【Web版】大家さん、従魔士に覚醒したってよ(書籍タイトル:俺のアパートがダンジョンになったので、最強モンスターを従えて楽々攻略 大家さん、従魔士に覚醒したってよ)
第175話 喰らうのはお前じゃない! 私だぁぁぁ!
第175話 喰らうのはお前じゃない! 私だぁぁぁ!
翌日火曜日の朝、火に弱いメロを抜いたメンバーで藍大達はダンジョン地下4階にやって来た。
「薬師寺さんすげえな」
「流石は奈美ちゃんだよ~」
『ご主人、すごいよ! 暑くない!』
『快適』
暑さに耐性のないメンバーは歓喜した。
奈美が調合したクールポーションのおかげである。
藍大達が火曜日のダンジョンの暑さをどうにかできないか相談したら、地下4階に挑む前に奈美がクールポーションを完成させたのだ。
ダンジョン地下4階に来る前にそれを飲んだところ、藍大と舞、リル、ゲンは暑さに悩まされず快適な気温のように感じている。
サクラは状態異常無効で暑さは感じないし、ゴルゴンも種族柄暑さには耐性がある。
これで藍大達は問題なく地下4階の火口の探索ができる。
地下3階の溶岩海岸とは違い、地下4階のフィールドはドーナツ型なので行動範囲が狭い。
地上と空にモンスターがいない以上、モンスターが出現するのはマグマの中からだと判断して藍大達はマグマからモンスターが出て来るのを待つことにした。
しかし、しばらく待ってもマグマの中からモンスターは一向に出て来なかった。
クールポーションには効果の制限時間があるので、これ以上何もせずに待っていられない。
そう思ったのかゲンが藍大に話しかけた。
『主さん・・・俺がやる・・・』
「何をする気だ?」
『デカいの・・・一発叩き込む・・・』
「やっちゃえ」
ゲンのやる気に水を差すつもりはないから、藍大は迷うことなく許可を出した。
ゲンは<
MPを圧縮して甲羅の砲身からエネルギー砲を放ったのだ。
その威力は絶大であり、
フォアナウマズだけではなく、デフォルメ化したタツノオトシゴのようなモンスターの姿もあった。
「サクラとリルはマグマからモンスターを回収。舞とゴルゴンがとどめを刺すんだ」
「「「『了解!』」」」
サクラの<
藍大はゲンに護衛を任せてモンスター図鑑で新種の
(タツノンってゆるキャラみたいなネーミングじゃん)
デフォルメ化したタツノオトシゴの名前はタツノンだった。
藍大がそのような感想を抱くのも無理もないだろう。
もっとも、デフォルメ化については藍大にとっては大した問題ではない。
問題なのはタツノンが食べられるか否かである。
結果は食べられなくもないというもので、どちらかと言えば薬品の素材だった。
(これは”掃除屋”とフロアボスに期待するしかないか?)
藍大が困った顔をしていると、舞は藍大の鑑定した結果を察した。
「料理大会には使えそうにないんだ?」
「薬品の素材らしい。薬膳料理にしてみるのはありだと思うが、料理大会で通じるかは怪しい」
「そっかぁ・・・」
舞がしょんぼりしていると、いきなりマグマの中から熱線が飛んで来た。
「ヒュー」
ゲンがまだこの場に残っていたため、<
やれやれ、世話が焼けるぜと言わんばかりのゲンの流し目が渋い。
マグマから攻撃したモンスターがいるのは間違いないので、藍大達は速やかに戦闘態勢に移った。
「舞、氷の壁を打ち砕け! サクラとリルはその破片をマグマに投げ込め!」
「よっしゃあぁぁぁ! ぶち壊してやるぜぇぇぇ!」
舞がミョルニル=レプリカで氷の壁を砕いた直後、サクラとリルがそれぞれ<
氷塊は大きくて重く、マグマの中に落ちると同時に毎回衝撃を与えた。
その上、氷塊のせいでマグマの温度が下がるからマグマの中に潜んでいた存在がびっくりしてマグマから飛び出した。
藍大達の目には朱色に染まった下半身が魚の馬の姿が映った。
藍大は見とれることなくモンスター図鑑でその正体を確かめた。
-----------------------------------------
名前:なし 種族:マグケルピー
性別:雄 Lv:55
-----------------------------------------
HP:800/800
MP:950/1,050
STR:0
VIT:800
DEX:850
AGI:900
INT:1,450
LUK:550
-----------------------------------------
称号:掃除屋
アビリティ:<
<
<
装備:なし
備考:動揺
-----------------------------------------
(マグマに棲むケルピーってか? そんなんありかよ?)
