【Web版】大家さん、従魔士に覚醒したってよ(書籍タイトル:俺のアパートがダンジョンになったので、最強モンスターを従えて楽々攻略 大家さん、従魔士に覚醒したってよ)
第251話 リル君の家に入って良いんですか!? やった~!
第251話 リル君の家に入って良いんですか!? やった~!
ダンジョンから戻って来た藍大はドライザーにデメムートとベヒーモスの魔石を与えた。
その結果、<
<
ドライザーに魔石を与えた後、藍大はすぐに102号室に戻ってベヒーモスをふんだんに使った料理を作った。
食いしん坊ズに限らず、サクラもゲンも幼女トリオもベヒテキ、ベヒタン、ベヒカツ等食べまくった。
藍大も家族全員の世話をしつつ食べられるタイミングで食べた。
当然、サクラが甲斐甲斐しく藍大のフォローをしたことも記しておく。
ベヒーモス祭りが終われば、奈美に今日の戦果で食料以外を渡したり真奈が来るまでに身だしなみを整えたりした。
そうして迎えた午後3時、黒塗りの高級車がシャングリラの前に停まった。
車から降りた誠也と真奈がメタリックなアタッシュケース台車に積んで来た。
2人を出迎えるのは藍大と舞、サクラである。
リルは天敵の襲来に身の危険を感じて102号室から出ないようにしている。
「こんにちは。例のブツの支払いと受け取りに来ました」
「真奈さん、なんで危ない取引みたいに言うんですか?」
「こういうのやってみたかったんです」
「お前って奴はどうして本当にそうなんだ」
「兄さん!? 私の頭はデリケートなんですよ!? 手を離しましょう!? 逢魔さん達も見てますよ!」
真奈の悪ノリに誠也は兄として戒める気持ちを持ってアイアンクローに移行した。
槍士が戦闘中に槍を落とす訳にもいかないから、誠也は握力もしっかりと鍛えている。
それゆえ、真奈はアイアンクローを受けてミシミシと音がする頭に恐怖を感じて止めてくれと頼んだ。
藍大達がいる前で本格的な説教に入る訳にもいかず、誠也は仕方ないと腕の力を緩めた。
「失礼しました。では、支払いから先に済ませましょう。ご確認下さい」
「わかりました。失礼します」
藍大はそう言って誠也と真奈が全てのアタッシュケースを開くと中身を確認し、5億円があると判断するとそれらを閉じて台車ごと受け取った。
「サクラ、お渡しして」
「うん。どうぞ」
「ありがとうございます」
サクラが10本の1級ポーションが入ったケースを差し出すと、誠也は慎重にそれを受け取った。
真奈はまだ藍大と話したいことがあったから誠也にその許可を取ることにした。
「兄さん、私はちょっと逢魔さんと話したいことがあるから先に帰ってて」
「わかった。逢魔さん、愚妹がやらかしたら電話を下さい。家で説教しますので」
「わかりました。すぐに電話します」
誠也の言葉に藍大が良い笑顔で応じると、真奈はすがるような目で藍大を見つめた。
「逢魔さん、私は信じてますからね。兄さんにチクるようなことはしないって」
「どうでしょうか」
「そんな!? あんなに一緒にリル君をモフったのに!」
「それは貴女の妄想です。現実は非情なんです」
「・・・やっぱり連れて帰りましょうか?」
「兄さん、話があるのは本当だから! それ持って先に帰ってて!」
ボケを挟んではいるものの話したいことがあるのは事実なので、真奈は自分を連れ帰ろうとする誠也に早く帰るように促す。
誠也も1級ポーションを持ったままこの場で長居するのは得策ではないと判断し、真奈を藍大に預けると車に乗って自宅へと帰っていった。
「ふぅ。これで私は自由です」
そう言った瞬間、タイミングが悪いことに司の部屋からリュカが出て1階にやって来た。
車が出たから危機は去ったと判断して102号室に遊びに来たようである。
そんな獣耳幼女の姿を真奈が見逃すはずがなく、真奈の首がグリンとリュカの方に向いた。
「な、な、なんですかあのモフ要素がある生き物は!?」
「ひぃっ!?」
獲物を見る狩人の目で見られれば、リュカが体をこわばらせるのも無理もない。
(
リュカがリルに会いたい気持ちはわかるが、そのせいで気が急いて判断力が鈍っていることは否めない。
藍大は真奈の理性がある内に会話でおとなしくなってもらおうと冷静に応じる。
「何って従魔のリュカです。今は司のパーティーに派遣してますが」
「リュカって子、いくら積めば私にレンタルしてくれますか? 多分銀色の狼にもなれますよね?」
「ぴぃっ!?」
リュカは自分が真奈にレンタルされた後のことを想像して涙目になった。
というよりも説明していないにも関わらず、<
その時、102号室のドアがバンと音を立てて開き、リルがリュカを庇うように前に立った。
『リュカは渡さないよ!』
「リル君!」
「リルゥ・・・」
(本当は怖いはずなのに体を張ってリュカを守るとはなんて勇敢なんだ!)
