【Web版】大家さん、従魔士に覚醒したってよ(書籍タイトル:俺のアパートがダンジョンになったので、最強モンスターを従えて楽々攻略 大家さん、従魔士に覚醒したってよ)
第207話 ばっちいばっちいばっちいわっ
第18章 大家さん、リニューアルされたダンジョンに挑む
第207話 ばっちいばっちいばっちいわっ
7月19日の日曜日、藍大達は朝からシャングリラダンジョン地下6階に来ていた。
メンバーはゼルとドライザーが交代している。
ドライザーを連れて来た理由としては、あと3つレベルを上げればLv75になるからだ。
Lv75になれば他の従魔達のように進化の可能性がある。
ドライザーが進化した姿が気にならないと言えば嘘になるため、藍大はゼルにシャングリラの見張りを任せてドライザーを連れて来た訳だ。
ブラドが道場ダンジョンを手中に収めてから改造に1日半かかり、シャングリラダンジョンのリニューアルが完了した。
ちなみに、ブラドは藍大にアシュラの魔石を与えられて<
それはそれとして、藍大達が地下6階にいるのはこの階のボス部屋の主がファフニールから別のフロアボスに変わったからである。
道場ダンジョンを攻略して手に入れたDPを地下に改装を増やした際、ブラドは自分の住処を最下層に移した。
そうなれば、元々住んでいた地下6階のボス部屋が空っぽになってしまう。
ということで新たなフロアボスが配置されたので、藍大達は初見のモンスターを全て倒すつもりで地下6階のボス部屋から探索を始めた。
魔法陣で地下6階のボス部屋の中に来たこともあり、早速藍大達の目の前にフロアボスが現れた。
「甲羅を背負ったドラゴン?」
『「ドラゴンステーキ!」』
藍大がドラゴンと口にした瞬間、舞とリルが口を揃えてドラゴンステーキと言った。
ブラドが藍大の従魔になったことにより、ドラゴンの肉を食べ損なったからドラゴンステーキを食べたいと思う食いしん坊ズの気持ちが声に出てしまったのだろう。
『吾輩、本気で従魔になっといて良かったと思ったぞ』
食いしん坊ズの食欲にはブラドも恐れをなすレベルらしい。
「ドラァァァッ!」
新しいフロアボスのドラゴンが吠えると、ボス部屋の中の空気がビリビリと震えた。
ところが、ドラゴンにも負けない気合の入った者達がいた。
「うっせえんだよステーキィィィィィ!」
『ステーキィィィィィ!』
「ドラァ!?」
食いしん坊ズの食欲に忠実な叫びを聞いて先に吠えたドラゴンが怯んだ。
そんなことをしている間に藍大はモンスター図鑑を視界に展開し、ドラゴンのステータスを確認し始めていた。
-----------------------------------------
名前:なし 種族:タラスク
性別:雄 Lv:75
-----------------------------------------
HP:2,600/2,600
MP:2,250/2,300
STR:2,000
VIT:2,000
DEX:1,500
AGI:1,000
INT:2,000
LUK:1,000
-----------------------------------------
称号:地下6階フロアボス
アビリティ:<
<
<
装備:なし
備考:恐怖
-----------------------------------------
(怖がらせるつもりが怖がってちゃ世話ねえな)
藍大はタラスクの備考欄を見て苦笑した。
<
近寄られたら食われるかもしれないという恐怖から、タラスクは藍大達に近寄らせない戦法を取った。
「舞、ドーム頼む!」
「任せな!」
タラスクが燃える何かを尻尾を使って投げまくって来たため、藍大は舞に光のドームを展開するように頼んだ。
光のドームが展開された直後、そこに燃える何かが次々に付着した。
ゴルゴンは同じ火を扱うものとしてタラスクの攻撃に興味を持ったらしく、藍大に攻撃の解説を頼んだ。
「マスター、あれは何かしらっ」
「タラスクの糞だ」
「ばっちいばっちいばっちいわっ」
「これが本当のヤケクソってことだ」
『下品な奴・・・俺・・・戦う・・・』
