【Web版】大家さん、従魔士に覚醒したってよ(書籍タイトル:俺のアパートがダンジョンになったので、最強モンスターを従えて楽々攻略 大家さん、従魔士に覚醒したってよ)
第229話 藍大、私に赤ちゃんできたって!
第229話 藍大、私に赤ちゃんできたって!
システムメッセージに困惑した藍大だったが、後続の敵がいないか確認してすぐに舞達が駆け寄って来たから思考を中断した。
「藍大、無事だよね!?」
「主、大丈夫!?」
『ご主人、返事して!』
「心配させないでよねっ」
「マスター、しっかりするです!」
「大丈夫だ。ちょっと考え事してただけ。それよりもみんなグッジョブ!」
あれこれ考えるのは舞達を労った後にしようと頭を切り替え、藍大はひとまず舞達を順番にハグした。
藍大の無事を確認できた上に抱き締めてもらったから、舞達はすこぶるご機嫌になった。
舞達が落ち着きを取り戻してからベルゼブブの解体と回収を済ませ、その作業で手に入れた魔石は<
「魔石・・・ほしい・・・」
「わかってるって。ほら」
藍大は魔石をおねだりするゲンに与えた。
『ゲンのアビリティ:<
「満足・・・。家・・・帰る・・・」
「だから俺はゲンの家じゃないっての」
ゲンはやるべきことをやったと満足して<
藍大が上書きされた<
(<
<
その他のスキルも何かと使えそうなものではあるが、<
藍大の貧弱ボディで使用すれば、衝突の瞬間に藍大の骨が物理的に折れかねない。
そうならないよう扱うとすれば、移動手段として使いこなせるようにするしかないだろう。
藍大が<
『主君よ、ちょっと良いか?』
「ブラドか。そうだ、俺も話があったんだ。分体のことだろ?」
『うむ。早速創ってみたんだが、面白いことがわかった』
「何がわかったんだ?」
『吾輩の分体は吾輩と五感を共有したままダンジョンの外に出られる』
「そりゃすごいな!」
”ダンジョンマスター”を持つ者は支配するダンジョンの外に出られない。
これが今までのルールだったけれど、ブラドに分体を創る権限が付与されたことで制限的にそのルールが緩和された。
分体の五感がシャングリラダンジョンにいる本体と共有できるということは、分体が藍大の料理を食べれば本体も食べたことになる。
また、分体がいれば藍大がブラドを他所のダンジョンに同行させられることだってできる。
つまりは藍大パーティーにブラドが加入できる訳だ。
これはすごいとしか言いようがない。
『であろう? ただし、分体には制限もあったのだ』
「制限? どんな?」
『分体は吾輩よりもずっと小さく、騎士の奥方が好きそうなデフォルメされたデザインなのだ』
「お、おう。それはもう舞と会ったら頑張れとしか言えんな」
舞は可愛いものが大好きだから、ブラドのデフォルメされた分体を見たらテンションが上がるだろうことは間違いない。
きっとゴルゴンやメロが通った道をブラドも通ることになるだろう。
そこまで予想できれば、藍大が頑張れとブラドに言うのは当然である。
『主君、いざという時は助けていただきたい』
「約束はできないがやり過ぎだと思ったら止めに入ろう」
『かたじけない』
「そうだ。ブラドに別件で質問がある」
藍大はブラドと話している間に質問を思いついてそれを訊ねることにした。
『なんだろうか?』
「さっき”災厄”のベルゼブブに俺が美味そうって言われたんだが、ブラドは最初に俺と会った時に美味そうって思った?」
『美味そうとか考える余裕はなかったな。出会った当時は主君達に次々に吾輩が考えたフロアを突破されて怒り、そして恐怖してたのでな』
「なるほど。確かに扉を開けた瞬間に攻撃仕掛けられたっけ」
『うむ。
その方針は”ダンジョンマスター”として至極当然なものと言えよう。
ぼやっとしていれば自分が殺されかねないのだから、初手ぶっぱしたって何もおかしくない。
”ダンジョンマスター”としてのブラドの意見は貴重なので、藍大はついでに個人的な疑問もぶつけてみることにした。
「そっか。ところで、ブラドはなんでシャングリラの101号室をダンジョン化したんだ? いつ”ダンジョンマスター”になった?」
『ふむ。その質問はどちらとも気が付いたらそうだったとしか言いようがない』