藍大はリルの雄姿を見て目頭が熱くなった。
真奈は目当てのリルが見られてテンションが上がり、リュカは窮地にやって来てくれたリルをヒーローのように思って熱い視線を向けている。
「何この状況」
サクラがボソッと言うのも仕方のないことだろう。
そこで事態を収拾したのは舞だった。
パンパンと2回手を叩き、その場にいる全員の注目を集めた。
「注目~。一旦落ち着いてね~」
「失礼しました。ポストリル君が見つかったからつい興奮しちゃいました」
「真奈さん、あんまりはしゃぐと誠也さんに電話しますよ?」
「落ち着きました!」
藍大が
その隙にリルはリュカを連れて藍大の後ろに移動する。
今この時は藍大の後ろが一番安全だとわかっているからだ。
リルに連れられたリュカの目はハートになっているのは今は置いておこう。
「ちゃんとした話があるなら中に入って下さい。立ち話もなんですから」
「リル君の家に入って良いんですか!? やった~!」
「お迎えを呼んでそれが到着するまでの立ち話にしましょうか」
「すみません。自重しますので家の中でお願いします」
「わかりました」
誠也を呼ばれて説教されるのは勘弁してほしいらしく、藍大に言われる前に自らおとなしくすると言った。
真奈はボケに走りがちだが線引きはしっかりできる。
本気で嫌がることはしないのが一流のモフラーなのである。
102号室に移動すると、リルとリュカは別室に移動して藍大達はダイニングのテーブルで話をすることにした。
真奈は藍大に出してもらった紅茶を飲んで目を見開いた。
「この紅茶、美味しいですね。どこで手に入れたんですか?」
「メロが作った茶葉です。我が家でしか飲まない非売品です」
「メロちゃんはそんなこともできたんですね。定期的に購入したかったのですが残念です」
「それを直接受け取りに来るついでにリルを見に来ようとするから駄目です」
「バレてましたか」
真奈はペロッと舌を出しておどけてみせた。
「バレバレです。ところで、そろそろ本題に入ってもらっても構いませんか?」
「わかりました。実は、”レッドスター”が新しくダンジョンを見つけました」
「新しいダンジョンですか。それって私達に言っちゃって大丈夫なんですか? 誠也さんに許可取ってます?」
「その点は大丈夫です。既にDMUに発見報告を済ませてますから。”レッドスター”が管理しますけど、それ以外の冒険者達にも開放予定です。ダンジョンは川崎大師にあります」
「川崎大師ですか。人が集まりそうな場所なのに案外見つからないものなんですね」
新しく見つけられるダンジョンとは、そのほとんどが人通りの少ない場所である。
人が多く集まりそうな川崎大師で今になってダンジョンが見つかるのは藍大にとって意外だった。
「そうみたいです。とまあ、川崎大師ダンジョンについて教えたのはそこにアンデッドのモンスターも出て来るからです。逢魔さんが目をかけてる後輩達のパーティーにぴったりではないかと思いまして」
「北村教授ですか?」
「いえ、C大学に北村教授に会いに行った時、偶然彼の従魔達を見てしまいました。マルオ君はもう少し周囲への警戒に気を配るべきですね」
「あの馬鹿・・・」
北村が真奈にも成美達のパーティーが困ったら助けてほしいと頼んで情報を開示したと思いきや、偶然マルオがローラ達を北村教授に見せていたところに真奈がばったり出くわしてしまったらしい。
これは真奈にも北村にも非があるとは言えまい。
「それにしても驚きました。掲示板で噂になってましたが本当に死霊術士もいたんですね」
「ええ。今は道場ダンジョンの6階で力をつけ、7階のデーモンとやり合えるように準備をしてます」
「着々と力を付けてるじゃないですか。同じ北村ゼミ出身者が活躍してくれることは嬉しいです」
「活躍したことで出て来るアンチやちょっかいをかける人達に対抗できる時間が欲しいので、わざと死霊術士について広めないで下さいね」
「わかってます。とはいえ、笛吹さんも山上君もレアな
「あそこに通う冒険者達の行儀が良くてホッとしてる限りですよ」
「同感です。紅茶、ご馳走様でした。後輩達が川崎大師ダンジョンに挑むようになったら連絡して下さい。できる限り便宜を図ります」
「ありがとうございます」
藍大はここにいない成美達に北村ゼミのコネは大事にしろと改めて注意することを決めた。
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