藍大はそんなことを思いながらもゲンに指示を出した。
「ゲン、あいつを水の牢獄に閉じ込めてくれ! ケルピーは人肉を好むんだ! ゴルゴンは護衛を頼む!」
「ヒュー」
「はいな!」
お安い御用だとゲンが<
<
しかも、熱い溶岩の中から冷たい水の牢獄の中に移されてしまったことで、体感気温の急激な変化にマグケルピーは弱り果ててその動きは鈍っている。
「舞、とどめは任せる。食べられるから爆散させないように」
「任せな! マグケルピーに身の程を教えてやるぜ!」
舞は力強く応じると、雷光をミョルニル=レプリカに纏わせてとどめを刺す準備を進める。
その間にゲンは水の牢獄を舞が攻撃しやすい場所に動かしていた。
ゲンは効率良く敵を倒すためなら仲間内での協力を惜しまない。
「喰らうのはお前じゃない! 私だぁぁぁ!」
舞は雷光を纏ったミョルニル=レプリカを水の牢獄にぶつけた。
その瞬間、バチンと舞の
時間差で水の牢獄だけが弾け飛び、マグケルピーは地面にドサリと音を立てて落ちた。
『サクラがLv87になりました』
『サクラがLv88になりました』
『リルがLv86になりました』
『リルがLv87になりました』
『ゲンがLv83になりました』
『ゲンがLv84になりました』
『ゴルゴンがLv80になりました』
『ゴルゴンがLv81になりました』
(レベルが2つも上がった? マグケルピーって経験値的に美味しい奴?)
システムメッセージが告げた内容に首を傾げていたが、藍大は気持ちを切り替えて舞達を労った。
「みんなお疲れ様。おかげで楽に倒せたぞ」
「えっへん」
「エヘヘ♪」
『どういたしまして』
「ヒュー」
「フフン」
殆どのメンバーがドヤ顔で胸を張るのに対し、ゲンは頑張り過ぎたからもう帰ると言わんばかりに息を吐き出して<
ゲンらしいと藍大は苦笑してマグケルピーの解体に移った。
解体作業はサクラとリルが活躍するので、やることのないゴルゴンはぼんやりとマグマを見ていた。
すると、マグマの上にプカプカと浮いている物体を見つけた。
「マスター、何か浮いてるわっ。マグマの上に浮いてるのよっ」
ゴルゴンに服を引っ張られて藍大がマグマに視線を向けると、デフォルメ化されていないリアルなタツノオトシゴがマグマの上に浮いていた。
すぐにモンスター図鑑で確認してみると、タツノオトシゴは地下4階のフロアボスだった。
「ふ、不憫だ。さっきの戦闘の巻き添えで死んでる・・・」
フロアボスの名前はタツゴドラであり、人間大のリアルなタツノオトシゴの外見である。
藍大達が氷塊をマグマに投げ込みまくった影響で、マグマの気温が一気に下がってその環境の変化に耐えきれずにタツゴドラは死んでしまったらしい。
地下4階のフロアボスにあるまじき悲しい最期と言えよう。
偶然だがサクラ達のレベルが2つ上がった謎は解けたので、タツゴドラの死体も回収してマグケルピーと一緒に解体した。
そして、マグケルピーの魔石とタツゴドラの魔石はサクラとリルに与えられた。
サクラの翼が少し立派になり、リルは少しだけ体が大きくなった。
『サクラのアビリティ:<
『リルのアビリティ:<
「サクラもリルもまた強くなったな」
「でしょ~」
「クゥ~ン♪」
藍大に頭を撫でられてサクラもリルも喜んだ。
サクラの<
絶対に普段使いできないが、サクラが切札を会得したことは間違いない。
その一方、リルの<
<
サクラとリルの行き着く先はどこなのか藍大が気になったのは言うまでもない。
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