【Web版】大家さん、従魔士に覚醒したってよ(書籍タイトル:俺のアパートがダンジョンになったので、最強モンスターを従えて楽々攻略 大家さん、従魔士に覚醒したってよ)
第217話 貴様等のような年増が私の視界に映るんじゃない!
第217話 貴様等のような年増が私の視界に映るんじゃない!
スレイプニルの解体が終わって手に入れた魔石はサクラに与えられた。
『サクラのアビリティ:<
「サクラは耐久力も優秀だな」
「でしょ~?」
「よしよし」
魔石によるパワーアップが済んだら、藍大はモンスター図鑑で”英雄”の効果を確かめた。
”守護者”の効果はダンジョン内外問わずモンスターと戦う時に全能力値が1.5倍になり、一般人からの好感度が上昇するものだった。
”英雄”はあらゆる場所で戦闘時に全能力値が1.5倍になり、ピンチの際は一時的に全能力値が2倍になる効果があり、一般人からの好感度が上昇して敵視されにくくなる。
全能力値が強化される条件が緩み、追加効果で逆境でパワーアップするという点で”英雄”は間違いなく”守護者”よりも使える称号だと言える。
サクラが一気に強くなったことでリルはソワソワしていた。
『ご主人、僕も早く”英雄”になりたい』
「慌てない、慌てない。リルもフロアボスを倒せば”英雄”を会得できるはずさ」
『うん。落ち着いた』
「愛い奴め」
「クゥ~ン♪」
藍大に撫でられて機嫌が良くなり、リルの焦る気持ちが解消された。
その後、藍大達は広間を抜けてボス部屋へと続く一本道を進んだ。
パーティーメンバー全員の準備が整うと、サクラがボス部屋の扉を開けて藍大達はその中へと足を踏み入れた。
ボス部屋は社長室とも呼ぶべき場所だった。
高そうな品ばかりある部屋の中に、大企業の社長が座るような高級な椅子にふんぞり返る悪魔の姿があった。
その悪魔はメタリックな眼鏡に紺色のスーツ、髪型は銀髪オールバックで知的な見た目である。
藍大はすかさずモンスター図鑑でフロアボスのステータスを確かめた。
-----------------------------------------
名前:なし 種族:マモン
性別:雄 Lv:85
-----------------------------------------
HP:2,300/2,300
MP:2,300/2,300
STR:2,300
VIT:2,300
DEX:2,300
AGI:2,300
INT:2,300
LUK:2,300
-----------------------------------------
称号:地下8階フロアボス
強欲の王
アビリティ:<
<
<
装備:プロテクトスーツ
カームグラス
備考:物理攻撃半減/状態異常耐性
-----------------------------------------
(デモンズディーラーの上位互換と考えた方が良さそうだ)
マモンはデモンズディーラーの物理攻撃以外に魔法系アビリティを会得している。
それに加えて<
それどころか、装備によって物理攻撃半減と状態異常耐性まで有しているのだから戦う準備は万端なのだろう。
マモンは藍大達がボス部屋に入って来た直後からずっとゴルゴンとメロを凝視していた。
「良い・・・」
「むっ、何か視線を感じるわっ」
「嫌な視線を感じるです」
幼女コンビがピクッと反応すると、マモンが立ち上がってゴルゴンとメロにニッコリと笑いかけた。
「そこの蛇髪のレディと耳長のレディ、私の子供を産まないか?」
「お断りよっ」
「ロリコンはノーサンキューです!」
「ロリコンじゃない。フェミニストだ」
メロがロリコンという言葉を口にした途端、マモンは静かだが迫力のある表情でフェミニストを自称した。
ゴルゴンとメロは身の危険を感じて藍大の後ろに隠れるが、その行動がマモンの表情を歪める。
「おい、冴えない雄よ。私の眼福の邪魔をするんじゃない」
「やらせねえよ!」
「ゲフッ!?」
マモンは<
そんな芸当を予想できるはずもなく、マモンは舞の反撃を鳩尾に喰らって情けない声を出してしまった。
「変態は死んで」
「おのれ!」
サクラが真顔で深淵のレーザーを放ってすぐ、マモンは直撃を避けるために自らの正面に<
爆炎が収まるとマモンが激昂した。
「貴様等のような年増が私の視界に映るんじゃない!」
「あ゛あん!?」
「年増?」
『ご主人、怖い』
