吹き飛ばせ」
「狙い撃つです!」
硬い植物の種を創り出し、メロはそれを放ってバレルゴーレムの頭部を撃ち抜いた。
メロの攻撃に耐えられるようなHPもVITもなかったので、バレルゴーレムのHPは全損した。
「よし、ワインゲットだぜ」
『ご主人、お酒が欲しかったの?』
「リル、知ってるか? ワインは料理に使うこともあるんだ」
『それなら必要だね!』
リルは安定して食欲に忠実だった。
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