【Web版】大家さん、従魔士に覚醒したってよ(書籍タイトル:俺のアパートがダンジョンになったので、最強モンスターを従えて楽々攻略 大家さん、従魔士に覚醒したってよ)
第209話 隕石は食べ物じゃねえだろ!?
第209話 隕石は食べ物じゃねえだろ!?
ドライザーの進化に伴う騒動が落ち着くと、藍大達は探索を再開した。
螺旋スロープを下っていると、2回程ホワイトバジリスクの集団に襲撃されたが藍大達はそれらを軽々と倒してしまった。
スロープを下り終えた先には広い闘技場があった。
その闘技場は壁際に水路があるだけでそれ以外は円形の地面だけのシンプルな造りになっており、藍大達が入場口から中に入った直後に鉄格子がガラガラと音を立てて退路を塞いだ。
反対側にも通路があるようだが、そちらは既に鉄格子が降りてしまっていて先に進むにはこの場の主を倒さなければいけないらしい。
『ご主人、上に大きな魚がいる!』
「うわっ、デカいな!? 出目金なのか!?」
リルに言われて頭上に視線をやると、藍大の視界に赤白模様の巨大な出目金が空中を優雅に泳いでいた。
藍大が今まで遭遇した中では最大クラスの出目金だったため、どんなモンスターなのか気になってすぐにモンスター図鑑で確認し始めた。
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名前:なし 種族:デメムート
性別:雌 Lv:80
-----------------------------------------
HP:2,500/2,500
MP:2,500/2,500
STR:2,500
VIT:2,200
DEX:1,000
AGI:1,000
INT:2,500
LUK:1,000
-----------------------------------------
称号:掃除屋
アビリティ:<
<
<
装備:なし
備考:空腹
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(出目金とバハムートを足して2で割ったのか?)
デメムートの名前を見て藍大はピンと来た。
バハムートは中東の伝承の中では巨大な魚の幻獣として知られている。
そこに日本でよく見る出目金の要素が加わっていると思えば、巨大な出目金ができあがるのも頷けるだろう。
しかし、その能力値やアビリティは凶悪で出目金らしい可愛さなんてひとかけらもない。
デメムートは藍大達に気づくと早速<
「冗談じゃねえ!」
舞は咄嗟に光のドームを展開し、自分達が強力な力で吸引されないようにした。
「サンキュー舞! 助かった!」
「おう!」
舞の対応は正解だった。
もしもリルの<
舞の光のドームならば、座標固定で展開できるので吸い込まれることはない。
最小限のMPを消費するだけでデメムートの初撃を回避できたのだから、スイッチの入った舞の戦闘センスは大したものだと言えよう。
デメムートは水路の水だけ吸い込むに留まり、藍大達を吸い込めなかったことに憤慨して<
デメムートの鱗が尖った状態で無数に放たれ、それが光のドームに突き刺さる。
数の暴力によって耐久力が一気に削られてしまい、光のドームは<
そのタイミングを狙ってデメムートが<
「ゴルゴン! メロ!」
「はいなっ」
「はいです!」
ゴルゴンが<
ゴルゴンの攻撃でも<
その状態でメロの仕掛けた罠に触れたため、デメムートの体は一時的に時間の流れから外れて微動だにしなくなった。
「サクラとリル、ドライザーで攻撃!」
「任せて!」
『うん!』
『イェス、ボス』
サクラは<
リルは<
ドライザーはデメムートの腹部に<
デメムートは<
動けるようになったデメムートは自分の体が3ヶ所切断されていることに驚いて吠えた。
「ギャァァァァァァァァァァッ!」
その叫びは巨体から発せられたせいで<
デメムートは自分の体を傷つけられたことで激怒し、すぐに<
「ゴルゴン、あれも頼む!」
「まっかせなさい!」
ゴルゴンが再び<
ところが、デメムートの狙いはここからだった。
デメムートは<
