第199話 爬虫類on爬虫類って何事?
翌日の木曜日、藍大達は道場ダンジョンの4階にやって来た。
昨日は昼食後に3級ポーションを奈美に渡してテンションが限界突破になったり、成美達C大学の後輩パーティーに道場ダンジョンの紹介をしたりと午後は午後で忙しかった。
健太は新しいダンジョンの発見を祝して騒ぎたいと言い出し、気づけばバーベキューになっていたから藍大に休む暇はなかったとだけ言っておこう。
それはさておき、道場ダンジョンの4階は3階までと内装はほとんど一緒だったが違うところもあった。
「ギミックがあるじゃんか」
「丸太の振り子だね」
「止めれば問題ないよ」
『僕も止める』
天井から吊るされた丸太が通路に等間隔に設置されており、それらがタイミングを少しずつずれながら左右に振られている。
幸い、藍大パーティーにはサクラとリルがいるから<
丸太の振り子ゾーンが終わると、今度は通路の床が抜けていた。
底には剣山とも呼ぶべき鋭い棘が無数に敷き詰められており、所々にある円柱をジャンプして反対側へ進むことが求められている。
その上、円柱の上には槍を持った二足歩行の蜥蜴が待機している。
(リザードマンが待ち伏せしてやがる)
丸太の振り子ゾーンには
しかも、最短ルートで進もうとすると必ずリザードマンのいる円柱があるから、安全に進みたければリザードマンのいる円柱を迂回するように進まなけれなならない。
もっとも、それは普通の冒険者に限った話なのだが。
サクラが幼女コンビを抱っこし、リルが藍大と舞を背中の上に乗せて空を移動するから藍大達には関係ない。
ゼルも翼があるから空を飛んで移動できる。
リザードマン達は待ち伏せが上手くいかず、自分達の頭上を通りこされてしまうと悟ると手に持った槍を投擲して藍大達を撃墜しようとする。
ところが、ゼルが<
『ゼルがLv34になりました』
剣山エリアを通過した途端、システムメッセージがゼルのレベルアップを告げた。
「今日初めてのレベルアップか。良かったな」
『(^_^)v』
ゼルは嬉しさを顔文字で表現してみせた。
剣山エリアが終わってようやく普通の通路に戻ると、今度は通路を抜かせはしないと横3列に並ぶリザードマンの集団が待ち構えていた。
1列目は槍を持った普通のリザードマン。
2列目は弓を構えているリザードマンアーチャー。
3列目は杖を持ったリザードマンメイジ。
各種リザードマンが三段構えの戦法を取っている。
「これはゼルにはちょっと荷が重いな。ゴルゴンとメロはゼルを手伝ってやれ」
「わかったわっ」
「はいです」
『<m(__)m>』
ゼルは先輩方にお力添えいただきますと言わんばかりにペコリと頭を下げた。
早速、リザードマンアーチャーの矢とリザードマンメイジの<
「私が壁を用意するです」
メロは慌てることなく<
その蔓の壁で敵の攻撃を防ぐと、ゼルが<
「世話が焼けるんだからねっ」
ゼルが撃ち漏らした敵を見つけると、ゴルゴンが<
ゴルゴンは世話が焼けると言う割には先輩風を吹かせられて嬉しそうだ。
『ゼルがLv35になりました』
『ゼルがLv36になりました』
通路を塞ぐ3種類のリザードマンの集団を倒すと、システムメッセージがゼルのレベルアップを告げた。
各種リザードマン達の死体を回収して藍大達が探索を再開してすぐ、鰐に乗ったリザードマンが群れになって現れた。
「爬虫類on爬虫類って何事?」
藍大のツッコミはもっともだろう。
鰐に乗ったリザードマンはリザードマンライダーというらしく、通常のリザードマンよりも長い槍を持っている。
リザードマンライダーが乗る鰐はスワンプダイルであり、本来は湖に生息するモンスターで動きは鈍い。
しかし、通路の床がオートウォークになっていてスワンプダイルの移動速度を速めた。
「そんなんありかよ?」
「楽してるね~」
「ダンジョンを有効活用してる」
藍大達が傍観していると、今度は自分の力だけで倒して見せるとゼルが<