「ヤバい、あいつは舞とサクラを怒らせた」
舞とサクラから放たれるオーラを察知し、藍大とリルは体を震わせて身を寄せ合う。
「身の程を知れ」
そうサクラが言った瞬間、<
「凍えろ!」
マモンはサクラの放った全ての矢を凍らせようと<吹雪>を発動したが、サクラの方がマモンよりもINTの数値が高いから凍るはずがない。
「クソッ、年増の分際で私を動かすとは生意気な!」
マモンは大物ぶってサクラにマウントを取ろうとするも、必死の形相でサクラの攻撃を避けている。
そして、マモンは矢の当たらない場所を見つけて急いでそこに移動する。
だがちょっと待ってほしい。
本気になったサクラがそんなザルな攻撃をするだろうか。
いや、あり得ない。
そこはマモンにとって死地でしかなかった。
「ミンチにしてやるぜぇぇぇ!」
雷光を纏ったミョルニル=レプリカを短く持った舞が待ち伏せしており、マモンが射程圏内に入った瞬間に攻撃を始めた。
「ぐっ、やめろ! 殴るな!」
「てめえが、死ぬまで、殴るのを止めねえ!」
プロテクトスーツの効果で物理攻撃は半減されていたけれど、舞の連続攻撃によってボロ布へと変わり果てて効果がなくなった。
本気の舞の攻撃を連続して受ければマモンに立て直す余裕なんてなく、精々が防御姿勢を取るのもギリギリだった。
何度も何度も殴られてHPが尽きそうになると、マモンは<
レヴィアスケイルのおかげで状態異常はすぐに解除されたが、舞はマモンを仕留め損ねてイライラしていた。
「良くもやってくれたなと・・・」
「さっさと死ね」
全部言わせることなくサクラが<
『リルがLv100になりました』
『リルがアビリティ:<
『リルが称号”到達者”を会得しました』
『リルの称号:”守護者”と称号”到達者”が称号”英雄”に統合されました』
『ゲンがLv97になりました』
『ゴルゴンがLv95になりました』
『メロがLv90になりました』
『メロがLv91になりました』
『メロのアビリティ:<
『メロが称号”強欲の女王”を会得しました』
システムメッセージが鳴り止んだ途端に藍大は首を傾げた。
「メロが”強欲の女王”になった?」
「私は何もしてないですよ!?」
デジャヴである。
ゴルゴンの時もレヴィアタンを討伐したら戦闘に参加していなかったにもかかわらず、ゴルゴンが新しく”嫉妬の女王”になった。
今回はマモンの称号がメロに継承されたのだ。
「気にしたら負けよっ。これでお揃いねっ」
「そうですね! 気にしたら負けです!」
幼女コンビは精神的にタフなのかもしれない。
もっとも、思考を放棄したとも言えるのだが。
なんにせよ、これで藍大の従魔で大罪を冠する称号持ちがサクラとゲン、ゴルゴン、メロになって過半数を超えた。
リルは聖獣を冠する称号持ちなので、藍大のパーティーに所属する従魔は豪華メンバーと呼んでも過言ではない。
それはさておき、マモンを倒しても舞とサクラは不完全燃焼だと言わんばかりだったから藍大は2人を抱き締めた。
「あんなロリコンの言うことなんか気にすんな。2人は俺にとって最高の奥さんだから」
「藍大!」
「主!」
藍大はかける言葉のチョイスを間違わなかった。
2人にとって最も大事なのは藍大からの評価なので、マモンが何を言おうと藍大の言葉で舞もサクラもすっかりご機嫌になって藍大を抱き締め返したのである。
舞とサクラが落ち着いた後、藍大はマモンの体から魔石を回収してリルに与えた。
『リルのアビリティ:<
「リルも一気に強くなったな」
『ご主人のおかげだよ』
「リルも頑張ったさ」
「クゥ~ン♪」
リルがどんなに強くなっても、藍大に撫でられるとリルが嬉しいのは変わらないらしい。
『むぅ。地下8階も無傷でクリアされたか・・・』
「ブラド、地下9階はお前の部屋か?」
『その通りだ。主君達が今日も派手に戦ってくれたからもう1階増やせるが、簡単にクリアされて悔しいからじっくりと時間をもらいたい。勿論、地下8階までは今まで通り使えるようにしておく』
「わかった。でも、舞とサクラを怒らせるようなダンジョンは止めとけ」
『肝に銘じておこう』
ブラドも舞とサクラのマジギレは怖かったようだ。
藍大達はマモンの死体を回収してやるべきことを済ませた後、シャングリラダンジョンを脱出した。
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