「ブラドの意思とは関係なかったと?」
『その通りだ。だからこそ、桜色の奥方が吾輩のダンジョンに紛れ込んでいたことも説明できないのだ』
「なるほどな。わからないことがわかっただけ良しとしよう。それじゃ、帰ったら分体に会わせてくれ」
『うむ』
藍大はブラドと会話を終わらせた。
その一部始終を横で聞いていた舞はとても良い笑顔で藍大に訊ねた。
「藍大、ブラドの分体がデフォルメ化して外に出られるって本当?」
「ブラドも同じ道を通るが良いわっ」
「ブラドだけ回避なんて許さないです」
(すまん、ブラド。存分に可愛がられてくれ)
舞は手をワキワキさせており、ゴルゴンとメロは目から光が消えていた。
幼女コンビは舞に可愛がられた結果、すごいテンションで振り回されたことを思い出したようだ。
藍大はブラドが可愛がられるビジョンしか見えなかったが、せめてもの情けとしてやんわりと止めた。
「程々にな」
「ま、前向きに検討するよ」
(これは駄目っぽいな)
藍大はそう結論付けて話を変えることにした。
「ところで、舞はベルゼブブを倒した後にパワーアップした感じする?」
「ここ最近眠気が取れないのが改善されたかも」
「それは違うんじゃ・・・。いや、待てよ」
舞の言い分に引っかかるものを感じ取り、藍大はすぐに茂に電話した。
『もしもし、藍大か? そっちはどうだ?』
「さっき”災厄”と”暴食の王”を持ったベルゼブブを倒した。それは置いといて舞を鑑定してくれないか?」
『・・・どう考えてもそれは置いとけない内容なんだが、舞さんの鑑定は緊急なのか?』
「おう。緊急だ。今、ビデオ通話に変える」
『わかった』
茂の了承を得ると、藍大はビデオ通話に切り替えて舞を画面に映し出した。
「茂、頼む」
『わかった。・・・ふぁ!?』
「どうした!?」
『良いか、よく聞け! 重要な変化を2つ伝える! 1つ目は舞さんに”暴食の女王”の称号がある! 2つ目は舞さんが妊娠6週目だ!』
「やっぱそうか・・・」
藍大は茂の鑑定結果を聞いて自分の予想が的中したことを知った。
『えっ、ちょっ、藍大、わかってたのか?』
「舞に話を聞いてもしやと思ったから茂に鑑定を頼んだんだ」
『マジか・・・。妊娠もびっくりだが人間が”暴食の女王”になれるとはなぁ・・・』
「モンスターなら<
『人間はアビリティを取得できない。それは舞さんも同じだが、舞さんには鉄の胃袋を内包した状態異常無効の効果が永続化されてるぞ』
「なるほど。それは暴食だな」
茂の鑑定結果を聞いて藍大は納得した。
『言ってる場合か。つーか、ベルゼブブを倒したってことはそっちのスタンピードは終わったんだな?』
「終わったと思うぞ。ベルゼブブを倒す前はモンスターの大群と2回遭遇したが、倒してからは全然姿を見せない。ベルゼブブが俺を美味そうって言ってたから、その配下のモンスター達も俺を狙って来てたっぽい」
『次から次へと検証事項を増やすんじゃねえよ』
「俺は悪くねぇ!」
『はぁ・・・。全くしょうがねえな。とりあえず、自衛隊に連絡したから後処理は彼等に任せとけ』
「おう。助かった。じゃあな」
藍大は電話を切った。
その瞬間、舞が藍大に抱き着いた。
「藍大、私に赤ちゃんできたって!」
「やったな!」
「うん!」
「「「「『おめでとう!』」」」
『おめ』
サクラ達だけでなく、珍しくゲンも一緒に祝っている。
ゲンとしてもこればっかりは外せないと思ったらしい。
それはそれとして、藍大はサクラが素直に祝福したことに驚いていた。
正直なところ、舞が先に子供を授かったことを悔しがると思ったからだ。
そんな藍大の思考を読んだようで、サクラはニッコリと笑って口を開いた。
「これで夜の主の性欲は私が独占できる」
「さ、流石”色欲の女王”だよ。藍大、頑張ってね」
「・・・頑張る」
舞もサクラの前向きな発想に苦笑いだが、藍大からすれば今夜から本気出すと言われているようで苦笑いすらできない。
「大丈夫。何かあったらすぐに<
「大丈夫な気がしない!?」
『ファイト』
やる気満々のサクラとゲンの他人事全開のコメントに藍大は大きく溜息をついた。
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