スワンプダイルは背中が軽くなっても疑問にも思わず、そのままヘイトを稼いだゼルに向かって突き進む。
ゼルは<
衝突した結果、ゼルのINTがスワンプダイルのSTRを上回り、その差分だけスワンプダイルがダメージを受けた。
吹っ飛ばされてもオートウォークに乗っているからすぐにゼルの所まで戻って来てしまい、何度か吹き飛ばされてスワンプダイル達は力尽きた。
『ゼルがLv37になりました』
「頭を使って倒したじゃないか」
『o(`・ω´・+o) ドヤ』
藍大に褒められたゼルはドヤ顔を披露した。
「愛い奴め」
『(*ノ∀`*)ゞェヘヘ★』
ゼルは頭を撫でられて照れ臭そうに体を揺らす。
リザードマンライダーとスワンプダイルの回収を済ませてオートウォークの終点まで辿り着くと、ボス部屋が見えて来たところで一際大きいリザードマンが藍大達を待ち構えていた。
そのリザードマンは鋸によく似た大剣を肩の上に乗せ、藍大達を同族の仇だと理解して睨む。
見たことのない種類のリザードマンだったので、藍大はひとまずモンスター図鑑を視界に展開してその正体を確かめた。
-----------------------------------------
名前:なし 種族:リザードマンウォーリア
性別:雌 Lv:45
-----------------------------------------
HP:380/380
MP:250/250
STR:500
VIT:350
DEX:220
AGI:200
INT:0
LUK:290
-----------------------------------------
称号:掃除屋
アビリティ:<
<
装備:ソーブレード
備考:激怒
-----------------------------------------
(過去に見たゴブリンキングとほとんど同格だな)
以前スタンピードで討伐したゴブリンキングのステータスは、今目の前にいるリザードマンウォーリアとほとんど同じだったことを藍大は思い出した。
「シャァァァァァ!」
リザードマンウォーリアは<
「ゼル、落ち着いてリザードマンウォーリアの脚を狙い撃て」
『('◇')ゞ』
アイアイサーという代わりに顔文字で応じると、ゼルは藍大の指示通りに<
リザードマンウォーリアは体が大きくて重いため、AGIの数値がレベルに比べて低い。
それが原因でゼルの<
「もう一発!」
『\(^o^)/』
喜んでと言わんばかりにゼルが2発目の<
リザードマンウォーリアはソーブレードを地面に突き刺して転ばずに済んだが、ゼルの追撃には対処しきれなかった。
脚を撃たれてバランスを崩し、リザードマンウォーリアは地面にキスをした。
「今だ! <
『ハーイ(^O^)/』
ゼルがリザードマンウォーリアを床と<
『ゼルがLv38になりました』
『ゼルがLv39になりました』
リザードマンウォーリアが動かなくなると、ゼルは任務完了ですと言わんばかりの表情で藍大の前に戻って来た。
「完勝できたな。良い戦いだった」
『ウン♪(・∀・`○)』
それからすぐにリザードマンウォーリアの魔石を取り出し、藍大はゼルにそれを与えた。
魔石を取り込んだことで、ゼルの体はほんの少し大きくなった。
『ゼルのアビリティ:<
強くなったゼルはポヨポヨと揺れて喜んだ。
その後、ボス部屋にいたリザードマンナイトLv40はゼルが気に入ったサンドウィッチ戦法であっさりと倒された。
魔石も取り込んでゼルは一気に強くなった。
『ゼルがLv40になりました』
『ゼルがアビリティ:<
『ゼルのアビリティ:<
「どうする? 5階も行っとく?」
『(。-`ω´-)ぅぃ』
「よろしい。じゃあ先に進もう」
ゼルがやる気満々であり、時間にもまだ余裕があったので藍大達は5階に繋がる階段を上がった。
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