「・・・そういうことか。ゲン、やっちゃって良いぞ」
ゲンがムッとした口調で訴えるから、藍大はどうしてゲンが不機嫌なのか考えてその理由を察した。
甲羅を被ったタラスクとキャラが被っていると思い、そのキャラ被りしたタラスクが自分の品位まで下げかねない攻撃をしたからゲンはムッとしているのだろう。
怠惰であっても品性まで捨てた覚えはないようだ。
ゲンが<
その瞬間、光のドームに張り付いていた糞の臭いが藍大達まで届く。
「臭い! 消臭!」
あまりに酷い臭いに耐えられず、サクラが<
『鼻が曲がっちゃうよ!』
嗅覚がパーティーで最も優れるリルは怒りの<
タラスクは<
「俺・・・やる・・・」
それだけ言うと、ゲンが<
陸上に生息するモンスターならばこれで窒息を待てば良い訳だが、タラスクは泳いだり水に隠れたりする習性もあったから窒息させるには時間がかかる。
ゲンが無駄なことをしたがるとも思えないので、藍大はゲンが水の牢獄を用意した意味を考えた。
そして、数秒後には答えに到達した。
「リル、あの水の牢獄に向かって<
『わかった!』
リルが頷いて<
「流石・・・主さん・・・」
(意図があるなら言ってくれよ)
下手にあれこれ考えるよりも考えを口にしてくれた方が最善の選択に繋がるから、藍大的にはゲンにもっと口数を増やしてもらいたいところだ。
しかしながら、ゲンは今のままでも十分意思疎通が取れていると思っているので口数を増やすつもりがなかった。
「ドラァァァァァ!」
リルの攻撃によって自分を閉じ込めていた水の牢獄が弾け飛び、自由になったタラスクは激昂して<
「ゴルゴン、出番だ」
「アタシのターンっ」
ゴルゴンは<
そのままタラスクの炎を利用して自分の本来の姿を形成し、逆にタラスクに突撃させた。
「ドラァ!?」
これにはタラスクもびっくりしたらしい。
まさか自分の攻撃を利用されるとは思ってもいなかったようだ。
タラスクはそれでも思考を切り替えた。
遠距離からの攻撃が全て防がれるか利用されるなら、近距離攻撃に切り替えれば良いじゃないのと考えたのだ。
自身の巨体を活かした<
「メロ、デバフ!」
「はいです!」
メロは藍大の指示に従って<
「ドライザー、<
『イェス、ボス』
弱体化した今ならドライザーの攻撃も通用するので、藍大は<
メロのデバフのおかげでドライザーのSTRがタラスクのVITを大きく上回り、ドライザーがドラコシールドを構えて衝突した瞬間にタラスクの体が後ろにひっくり返った。
「舞、とどめは任せる」
「ドラゴンステーキ待ってろよぉぉぉぉぉ!」
雷光を纏わせたミョルニル=レプリカを握り、舞はひっくり返ってなかなか起き上がれないタラスクに接近する。
食べられる部位を少しでも残すべく、舞の狙いはタラスクの頭部一択だ。
それ以外の部位を攻撃して食べられる部位が減ったら損だと考えているからである。
舞の渾身の一撃がタラスクの頭部に命中すると、タラスクは倒れたままピクリとも動かなくなった。
『サクラがLv97になりました』
『リルがLv96になりました』
『ゲンがLv93になりました』
『ゴルゴンがLv91になりました』
『メロがLv85になりました』
『ドライザーがLv73になりました』
タラスクがドサリと音を立てて倒れた途端、システムメッセージが藍大の耳に届いた。
「やったねリル君! ドラゴンステーキだよ!」
『ドラゴンステーキ~!』
食いしん坊ズはタラスクを倒せたとわかると、昼食はドラゴンステーキが食べられるとご機嫌になった。
藍大は全員を労ってから解体に移った。
魔石を貰うのはゲンの番だから、ゲンは<
「よしよし。今回はゲンの番だからな」
「感謝」
ゲンが魔石を呑み込むと、甲羅と砲身の光沢がより美しくなった。
『ゲンのアビリティ:<
「戻る」
パワーアップが完了すると、ゲンは満足そうに頷いてから<
これで地下6階の新たなフロアボスを討伐したので、藍大達は新しくできた地下7階へと進むことにした。
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