初回に使った時とは比べ物にならない勢いで吸い込み始めたが、舞はいつでも藍大達を守れるように待機していた。
「食わせねえぞゴラァ!」
舞はデメムートがアビリティを使った時には既に光のドームを展開しており、藍大達の体が宙に浮くことはなかった。
「流石は舞! 抜群の反応防御だ!」
「これぐらい余裕だからどんどん頼りな!」
なんとも頼りがいのある発言である。
しかしながら、デメムートは最初から藍大達のことを狙っていなかったのだとその直後に気づかされた。
何故なら、デメムートが隕石片を吸い込み終えた後でその体が光に包まれ、光が収まった時にはサクラ達に切断された鰭や尾鰭が元通りになっていたからだ。
デメムートは喰らった隕石片を利用して<
「隕石は食べ物じゃねえだろ!?」
「もっと美味いもん食えよ!」
『隕石よりも美味しい物はいっぱいある!』
藍大のリアクションはさておき、食いしん坊ズにはちょっと待てとツッコむべきだろうか。
いや、戦闘中にそんなことにツッコんでいる場合ではない。
デメムートは体を再生してHPも回復し、闘技場の水路の水位が元通りになっているのを目視確認してから<
元々ある水を利用して発動すればMPの節約になる。
藍大達を強敵認定したから、MPのロスが命取りになると判断してのことだろう。
水路を満たしていた水が藍大達を襲う。
だがちょっと待ってほしい。
藍大達には水のスペシャリストがいるのだ。
「ゲン、頼んだ!」
藍大の求めに応じてゲンは<
そして、その大量の水で牢獄を作ってデメムートを閉じ込めた。
「リル! 舞を連れて行け!」
『わかった!』
「メロはデバフ!」
「はいです!」
リルは舞を乗せてデメムートと同じ高さまで移動する。
それと同時にメロが<
「舞!」
「任せろ! お前を食うのは私達だぁぁぁ!」
舞が雷光を纏ったミョルニル=レプリカをフルスイングし、それが水の牢獄に触れた瞬間に水の牢獄に雷光が伝達して弾け飛んだ。
舞の渾身の一撃を喰らえばデメムートも軽微なダメージでは済むはずがない。
デメムートは一時的に体の制御を失って墜落し始めた。
「サクラ、奴を地面に叩きつけろ!」
「うん!」
サクラは<
「ゲン、ぶちかませ!」
「了解」
ゲンが<
舞から始まった3連続攻撃には耐え切れず、デメムートが再び動き出すことはなかった。
『サクラがLv98になりました』
『リルがLv97になりました』
『ゲンがLv94になりました』
『ゴルゴンがLv92になりました』
『メロがLv86になりました』
『ドライザーがLv76になりました』
『ドライザーがLv77になりました』
システムメッセージが耳に届くと、藍大は込み上げる感情をそのまま叫び出した。
「よっしゃあ! 俺達の勝利だ!」
ハイテンションな藍大はパーティーメンバー全員を順番にハグして労っていく。
それには舞達も頑張った甲斐があったと喜んだのは言うまでもない。
ひとしきり喜んだ後、藍大達はデメムートの解体を行った。
すると、デメムートの体内から宝箱が現れた。
「サクラ先生、お願いします」
「任されました」
LUK12万超えのサクラが宝箱を開けると、その中には泡立て器、もしくはホイッパーと呼ばれる調理器具が入っていた。
それも当然の如く見た目はミスリル製である。
サクラが手に持ってくれている間に藍大がモンスター図鑑で調べてみると、やはりミスリルホイッパーと表示された。
「藍大の料理がもっと美味しくなりそうだね~」
『お宝ゲットだね!』
食いしん坊ズ的にはミスリルホイッパーの獲得は大歓迎のようだ。
その後、デメムートの魔石は順番通りにゴルゴンに与えられた。
ゴルゴンが元の姿になって飲み込むと、脱皮したゴルゴンの体表の輝きが脱皮前よりも美しさに磨きがかかった。
『ゴルゴンのアビリティ:<
『ゴルゴンがアビリティ:<
システムメッセージが鳴り止んだ直後、ゴルゴンがすぐに<
それによって現れたのは大人の姿になったゴルゴンだった。
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